「フロド」と「夜神月」は何が違うのか?|『ロード・オブ・ザ・リング』(2)
テーマ発表!!
前回に引き続き、映画「ロード・オブ・ザ・リング」をベースに新しい物語を妄想します。
※「ロード・オブ・ザ・リング」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。
妄想開始!
嘉村 それではまいりましょう!
三葉 はい。
嘉村 「ロード・オブ・ザ・リング」は、温厚で欲の少ない主人公が、「世界を滅ぼし得る『力の源』」を葬るために旅する物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?
案①
三葉 まずは、「ロード・オブ・ザ・リング」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。
三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。
嘉村 ふむふむ。
三葉 さて、本作にはたくさんの魅力的な設定が登場しますが、その中でも最も注目に値するのは……「『指輪』を破壊することで悪人を倒そうと旅をしているのに、旅の途中で自らが悪人と化すおそれがある」(上記の「ねじれ③」)です。
嘉村 ほぉ。
三葉 そもそも、本作の「指輪」は「巨大な力」の象徴です。そして、本作では以下の2点が繰り返し主張されています。
①「巨大な力」を持つと、人は必ずそれを使ってみたくなる。
②「巨大な力」を持つと、人は必ずダークサイドに堕ちる(= 私利私欲のために使う)。
嘉村 なるほど。
三葉 つまり、フロド(主人公)らは「正義の味方」ですが……「『正義の味方』ですらも、『力』の誘惑には勝てないかもしれない」というわけですね。実際、「祖国を愛する英雄・ボロミア」というキャラは、闇落ちしてしまいました。
嘉村 確かに。
三葉 で、いま申し上げたような「指輪」の性質から、「『指輪』は、『大量破壊兵器』や『権力』を象徴している」と感じる方が、少なからずいるようです。原作者や映画の制作者の方が、本当にそう考えていたかどうかは別として……「なるほど。確かにそうかも」という気はしますよね。
嘉村 ふむ。
三葉 例えば……ある日、日本の某研究所が、核兵器を上回る超兵器を開発した!政府は困惑します。確かにすごい発明だが……いかん!万一悪の手に渡れば、世界の終わりだ。極秘裏に処分すべし!しかしその時、防衛大臣が呟いた「コイツがあれば、わが国に喧嘩腰の○○国や、最近調子に乗っている□□国を黙らせることができますよねぇ……」。一同沈黙。コチコチコチと時計の音が響く。ややあって、外務大臣が上ずった声を上げた「ハハッ……ハハハッ。ご冗談を……」。しかし、総理は真面目な顔で「やっちゃう?」。外務大臣が目を見開く「えっ!?」。総理は冷静に続けた「かましてみる?」「そっ、総理!お戯れを……」「いや、マジでさ。だって、せっかくの超兵器だよ。コレを使って、オレらが世界に正義をもたらすってのもアリじゃない?」「……」「とりあえず、世界に脅威をもたらす△△国に一発発射してみようか?」。防衛大臣がうなずいた「あー、いいッスね」……なんて。
嘉村 なるほど。
三葉 「平和憲法と戦争アレルギーを持つ日本人といえども、『超兵器 = 巨大な力』の魅力には抗しがたい」というわけです。
嘉村 ふむふむ。
三葉 「『巨大な力』を持つと、誰だってダークサイドに堕ちてしまう」というのは、おそらく真実なのでしょう。「最初は『正義』のために立ち上がったのに、権力を掌握する中で次第に堕落し、やがて私利私欲のために『力』を使う『悪』と化してしまった」……歴史を紐解けば、そんな例は枚挙にいとまがありませんよね。
嘉村 ええ。
三葉 私たちの身近なところにある「腐敗した組織」だって、その多くは初めから腐っていたわけではありません。最初は「正義の組織」だった。ところが特定の個人に「力」が集まるようになり、やがてダークサイドに堕ちていった。……このパターンに該当する組織は少なくないはずです。
嘉村 ふむふむ。
三葉 と、こうして考えると、「ロード・オブ・ザ・リング」によく似た有名なマンガがあることに気づきます。そう……「DEATH NOTE」です!
