わたしの本棚38夜~「初日記」
俳句初学のころ、お父さまの後藤立夫先生にお世話になりました。教室で教えていただいた「三冊子」、松尾芭蕉の言葉、解釈などの授業は印象深いです。そして、娘さんの和田華凛さんは、句会や集いで何度かご一緒させていただきました。曾祖父に夜半先生、祖父に比奈夫先生、父に立夫先生を持つという、関西の老舗結社「諷詠」の4代目である、華凛さんの第1句集です。
☆「初日記」和田華凛著(本阿弥書店)2800円(税別)
今年亡くなられた後藤比奈夫先生がはしがきと帯を書かれています。「あとがき」に華凛さん自身も書かれているように、祖父比奈夫先生、父立夫先生とタイプの違った俳人に学べたことは、彼女自身の俳句の幅の広さでもあるようです。初々しい感じの俳句、家族を想像できる俳句、伝統の俳句、女性らしい俳句がある一方で、お父さまの影響か理系の言葉の俳句などもあり、楽しい句集です。好きな5句です。
初日記素直になってみたくなる
藤棚にむらさき色を浴びに行く
水澄みて元素記号の変りさう
パスカルもアルキメデスも浮いてこい
行水の音絵になってをりにけり
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