ルール?展VIデザインのすごい
こんにちは。千葉でデザインを学ぶ大学院生をしております1010です。就活真っ只中。
先日、21_21 DESIGN SIGHTで開催されているルール?展に行ってきました。
( http://www.2121designsight.jp/program/rule/ )
展示の内容もさることながら、ポスターやパンフレットのみにとどまらず展示の仕方の細部に至るまであるデザインのこだわりが、展示全体の価値を底上げしていると感じました。
(それまでもなんとなくこの展示の仕方とか動線作りいいな、と思ってはいましたが、意識的に見られるようになったのは昨年度自分の絵を展示したり、卒業制作展のコンセプトやVIの制作に関わった経験が生きている感があります。母校の卒業制作展リンクはこちらから→ https://ishoten2021.studio.site/ )
ということでルール?展のデザインについて、私が気づいた中で特にすごい…と思ったものをデザイン学徒の視点から紹介したいと思います。
※ちなみにVIはVisual Identityの略で参加者の目にするもの全般の意味で使ってます。間違ってたらこっそりコメントで教えてください。
1.ルールを疑うメインビジュアルがすごい
まずは会場に行く前や入る前、1番に目にするメインビジュアルです。
グラフィックデザインの教科書があれば1ページ目に描いてあるであろうデザインの4原則「整列」「近接」「強弱」「反復」のうち「整列」を疑ったデザインです。すごい。算数で言うと四則演算の中の足し算を疑うようなことです。(ただし傾いている以外は要素がきちんと整列されてとっても読みやすくなってます)
デザインを勉強したことがない人でもルールが破られていることがわかって、展示のコンセプトを直感的に伝えられるビジュアル、かっこいい…。
もう一つ、ビジュアルそのものだけでなく、これを読もうとする人の動きもデザインされているのかな〜と思いました。
傾いた情報を読もうとする時、私たちは無意識に頭を同じ方向へ傾けます🤔。頭を傾ける行為って疑いの象徴ではないでしょうか。頭を傾けて見ている人を含めて、「ルールを疑う」メインビジュアルなのかも。すごい。
2.ルールを呈示するキャプションがすごい
会場内の作品の情報を鑑賞者に伝えるキャプションの展示の仕方もかっこいい。普通であれば、作品のすぐ横の壁に貼ってあったり、立ててあったりするところですが、ルール展では太めのテープに斜めに作品情報と解説が印刷されたものが貼られる形で表示されていました。しかも会場内各所に設置されてある木箱の側面に。
https://www.instagram.com/p/CRlR26CjghN/?utm_source=ig_web_copy_link
展示作品を、ルールのどの切り口から捉えて「ルール?展」に相応しいものとして解釈したのかが書いてあるキャプション。作品の横の目に付く壁に貼ってあるのが普通ですが、木箱に直接貼るかたちが選択されたことに、テーマへの愛とこだわりをかんじます…すごい…
3.ルールを付加する体験とパンフレットがすごい
受付で受け取るパンフレット、最初はした部分に長方形で囲まれた21_21の文字が配置されるのみで、シンプルだな〜と思っていたんです。(この状態で写真を撮りそびれました。)
いたんですが…
会場入ってすぐのブースで「好きなスタンプを二つ押してください」の文字。スタンプには、お馴染みの青い丸や赤い三角で囲まれたそれぞれ違うルールが書いてありました。二つ押すと、シンプルだと思っていたパンフレットが道路標識になりました。
特定の色と図形で囲むことで「会場内でのルール」を「標識」として記号化する。その人独自の「ルールの組み合わせ」がその人独自の「交通標識」になる。さらに、こうやってルールを付加することで、ルールを「守る」か「破る」か「無視する」の3択を課して、いやでも鑑賞者がこの展示のテーマであるルールに関わらざるを得ない状況にしています。そしてこの状態は、私たちが無意識下でルールに関わっている状況を意識的にさせたものでした。
スタンプには原色インクがよく使われることとか、人々がスタンプを縦に二つ押せるようにパンフレットの比率が縦長であることとか、ものやひとの性質を適切に捉えた上での、グラフィックとプロダクトを総動員した体験、これはデザインだ…と感動していました。すごい…!
ルール?展ってすごい
卒業制作展のVIを作っていたのは今からちょうど一年前くらいなので、当時は当時で自分のベストを尽くしていたけれど、今見ると造形的なこともチームの中での役割の果たし方的なことも反省点がたくさんあります。
ただ、前より展示デザインを見るときの解像度が上がったのは、展示のVIを作る作業の中で同期のみんなと話し合ったこととか、一緒に作り上げたり、分担したりしたことの影響だなあと思っています。どこに拘って、何を見せたくて、何を見せたくないかを考えて話し合う経験はとってもいい経験でした。
ルール展ではデザインが綺麗に展示と噛み合っていて、展示全体を通した「ルールを展示すること」の意義の主張がクリアになっていました。
この展示を去年見たかった。そしたらもっと考えられたかも、とか、でも作ってから見るのとはまた違うだろうな、とか、自分の去年を省みながら、展示のデザインの一つの正解をたどっている気持ちになりました。
デザインとしてたくさんこだわりが含まれたルール?展、内容だけでなく、展示方法まで見てみてはいかがでしょうか。本当にすごかった…ああいうデザインができる人になりたいです。
1010
(極力そう取られることのないように書いていますが、批評や言ってみたレポではなく、あくまでこの展示に関わられた方々へのファンレターとして読んでいただけると嬉しいです。)