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タラ・スワート博士が語る、ストレス管理と脳の可塑性
神経科学者・医師・エグゼクティブアドバイザー・ベストセラー作家であるタラ・スワート博士は、脳の可塑性やストレス、睡眠、食生活、瞑想など多角的な観点から「脳を最適化し、人生の質を高める」ためのヒントを提供しています。
ストレスは伝染し、腹部脂肪を増やす
ストレスホルモンであるコルチゾールは汗として皮膚から漏れ出し、周囲の人にも伝播する。特にリーダーなど、組織の上位に立つ人のストレスは下の立場の人々に強く影響を与える。過剰なストレス状態が続くと、身体はサバイバルモードに入り「腹部」に脂肪を蓄えようとする。これは先史時代の食料不足に備えた生存メカニズムの名残であり、腹部についた脂肪はなかなか落ちにくい。
社会的伝染
離婚や肥満なども「周囲の同じような状況や心理状態」の人々を通じて伝染しやすい傾向があるという研究がある。自分の周囲の人たちや付き合う環境が、自分の行動や心理状態にも大きく影響する。
脳の可塑性を活かす方法
脳は25歳頃までは急速に変化・成長するが、その後も65歳以降までは「使い方次第」で変化し続ける。学習や習慣の切り替えなど「強度のあるチャレンジ」によって神経回路を新しくつなぎ替え、より高次の脳機能(問題解決能力や感情調整など)を向上させられる。新しい言語を学ぶとか、楽器演奏を始めるとか、大人になってからも十分脳を変えられる。その結果、高次機能、たとえば「柔軟思考、複雑問題解決、感情コントロール、バイアスを乗り越える力」が向上します。
ストレス管理と身体との関係
ストレスは身体と脳を強く結びつけている。仕事や生活のパフォーマンスを高めたいなら、十分な睡眠、適度な運動、水分補給、バランスの良い食事など、基本的な健康習慣を無視できない。運動は特に脳の可塑性を高める効果があり、有酸素運動が脳細胞を生み出す成長因子(BDNF)の分泌を促すと言われる。皮の色が濃い野菜や果物(アントシアニン豊富)を食べることなどが促進要因になります。
睡眠と脳のクリーニング
睡眠は脳の老廃物を「グリンパティック系」が洗い流す重要なプロセス。7~8時間ほどしっかりと睡眠を確保することで、脳内の毒素を取り除き、認知機能を守る。横向きに寝ると、首や血管の構造的に洗浄がスムーズになるという知見もある。
アイコンタクトやスキンシップが生むオキシトシン
アイコンタクトや物理的な触れ合いは、愛情ホルモンであるオキシトシンを高め、信頼関係や幸福感を生む。特に赤ちゃんと母親の右目と左目が向き合うアイコンタクトは、情緒の形成に極めて重要。成人同士でも、初対面やデートの際に意図的に左目(相手の左目に自分の右目)を合わせることで親密感を高めるなどのテクニックも紹介された。
ネガティブ思考や習慣を変えるための3ステップ+1
1.自分のパターン(思考・行動・信念)を認識する
まず「何が原因で同じ失敗パターンを繰り返すのか」を把握し、自覚する。
2.フォーカスした注意を向ける
具体的に「いつ・どこで・なぜ」そのパターンが起きるのか、過去の経験と合わせて分析する。
3.新しい行動の意図的な反復練習
今までと違う選択・行動を意図的に練習し、新たな神経回路を作る。繰り返すうちに新回路が強化される。
4.客観的な確認やサポート
自分だけでは途中で挫折しがちなので、友人やコーチなど外部からのサポートも利用する。
言葉と思考・マインドセット
「引き寄せ」は、単に「願えば叶う」というオカルト的なものではなく、
ポジティブな断言や行動は、脳の思考を変え、行動が変わり、結果として引き寄せられる。「自分は何を与えられるか」を考える。
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