嘉村 ほぉ!
三葉 「ロード・オブ・ザ・リング」は、フロド(主人公)が「『指輪』 = 大量破壊兵器」を偶然手に入れるところから始まりますが……。
嘉村 ふむ。
三葉 「DEATH NOTE」は、夜神月(主人公)が「デスノート = 大量破壊兵器」を思いがけずも入手するところから始まります。
嘉村 あー、確かに。
三葉 しかし、そのあとの2人の行動は大きく異なります。すなわち……フロドが「『指輪』 = 大量破壊兵器」を破壊すべく旅立ったのに対して、夜神月は「デスノート = 大量破壊兵器」を使って、世界を改革しようとした。
嘉村 ふむふむ。
三葉 つまり……。
三葉 というわけです。
嘉村 なるほど。
三葉 では、同じように「大量破壊兵器」を入手しながらも、なぜフロドと夜神月の行動は、これほどまでに異なったものになったのでしょうか?
嘉村 ふーむ。
三葉 理由はいくつか考えられますが……一言でいえば、性格の差でしょう。フロドは、温厚で欲の少ないホビットです。彼が戦いを避け、「大量破壊兵器」を破棄しようとするのは当然と言える。
嘉村 ふむ。
三葉 一方夜神月は、自信満々(というか自信過剰)な男。彼が「大量破壊兵器」を手に入れたなら、そりゃ世界を善なる方向に導こうとするでしょう。
嘉村 ふむふむ。
三葉 ということで、ここで「案①」!すなわち……「『ロード・オブ・ザ・リング』 ~『DEATH NOTEとコラボ』編」です。
嘉村 ほぉ。
三葉 ストーリーは、以下の通りです。
三葉 「葬るべく旅立つ」と申し上げましたが……そもそも、この「大量破壊兵器」は人間が作り出したものではありません。したがって、どうすれば破壊できるのかわからない。主人公は、「大量破壊兵器」をこの世にもたらした者(死神リューク)に尋ねる。
三葉 しかし……彼は非協力的です。「オレが、何のためにこいつを人間界に持ち込んだと思っているんだ?暇つぶしだよ、暇つぶし。人間どもが無様に右往左往する様子が見たいんだよ!ハハッ!破壊する方法なんて教えるわけねぇだろ!」とあざ笑う。
嘉村 ふむ。
三葉 かくして主人公は、まずは「大量破壊兵器」を葬り去る方法を知るべく、死神に知略戦を挑むことになります。
嘉村 なるほど。
三葉 やがて、「大量破壊兵器」を葬るにはとある場所を訪問する必要があると判明。そして主人公は旅に出る。しかし、旅は一筋縄にはいきません。多くの障害が待ち受けている。
嘉村 ふむ。
三葉 まずは、死神。わざわざ人間界に持ってきたのに、あっさり葬られてはたまらない。「死神に逆らうとは生意気な野郎だ」ということで、主人公を殺そうとする。
嘉村 ふむふむ。
三葉 また、「大量破壊兵器」を入手せんとして、様々な敵(軍、情報機関、マフィアなど)が押し寄せます。何しろ、核兵器を遥かに凌駕する超兵器ですからね。そりゃ誰だって我がものにしたい。
嘉村 確かに。
三葉 さらに1番の問題は……そう!「大量破壊兵器を使いたい」という己の欲望との戦いです。敵が迫る。「いっそのこと、コイツを使ってぶち殺してやろうか」と思う。いや……ダメだ!一度使えば、歯止めが利かなくなるに違いない。そしてやがては、私利私欲のために使うようになるだろう。
嘉村 ふむ。
三葉 かくして主人公は敵と戦い、自らと戦い、最終的に「大量破壊兵器」を葬るに至る……そんな物語ですね。
嘉村 なるほど。
三葉 以上、「『ロード・オブ・ザ・リング』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)