母方のルーツを訪ねてひとり旅 #忘れられない旅
先月、岡山県の高梁市に出かけてきた。
私の祖母のルーツだ。
祖母は、母が女学校の頃、戦争で母の長兄・次兄を次々に亡くし、心労で急死したそうだ。
だから直接会ったことはない。
その後の事情もあり、母も数年前に他界したので、聞きかじりの想い出しかない。
ほかの祖父母との想い出は自身のなかにたくさんあるのだが、この年になって無性に祖母に会ってみたくなった。
いわゆるファミリーヒストリーの旅。
母が他界する前、しきりに祖母に会いたがっていたのを一緒に叶えたくなったのも一因かもしれない。
高梁市には過去に一度行ったことはあるが、祖母のこととは無縁の旅で、旧姓と母のいとこの名前くらいの知識しかなく、今回も2泊3日の旅では、到底その足跡を辿ることは難しかった。
でも、その土地のもっている空気感のようなものや歴史はその場所に行ってみると不思議に伝わってくる。
雲海の山城・備中松山城やその麓の武家屋敷、神社仏閣、成羽の美術館は安藤忠雄の設計でも有名だ。
バスで小一時間ほど足を延ばし、ベンガラの町・吹屋にも訪れた。
冒頭の掲載写真がそこで宿泊した宿、ラフォーレ吹屋だ。
かつての小中学校跡を町が宿泊施設にリノベーションして経営。
しかし、昨今の財政難、偶然にもその日の私が、町営委託での最後の宿泊者、それもひとり、広い施設を貸し切り状態の客。
シェフのディナー、ジビエ料理も私ひとりだけのために振る舞っていただいた。
全くの偶然の贅沢、少し寂しくもあったが、母や祖母、ファミリーヒストリーの記憶を辿りながら味わったディナーは、以前にも投稿した#元気をもらったあの食事・・・のひとこまとも重なって、格別、忘れられない味となった。
今度は外資系の資本が経営に関わると聞いた。
バスで一緒になったひとたちも東京や海外からのひとたちばかりだった。
SNSの時代、ルーツが育んできた町も歴史も、また大きく変わっていくのだろう。
山陽新幹線岡山駅で降車、特急やくもで30分くらい。
そこからバスで小一時間。
宿泊したラフォーレ吹屋は、もう同じ形では残っていないだろう。
奇しくも、その日は特急やくもも国鉄車両運転最後の日でもあった。
なんの予備知識もなく、偶然の重なり・めぐり合わせで、いろんな最後に出会ったひとり旅。
本当に宿泊してよかった宿。
大きな湯舟にひとり浸かりながら、祖母やルーツに想いを馳せ、いま在る自分の境遇にこころから感謝して一日を終えた。
(「祖母にも母にも翼があったらなぁ・・・」と。…私の#忘れられない旅)