「経験学習」から顧客視点とは何かを考えてみた
立教LDC(大学院)の授業やLDCメンバーとの読書会の中で、経験学習モデルに関連した学びがあったので自分の中で概念化してみました。
その解釈は違うのではないか?といった指摘もあるかもしれませんが、本記事が叩き台となればと思い、自分なりの解釈を説明していきます。
コルブの経験学習モデル
ディビット・コルブの提示した経験学習モデルは、具体的な経験から人は学んでいくというサイクルわかりやすく表現したものです(下図)。
有名なので詳細は割愛しますが、ざっくり説明すると、「具体的な経験から、自らの行為や経験を振り返り意味づけを行い、その経験を概念化して新たに実践すること」です。ここでは行動や経験が伴った内省を行いつつ、内省を伴った行動をいかに実践するかが重要であると指摘されています。
深いリフレクションを示すALACTモデル
経験学習モデルの中でリフレクションが出てきますが、より深いリフレクション を示したのが、F.コルトハーヘンの提唱する「ALACTモデル」です(下図)。
1から5のそれぞれの頭文字を並べたもので、コルブと同様に経験学習を二次元化したものです。このALACTモデルとコルブの経験学習モデルの違いをあえて述べるとするならば、「感情を扱っていること」にあります。
以下は立教大学中原淳教授のブログからの引用になります。
敢えて最大の違いを述べるのだとすると、コルトハーヘン先生のALACTモデルでは、振り返りの内容に、明確に「感情」が含まれています。別の言葉で申し上げるなら、自分と他者の「感情」のズレ(不一致)を意図的に用いることで(当然二人の人間がいれば、感情にはズレが生じます)、思考に揺さぶりをかけているということになります。
あくまで私のイメージになりますが、経験学習モデルとALACTモデルの違いを図で表現してみました。間違っている等のご指摘があればぜひコメントをいただけると幸いです。
顧客視点がピンときた
教師教育学の本や上記のブログを読んでの気づきは、経験学習モデルは自分の視点で起こった結果や行動、思考にフォーカスを当て振り返りを行い次の実践につなげていくのに対し、ALACTモデルは自分の中のズレや自分と相手とのズレから振り返りを行い、感情まで掘り下げて本質に気づいていくアプローチであり、顧客視点でのリフレクションとして捉えることができるということです。
顧客の感情や価値観まで考え正解を見つけることはできませんが、自分のアプローチが相手にはどう写っていたのか、こんな行動や発言を求めたけど実際は違ったな、あの行動の裏にはこんな感情があったのかな、こんな価値観を大事にしているのではないか、といった視点で考えることで、顧客視点を具体的に考えることができるのではないかと思います。
終わりに
仕事では当たり前のように顧客視点が大事だと言われますが、実際のところ顧客視点はどう考えたらいいかピンとこないところがありました。
そんな中で行為や思考の下にある感情まで目を向け相手とのズレからリフレクションを行う考え方を知りました。このことはリフレクションだけでなく、あらかじめこの視点で仮説を立て準備をすることで、顧客視点の解像度を高めることができるのではないかと考えます。
武田信子さんがALACTモデルのリフレクション解説の記事を書かれており、こちらも勉強になりました。