運動療法の効果を引き出すには?
おはようございます。今回は運動療法を行う上でより効果を引き出すために必要だと思うことを書いていこうと思います。
この記事を読むことで患者さんのリハを行う時により運動療法・臨床の考え方が深まればと思います。
目次
1.運動療法で行う上で大切なことはニュートラルポジションを保つこと
2.ニュートラルポジションって?
3.まとめ
1.運動療法で行う上で大切なことはニュートラルポジションを保つこと
運動療法を行う上で大切なことはずばり、「ニュートラルポジションを保ったまま運動を行う」ということです。
ニュートラルポジションとは簡単に言うと耳~肩~脊柱~骨盤の位置が同直線状にあり、身体に負担がかからない位置関係の事です。
ニュートラルポジションという一つの基準をもって運動療法を行うことで患者さんの運動の癖(代償動作、つまり痛みにつながるような力学的ストレスの加わり方)、筋力・可動域評価など臨床の幅も広がります。
ニュートラルポジションについて詳しく書いていこうと思います
2.ニュートラルポジションって?
ニュートラルポジションは背臥位、腹臥位、横臥位、四つ這いそれぞれあります。それぞれ確認していこうと思います。
①背臥位ニュートラル
背臥位ニュートラルポジション
足幅、膝の幅は座骨結節
前方トライアングル(左右のASIS,恥骨結合を結ぶ三角形)が床と並行
第10肋骨とASISが一直線上
第11,12肋骨が床についていて、胸郭が床と並行
肩峰と乳様突起が一直線上
特に重要なのは前方トライアングル(左右のASIS,恥骨結合を結ぶ三角形)です。ちょうど腰の部分に手のひら一枚分くらい入るように隙間を作ると前方トライアングルが床と並行になります。
高齢者の円背姿勢の方や、スエーバック姿勢の方だと顎が上がったり、また第10肋骨が浮き出る(リブフレア)が生じたりします。
背臥位で運動療法を行なう際には顎が上がってないか?リブフレアが生じてないか?前方トライアングルが崩れてないか?(骨盤が左右に傾いたり、床と背中の隙間が崩れる)このような動作をチェックします。
②腹臥位のニュートラルポジション
腹臥位ニュートラル
足幅は座骨結節幅
後方トライアングルが天井と並行
ASISと第10肋骨が床と並行
肩が開いて下がっている
翼状肩甲にならない
脳天と第7頸椎が一直線
腹臥位でも重要なのが後方トライアングルで、PSISと仙骨を結んだ三角形の事を言います。腹臥位になった時に恥骨を床に押し付けるように、またおへその下に手のひら一枚分入るように意識することでちょうど天井と並行になります。
腹臥位で運動している時に円背姿勢の患者さんだと背中が丸まったり、肩がすくんだりして上半身のニュートラルが崩れたまま運動しがちです。また腰椎前弯増強姿勢の方などでは股関節前面の筋が伸長性低下していることが多いため足幅が広がったまま運動してしまうことがあります。
③横臥位ニュートラル
横臥位ニュートラル
両脚は重ねて股関節屈曲30°にする
左右のASISを結んだ線が床と垂直に
第10肋骨とASISが一直線上にある
上の床と並行になるように足を遠くに伸ばしマウスハウスをキープする(下腹部にスペースを作る)
肩が開いて下がっている(肩がすくんでいない)
両肩と大転子が同直線上にある
写真は股関節屈曲30°で位置を整えた後、マウスハウスを作ったところです。
横臥位で運動療法を行っているときによくあるエラーとして股関節内外転を代償しようとして骨盤の前後が倒れる(ASISと床を結ぶ線が崩れる)、股関節伸展を代償して第10肋骨が浮き出てくる(リブフレア)、腰椎前弯増強する、もしくは上半身が丸まる。
このような骨盤のニュートラルが崩れたり、上半身の代償が多くでるので注意します。
④四つ這いニュートラル
四つ這いニュートラル
肩、股関節90°にする
後方トライアングルが天井と並行になる
ASISと第10肋骨が一直線上
翼状肩甲にならない
乳様突起と肩峰が一直線
僕の写真では翼状肩甲ぎみです、、、
四つ這いでは運動療法を行っているときによくある代償として猫背姿勢は胸椎が屈曲したり、翼状肩甲が起こりやすいです。また後方トライアングルのニュートラルがくずれ(骨盤後傾が多い)ることが多いです。
3.まとめ
これらはピラティスの考え方を参考に書きましたが、セラバンドや重錘など使ってリハするときにも共通する考え方だと思います。
また首~足にかけて一つの基準線をもつことで代償に気づきやすくなったり、トレーニングでエラーが出たとき、その動作と同じような日常生活場面で痛みが生じているのではないかと考えることもできると思います。
みなさんの臨床の参考になれば幸いです。
これからは運動療法やキューイングなど投稿していこうと思います。拙い文章と写真ですが最後まで読んで頂きありがとうございました。