わたしの本棚61夜~「シーシュポスの神話」
もう少し、70話までは書いてみようと思いました。今朝、教会で救われた横田早紀江さんの話を知って、感動しました。生きていたら、不条理なこと、あります。不条理と自殺という命題を論じたこの本、「人生が生きるに値するか否かを判断する、これが哲学の根本問題」という書き出しで始まるのですが、今も変わらない名言がたくさんです。わたしが持っているのは、平成元年十二月出版の三十七刷で、その値段です。
☆「シューシュポスの神話」カミュ著 清水徹訳 新潮文庫 360円(税込み)
カミュの「異邦人」の「哲学的翻訳書」として有名になった本で、わたしも同じ新潮文庫の「異邦人」(窪田啓作訳)を読んで、あとがきに誘導されて、この本を買った記憶があります。「異邦人」は、人を殺して「太陽のせい」という通常の論理的な一貫性がない男ムルソーを主人公にした小説ですが、その不条理の認識をたくさんの名言で紡いでいきます。
「人間の心には、自分を圧しつぶすものだけを運命と呼ぼうとする困った傾向がある。だが、幸福もまた、人間にとっては自分のほうで避けるというわけにはいかないものである以上は、これはやはり理性の手に負えぬものなのだ。ところが、現代人は、いつでも幸福を勝ち得たのは自分の手柄なのだと考えるくせに、じつは自分の幸福に気づいてはいないことがときにあるのだ」などは、若いころには感じずらいことかもしれないですが、今、読むとすとんと心に落ちてくる解釈です。
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