わたしの本棚131夜~「俳句いまむかしふたたび」
2010年5月1日から始まった毎日新聞朝刊の季語刻々の連載。毎朝、社会面に今日の一句として、坪内先生が選んだ俳句と鑑賞エッセイが載ります。400回を超えた季語刻々のセレクト版です。去年の8月に出た「俳句いまむかし」の続編です。この本では、同じ季語の俳句で、現代の俳人と昔の俳人を並べて鑑賞しており、今昔の対比も面白い本です。旧「船団」の先輩や句友たちの素敵な俳句がたくさん載っています。
☆「俳句いまむかしふふたび」坪内稔典著 毎日新聞出版局 1800円+税
編集は毎日新聞出版の宮里潤氏、装丁、さし絵は南伸坊氏です。
〇春の空(季語・春)
春の空とあんぱん一つあなたまで 山岡和子(今)
草に臥て右や左の春の空 岡井省二(昔)
〇埋み火、炭火(季語・冬)
埋み火の至近距離から打つメール 小西雅子(今)
見てをれば心のたのしき炭火かな 日野草城(昔)
〇夏休み(季語・夏)
えびせんに始まるけんか夏休み 工藤惠(今)
夏休トマトケチャップマヨネーズ 草間時彦(昔)
〇秋茄子(季語・秋)
こう見えて秋茄子実は肉体派 植田かつじ(今)
秋茄子の漬け色不倫めけるかな 岸田稚魚(昔)
〇春の雪(季語・春)
ひとひらの岩田明朝春の雪 秋山秦(今)
この道しかない春の雪ふる 種田山頭火(昔)