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【七十二候】霜止出苗(しもやんでなえいづる) 霜は農作物にとって大敵です
こんにちは。佳輪(かりん)です。
贈り物向けに名入れのできる縁起物の包丁を販売しています。
暖かくなり羽織っていた服も一枚少なくても過ごせるような気温になってきました。暦の上では夏も近づき、体感では少し汗をかくような日もあるくらいです。
七十二候の「霜止出苗(しもやんでなえいずる)」の時季は、霜が発生しなくなり、苗代で稲の苗が育つ頃です。
こんな暖かくなっても霜が降りてたんですね。霜は「放射冷却」によって発生します。「放射冷却」とは、日中太陽の光で暖められた地球の表面が、夜になり熱を放出して冷える現象です。例えば、やかんで温めた水も、火を止めて放置しておけばぬるくなっていきます。地球の表面も同じで、太陽の熱をもらえなくなれば、冷えていくんです。
移動性高気圧が発生する春の季節は、晴れで日中暖かく、夜間冷えることがあります。夜間に3~4度まで気温が下がり、晴れて、風が吹かない状態が霜を発生しやすい環境に繋がります。水が氷るのが0度なのに、気温が3~4度というのは、気温の観測地点が地表より1.5mほど高い場所で行うためです。その気温で地表は0度に近い状態になり、霜が降りるのです。曇りだと雲が布団のような役割をして、放射冷却で地表から出た熱を空気中にため、冷えるのを防いでくれるんです。自然の仕組みって面白いですね。
霜は空気中の水分が氷の結晶となり物体につく現象で、霜は農作物の天敵です。霜は農作物の細胞の内や外にある水分を凍らせることで、細胞が壊れて死んでしまうからです。茶畑の上にある扇風機のようなもの見たことありませんか?あれは、地表の冷えた空気を循環させ霜を防止させるものです。
暖かくなり霜が降りなくなってきたこんな時期に、お米の苗づくりが始まります。農業は天候に大きく左右されるもの。普段何気なくいただいているお米は、収穫されるまで幾度となく自然のハードルをくぐりぬけてきた精鋭たちなんですね。
ご飯をいただく時に、感謝の気持ちを忘れずにいたいですね。
佳輪(KARIN)