マキャベリ『人間は恐怖でしか支配できない理由』/マキャベリズム/君主論
突然ですが、皆さんは「人の上に立つ人物とはどんな人であるべきだと思いますか?」と言われると、多くの人はこう思うのではないでしょうか。
「はあ? 何言ってんだお前。人の上に立つ人ってのは、自分の利益よりも部下の利益を優先できる、自己犠牲できる人間に決まってるだろう。人に気を使える人こそ、人の上に立つにふさわしい人物じゃないか。」
このように、自分の利益を減らしてでも部下を優先する人物が人の上に立つにふさわしいと考えるかもしれません。しかし、そんな人々に対し、ルネサンス期の思想家ニコロ・マキャベリはこう言います。
「お前ら、何か勘違いしてないか? 人の上に立つ人間ってのは、鉄で残酷、目的のために手段を選ばず、愛されるよりも恐れられる人物であるべきなんだよ。人間は恐怖でしか支配できないんだよ。」
このように、人の上に立つ人物とは愛や慈悲を持つ人物ではなく、残酷で冷徹、目的のためには手段を選ばない人物であるべきだと言いました。
しかし、こう言われてもこう思うかもしれません。
「もう、目的のためなら手段を選ばない? 馬鹿じゃないの? 誰がそんな恐ろしい奴についていきたいと思うんだよ。みんなから慕われ、尊敬されるやつこそ人の上に立つべきに決まってるじゃないか。」
このように考えるかもしれませんが、マキャベリはこう言います。
「お前ら、どこまで楽観的なんだよ。人間は恩知らずで嘘つきな生き物だ。自分に得がなければすぐに裏切る。だから、裏切ることを損にすることでしか人をコントロールできないんだよ。」
このように、愛情や尊敬は相手次第でコントロールできないものであり、だからこそコントロールできる恐怖によって相手を支配することでしか、人の上に立つことはできないと考えていました。
それでは今日は、マキャベリの語る人の上に立つ人の条件という話を解説しましょう。