💌『出勤！中間管理職 ジェントルマン』

はじめに。
私は小さい頃から読書感想文を書くのがとても苦手でした。
今でも小説や映画のあらすじを要約することや、ストーリーの根底にあるメッセージや物語の構造を深く読み取ることが苦手です。

そんな私ですが、作品を読み、これは間違いなく傑作であるとはっきりと感じることはできます。

これからのヤスタニアリサは書き手としてだけではなく、ひとりの読み手として作品を楽しみたいと思う所存です。
書いて書いて書きまくる、だけではなくて同時に読んで読んで読みまくる人でもありたいのです。

はじめにお伝えした通り、私にはかしこまった考察をする能力がありません。
だけれども、作者の方へ素晴らしい作品に触れさせていただいたことへの感謝をするとともに、全力でファンレターを綴らせていただければと思っております。

今回のファンレターは城戸 圭一郎さんの
小説『出勤！中間管理職 ジェントルマン』です。
（ネタバレ有り！ご注意）

あらすじ
謎の白衣に連れられた中年男性３名。彼らは好きなつまみにちなみ、トリカワポンズ、揚げ出し豆腐、ナンコツとコードネームを与えられた。彼らのミッションは街に現れた怪物を倒すこと。え、ちょっとまってどうして私たちが？

以前私は2度に渡って読書に関する記事を投稿しました。1回目は面白みの要素を挙げたもの、2回目は感想文を書く取っ掛かりになる項目を挙げました。
せっかくなので、ふたつの記事と照らし合わせて書いてみようと思います。

【面白みの要素（随時更新）】
①冒頭から物語に引き込まれる
②登場人物に共感できる
③人物や風景描写が丁寧
④基本的な文章能力を抑えている
⑤さまざまな感情が揺さぶられる
⑥作品に強いメッセージ性が込められている
⑦独自の世界観で物語がつくられている
⑧新しい価値観を提示している
⑨全体を通して読者を物語世界に引き込むための工夫をしている
⑩「物語世界の中にいつまでも滞在したい」と思わせる

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今回の『出勤！中間管理職 ジェントルマン』では特に
①冒頭から物語に引き込まれる
③人物や風景描写が丁寧
④基本的な文章能力を抑えている
⑦独自の世界観で物語がつくられている
⑨全体を通して読者を物語世界に引き込むための工夫をしている
⑩「物語世界の中にいつまでも滞在したい」と思わせる

このあたりが該当すると思われます。
さらに「タイトルのユニークさ」「爽快な読後感」も当該作品の魅力です。

次に、【読書感想テンプレシート】を使用してみます。

主人公の性別は？
→ 3人の男性

登場人物の年齢層は？
→3人は中年。白衣はおそらく20代くらいかも

登場人物の外見は？
→太めだったり、細身だったりでそれぞれに脳内でイメージできる

時代は？ →現代

場所は？ →都内

どんなシーンから始まる？→ 会議室に集められミーティング

・どんなラストを迎える？ →敵を倒してヒロイン救出、円満解決に終わったように見えたが……。

・ラストに意外性はあったか？→ ラストより戦闘シーンに意外性あり

・心を動かされたシーンはどこか？→ おじさんの攻撃シーンと必殺技の表現方法が抜群

・読み終えた後、一番はじめになにを感じたか？
→こんなヒーローものを待っていた！

・本文のなかで印象深い文章は？→「いやいやぐるぐる」

・登場人物の興味深いエピソードはあるか？
→白衣とのやりとりが全部面白い。会話劇をたのしめる。

・タイトルの意味は？
→中年のおじさんたちが正義の味方として活躍します。「出動」じゃなくて「出勤」にしたセンスの良さ。あとでその意味がわかって二度美味しい。

・視点は一人称？三人称？視点は活かされているか？→三人称。アクションものに三人称は最適。

・読者に伝えたいことをはっきり述べているタイプの作品か？（上記を含め、どんなタイプの作品か）→1話だとまだ伝えたいことがオブラートに包まれている感じ。

・過去に読んだ作品で似たタイプの作品があれば似ている部分と相違している部分は？ →該当なし
ぜんぜんタイプは違いますけど、変態仮面とかも「一味違う正義の味方」なのかなって。あとはメンバーの意外性で言ったら「パーマン」でしょうか。なんといっても当該作品は中年男性のおかしみ、かなしみがじわじわ伝わって来ます。

・別の作家で同じジャンルを得意とする、また似た雰囲気を持つ作家がいれば挙げる→該当なし

・作品にコピーをつけるとしたら？
→「おじさんだって、弱いし、強い。」

・作品にハッシュタグをつけるとしたら？
#コメディ #ギャグ #戦隊モノ #おじさんはかっこいい

以上を踏まえ、ファンレターを綴ります。
※誤読などありましたらお詫び致します。

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拝啓

『出勤！中管理職 ジェントルマン』の1話（1ー10）を通して読んだのはつい先程、皮膚科の待合室でのことでした。

もう最初の白衣とのやりとりですっかり掴みはオッケー、始終くちもとをニヤつかせながら拝読致しました。

これまで城戸様の作品と言えば、Kindleで公開されている緊迫感溢れる『その砂が落ちるまでに』や心温まる『トパスとワッドとシロクマ船長』でしたので、今作の会話劇を読んだ際に何て器用な人なのだと恐れ入りました。

人間は泣かせるよりも、笑わせる方がずっとセンスと技術が必要だと感じています。
その点において、初めから終わりまでちょいちょい笑いをかませてくるこの小説は秀逸です。
白衣のキャラクターがなんとも憎めず、またトリカワポンズ、揚げ出し豆腐、ナンコツに精一杯のエールを送りたくなりました。

そして必殺技に差し掛かった時、私は皮膚科で声をあげて大笑いしました。面白いを超えて、ずるいです。もちろん、いい意味です。読み終わり、
タイトルが「出動」ではなく「出勤」であることに気づき、やられたー！と感服しました。たしかにこれは「出勤」に間違い有りません。

さて、風邪予防には笑うことが有効だと聞いた事があります。城戸さんのこの物語はきっとわたしの健康に役立ちます。

素晴らしい物語をありがとうございました。
この文章をもって、ファンレターと致します。

ヤスタニタリサ
城戸 圭一郎様

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