わたしの本棚64夜~「白洲正子自伝」
自伝、自伝的小説を読むのが好きです。事実は小説よりも奇なりのことに感動したり、その人のひたむきさや頑張る姿に元気をいただいたり。本音の部分にやはり共感してしまったり、です。わたしが持っているのは、平成二十年の23刷の新潮文庫で、その時の値段です。
☆「白洲正子自伝」白洲正子著 新潮文庫 476円+税
文庫本の解説は、今は亡き車谷長吉氏によるものですが、端的に白洲正子さんを評していると思いました。樺山伯爵の孫娘というお嬢様の出自、当時珍しかった14歳での米国留学など、というある種、特別な生育環境もありますが、何が白洲正子氏を形成したか、という問いに、車谷氏はこんな回答をされています。1、度胸 2、人やモノを見るときの公平な目 3、近代の経験の早さ4、能の修行 5、米国留学 6、古典の素養 7、小林秀雄、青山二郎との交流 8、反時代的な旅
3歳までほとんど口を聞かず自閉症ぎみの子どもであり、16歳年上の姉、9歳年上の兄のしたに生まれたので、両親には甘やかされたが、ひとりぼっちでいることを好み、いつも仏頂面で、お世辞にも「可愛い」といわれたことのない幼少期を過ごした、と回顧されています。お転婆で負けず嫌いで、男まさりだったとも。本人は過去を回顧するのを望まなかったそうですが、波乱万丈の生涯は、近代史とともにも歩んでもいて、読んでいると面白かったです。
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