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わたしの本棚

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2021年8月の記事一覧

わたしの本棚120夜~「ザリガニの鳴くところ」

わたしの本棚120夜~「ザリガニの鳴くところ」

 2021年本屋大賞翻訳小説部門1位で、2019年アメリカで最も売れた本で、原書の累計700万部を突破したそうです(2021年現在)写真は、版元の早川書房さんの画像を借りました。

 日本語訳が読みやすい文章なので、長編ですが、すらすら読めます。物語は、ノースカロライナ州の湿地で町の有力者の男の死体が発見されます。他殺、事故かわからないまま、犯人を捜すミステリーの様子を展開しながら、主人公カイアの

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わたしの本棚119夜~「彼岸花が咲く島」

わたしの本棚119夜~「彼岸花が咲く島」

 昨年韓国映画「マルモイ」を観て、母国語を変えられた人たちの悲痛な叫びを知り、今年、日本統治下の台湾でも日本語の強要があったこと知りました。そして、今回の芥川賞受賞作。二ホン語、女語が入り混じり、女性の統治と島全体が共同体のような架空の島を舞台にしたこの小説。読み応えありました。今回、文藝春秋9月号は、芥川賞2作品の全文掲載、選評もあってお得でした。

☆「彼岸花が咲く島」 李琴峰著 文藝春秋9月

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わたしの本棚118夜~「愛語」

わたしの本棚118夜~「愛語」

 旧船団の会の先輩から、この夏ご恵贈いただいた句集です。「愛語」とは仏教用語の「和願愛語」で、最初に私淑した細見愛子氏がいつか句集の名前に付けたいと考えていた言葉だそうです。俳句結社は「風」を経て「船団」へ。細身綾子氏の研究がライフワークだそうです。

 作者の星河ひかる氏とは、烏丸のカルチャーセンターで、一時期、ご一緒させていただきました。坪内稔典先生の講座を受けるため、岐阜から朝早くの電車で来

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わたしの本棚117夜~「俳句de散歩」

わたしの本棚117夜~「俳句de散歩」

  第五の会というグループ(旧船団の会のメンバー中心)の吟行の様子をエッセイと俳句に纏めた本の第三作目です。この本をもって、第五の会は解散するとあります。はじめにを火箱ひろ氏、あとがきを宇都宮さとる氏、表紙とイラストを山本真也氏が担当しています。編集委員として他に、つじあきこ氏、藤野雅彦氏、波戸辺のばら氏、SEIKO氏です。2017年から2020年の年末までの吟行句会の記録でもあり、一方で、エッセ

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