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【文学フリマ東京39】Webライターが歌集を販売した感想

2024年12月1日。東京ビッグサイトで開催された文学フリマ東京39に出店してきました。

東京ビッグサイトの迫力よ

文学フリマに出店するのは今回で3回目です。過去2回はエッセイ集、今回は歌集を販売しました。歌集とは、短歌(五七五七七)をまとめた本です。エッセイ集と比べると、ちょっとマニアックかもしれません。

パンフレットを参考に数えてみると、エッセイ・随筆・体験記のブースは341ブース、俳句・短歌・川柳のブースは170ブース。やはりエッセイの出店数の方が多いようです。

なぜ歌集をつくったかといえば、6年ほど前から短歌を読むのが好きで、いつか自分も歌集をつくることに憧れていたから。

文フリ初出店の2023年から、本当は歌集をつくりたかった。でも素人の歌集なんて売れるわけがないと思い、「働きたくない人間の働き方研究」というキャッチーなエッセイ集をつくって販売した。

キャッチーだからだろう。想定よりも買ってもらえた。嬉しかった。本をきっかけに交流も生まれた。

だけどわたしは自分に対して疑問を感じた。なぜ何をやっても許されるフィールドで、「そこそこ無難に売れるであろうテーマのエッセイ」をつくったのか。誰に頼まれたわけでもなく、ルールのない場所にもかかわらず、「書きたいもの」ではなく「そこそこ無難に売れるであろうもの」をつくる自分の姿勢がちょっと嫌になった。

だから今回は歌集。

引用:文学フリマ前日の気持ち 伊藤七

書きたいものを書くことを中心に置きながら、歌集『保健室で昼寝したい』を制作しました。

売れたのは11冊。

前回のエッセイ集は80冊ほど売れたので、比較すると「あまり売れなかったな」と感じてしまいます。近くに人気のブースが多く混雑していたため、立ち読みしにくい環境だったこともあるかもしれませんが、「少なくて3冊、多くても20冊くらいだろう」と考えていたので想定の範囲内です。

販売数は前回よりも少なめですが、満足感はあります。書きたいことを書いて、それに反応してくれた方がいることが嬉しいからです。

▲購入してくださった方のnote

「なぜ文フリに出店するのか?」と聞かれても上手く言語化できませんが、きっとこんな交流が嬉しくて、文学フリマに出店しているのでしょう。

普段はWebライターとしてお金をいただきながらクライアントワークをしています。指定された条件のもとで記事を作成する。それはそれで迷いなく進められるので、ありがたいことです。

一方で、発注されたものばかりを書いていると、自分の言葉や本心の置きどころが分からなくもなります。書くことを通じて心の交流をはかるのが好きなのに、心が置いてきぼりになるような。

書くにあたって、いろいろな条件を考えなくても良いフィールドが、わたしにとっては文学フリマの出店や自費出版の活動です。

交流だけを考えると、noteやSNS、身近な人との会話でも十分かもしれません。でも、昔から好きな「本」という形を使って交流できるのが、なんとも心地良いのです。

それが何になるんだろう?と思われてしまうような小さな共感や、たまたま目が合ったこと、そういうことが嬉しくて、きっとまた出店すると思います。

▼今回販売した歌集はこちらからご購入いただけます。

▼エッセイ集は残り1冊となりました。

もし歌集を置いてくださる書店さんやスペースの運営者さんがいらっしゃいましたら、ご連絡ください。

メールアドレス:ito777nana@gmail.com

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伊藤七 | ライター
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