わたしの本棚121夜~「鬣第80号」
8月から9月にかけて、友人が数人SNSをやめたりしたので気落ちしてしまい、すっかり更新が遅くなりました。毎日更新できる人はやはり凄いエネルギーだと思います。
俳句誌の鬣第80号は、創刊20周年記念号です。おめでとうございます。記念号として、特集坪内稔典100句を読む、です。初めて、この俳句誌を読ませていただき、散文(論考・鑑賞文)が多くびっくりし、読み応えありました。鬣の林桂氏が選んだ100句は、「船団の会」での坪内稔典100句とは違った角度からの選句も多く、面白く拝読しました。
☆鬣 第80号 創刊20周年記念号 鬣の会発行 1000円
坪内稔典100句を読む、では、林桂氏の指摘が面白かったです。40代で坪内氏と出会ったとき、「論は立たないが俳句はいいと言われる人の句こそ、論の水準に照らして読みなおすべきだと言ったのだ」この指摘を目から鱗が落ちる思いで聞いて、今も記憶にとどめているそうです。「過渡の詩」から「口誦性」「片言性」に渡った坪内の俳句は本当は難解である、と言い、同じ口語表現の作者である池田澄子氏の俳句と比較されます。神野紗季氏との親和性も。続いて、100句鑑賞5人のほか、1句鑑賞が20人の同人によってされており、読み応えある鑑賞でした。林氏の選んだ100句から好きな5句です。
☆浮雲は中也の帽子春の丘
☆鬼百合がしんしんとゆく明日の空
☆アフリカが犀産む昼よ梨の花
☆数学の定理はきれい露草も
☆かまきりと結ぶ友情星月夜