わたしの本棚31夜~「此処」
小説の世界から入ったわたしにとって、俳句の世界は不思議な集団でした。句集は基本的に自費出版であり、贈答しあうという慣例。結社という集まりがあり、結社誌があること。などなど。そんな世界に、船団の会の散在する6月まで、どっぷりはまっておりました。そんな中、素敵な句集を紡ぐ素敵な人たちにも出会いました。今年、贈っていただいた句集を中心に、少しづつ本棚にある句集も書いていけたらと思います。
☆「此処」池田澄子著 朔出版 2600円+税
著者の第7句集であり、初めて贈っていただきました。あとがきにあるように、「句集を纏めることで自分を区切り、僅かの未来を、死別を怯えずに一度生きてみたいと」。生と死の影で奏でられた俳句は、軽いようで重く、妖艶でもあり、あっけらかんともしており、凄いなあと思って読みました。好きな俳句5句です。
よい風や人生の次は土筆がいい
ごーやーちゃんぷるーときどき人が泣く
粕汁の雲のごときを二人して
元気ならよし蛙歩くも跳ぶもよし
生き了るときに春ならこの口紅