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関西歌劇団第104回定期公演

<カヴァレリア・ルスティカーナ:道化師>

 

 関西歌劇団の第104回定期公演の初日を吹田市民会館メイシアター大ホールで観劇しました。素晴らしかったです! 凄い!凄い!ブラボー!
 全編イタリア語を流暢に歌い上げ、声量もさることながら、どの方もこぶしが効いており、迫力ある舞台でした。メイシアター大ホールは、舞台左右に縦書きの日本語字幕が出て、見やすかったです。

カヴァレリア・ルスティカーナ p.マスカーニ作曲 

 酒屋の息子トゥリッドゥはかつての恋人ローラに今も未練がある。彼が兵役に行っている間にローラは権力者のアルフイオと結婚。それを知ったトゥリッドは、未練を断ち切るためにサントゥッツァとの関係を結ぶ。やがて、ローラはかつての恋人トウリッドゥと不倫に。サントゥッツアは、トゥリッドウを取り戻すため説得するが冷たく扱われ、怒りにまかせて、ローラの夫アルフイオにふたりの関係を密告する。トウリッドゥは自分の運命を悟り、母のルチアにサントゥッツァの今後を委ねアルフィオとの決闘に挑み絶命に至る。

パンフレットより要約

 恋愛の修羅場ばかりなのですが、愛するが憎しみに変わる瞬間などをとても上手に表現されて、どの人の立場にもある程度の理解、共感でした。やはりそこは古典の凄さというか、人間の愛憎の普遍を描いているなあ、と。どこか違う場所に行ければよかったのですが、4人とも村で生活を強いられ、悲劇が起こります。トウリッドゥが自分の運命を悟ったとき、母にサントゥッツァの行く末を案じて切々と託す場面は、恋愛でなく、大きな人間愛を感じて、温かい気持ちになり、とても良かったです。
 ノスタルジアメンバーからは、ローラ役に小川典子さんが出て、妖艶な雰囲気で、艶やな美声でした。
 2日めは、アルフィオ役にイケメンで評判の湯浅貴斗氏がでます。
 


撮影禁止なので、パンフレットです。

道化師 R.レオンカヴァッロ作曲

 

 幕前にトニオが現れ、「本日おめにかかるのは芝居ではなく、人生ドラマ。役者も人間。そして作者は人間ドラマを描かないといけないのです」
第一幕
 旅回りの劇団が到着する。カニオが今夜の開演を約束しその場を立ち去ると、ひとり残ったネッダは自由への渇望を歌う。そこにトニオが現れ、かつてから恋焦がれるネッダに言い寄るが拒絶される。そして、シルヴィオの登場。ネッダとシルヴイオは今夜の駆け落ちを約束するが、それをトニオの導きでやってきたカニオに聞かれてしまう。
第二幕
 芝居開幕。ネッダ扮するコロンビアーナがぺっぺ扮する恋人アレッキーノを待つ間、トニオ扮する下男ダッデオが登場。コロンビーナに言い寄るが追い出される。コロンビアーナとアレッキーノがあいびきを始めると、カニオ扮するパリァチョが帰ってくる。
 カニオは現実と芝居の区別がつかなくなる。舞台上でネッダに現実の恋人の名前を問いただし、逃げ出すネッダを追いかけ、助けようとしたシルヴィオと両者を刺し殺し、大混乱のなか、カニオの「芝居はこれでお終いです」の台詞で舞台の幕が下りる。

パンプレットより要約

 こちらも愛憎劇です。ただ、劇中歌で告げられるのですが、ネッダは孤児でカニオに拾われ、育てられているという状況があります。育ての父であり、夫であり、劇団の座長であるカニオの支配下、悲劇は起こってしまいます。
 ノスタルジアメンバーからは、ぺっぺ役に近藤勇斗氏、シルヴィオ役に伊藤友祐氏が参加され、伸びのある力強い美声を発揮されてました。
 2日めは、ぺっぺ役にノスタルジアメンバーのエース谷浩一郎氏がでます。
 
 どちらの舞台にも聖歌隊や村の子どもたちの役で、児童合唱、メイシアター少年少女合唱団の子どもたちが参加され、とても愛らしく、彩をそえていました。
 結末だけを観ると悲劇な二本ですが、人間に生じる愛憎の深淵を垣間見せられ、それぞれの哀しみの叫びに耳を傾けるとき、演者たちの熱演も相まって、深い感動を覚えずにはいられませんでした。ありがとうございました。



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