「レベルアップしたらしたなりに苦労がある」というリアリティ!!|【EPISODE6:青龍】「仮面ライダークウガ」に学ぶ(3)
※引き続き、「仮面ライダークウガ」の【EPISODE6:青龍】を分析します。本記事の前に、以下の記事をご覧になることをお勧めします。
【ポイント⑦】「レベルアップしたらしたなりに苦労がある」というリアリティ
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前話(EPISODE5)と本話は、【雄介が初めて青の戦士に変身して戦うエピソード】。
ここでは、雄介が青の戦士に変身し、そして怪人を打ち倒すまでの流れを整理しておきましょう。
▶ EPISODE5の第3幕~本話の第1幕
・Step 1:雄介が「赤い戦士(マイティフォーム)」に変身してバッタ怪人と戦う。しかし、バッタ怪人の驚異的な跳躍力や瞬発力に歯が立たない。
・Step 2:戦闘中、クウガのフォームが突然青色に変化(ドラゴンフォーム)し、跳躍力や瞬発力が大幅にアップする。雄介は驚きながらも、「よし、これならバッタ怪人と互角にやり合えるぞ!」と奮戦する。
・Step 3:ところが、ドラゴンフォームには弱点があった。跳躍力や瞬発力がアップする代わりに、パンチ力やキック力が低下するのだ。雄介がいくら攻撃しても、バッタ怪人はびくともしない。かくして、雄介は敗北してしまう。
▶ 本話のミッドポイント
・Step 4:雄介は「なぜ青色に変化したのだろう?」「どうすればバッタ怪人に勝てるのだろう?」と悩む。しかし、結論は出ない。
▶ 本話のセカンド・ターニングポイント~第3幕
・Step 5:バッタ怪人が再び出現。雄介は現場に急行する。雄介がクウガに変身すると……今度は初っ端からドラゴンフォームだ。いきなり青か!雄介は戸惑う。
・Step 6:クウガとバッタ怪人の戦いが始まる。やはり攻撃力不足が響き、雄介は劣勢を強いられる。
・Step 7:そこに桜子が駆けつけてきた。桜子はベルトに刻まれた古代文字の解読に成功したのだ。桜子が叫んだ「水の心の戦士、長き物を手にして敵をなぎ払え!」。
・Step 8:雄介はハッとする。そうか!雄介は鉄の棒を手に取った。棒が青色に変化(ドラゴンロッド)。かくして雄介は華麗な棒術でバッタ怪人を圧倒し、勝利した。つまり、武器(「長き物」)を使うことで攻撃力不足を補ったのだ。
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さて、ご注目いただきたいのは……
・注目1:クウガは、敵に合わせて自動的にフォームが決まる。そこに雄介の意思は介在しない。
・注目2:いずれのフォームにも長所と短所があるようだ。例えば、ドラゴンフォームは「Up:跳躍力、瞬発力/Down:攻撃力」。
・注目3:ゆえに、雄介は古代文字を解読するなどして、そのフォームに合った戦い方を学ぶ必要がある。
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これ、いいですよねー!
何がいいって……
・素晴らしい1:雄介は、新フォームをなかなか使いこなせず苦心する。
・素晴らしい2:新フォームにも弱点がある。雄介は弱点をフォローしながら戦う必要がある。
そう、新フォームといえども無敵ではない!
「仮面ライダークウガにはリアリティがある」という声をよく聞きますが、きっとこういうところがリアリティの源泉なんでしょうね!
【ポイント⑧】桜子の奮闘
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「本話のクライマックスにおける桜子の活躍」を確認してみましょう。
・Step 1:桜子が、ベルトに刻まれた古代文字を解読し終える。
・Step 2:「水の心の戦士、長き物を手にして敵をなぎ払え」という言葉を一刻も早く伝えようとして、一条に電話をかける。だが、つながらない。
・Step 3:桜子は決意する。こうなったら私が直接伝えるしかない!かくして、桜子はスクーターで走り出した。
・Step 4:桜子が爆走!警察が道路を封鎖しているが、お構いなしに突っ込んでいく。
・Step 5:やがて雄介を発見する。見ると……嗚呼!雄介は、いままさにバッタ怪人と戦っているではないか!急いで言葉を伝えなければ!桜子は急ブレーキを引いた。スクーターが転倒する。桜子は地面に倒れ込む。しかし、彼女はひるまない。すぐに叫んだ「水の心の戦士、長き物を手にして敵をなぎ払え!」。
・Step 6:桜子の言葉をヒントに、雄介がバッタ怪人に勝利する!
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このシークエンス、いいですよねー!
【スクーターで爆走する桜子】は「バイク(トライチェイサー2000)で爆走する雄介(EPISODE4の第2幕後半など)」を、【雄介をサポートしようとして転倒しながら登場した桜子】は「一条を救おうとして転倒しながら登場した雄介(EPISODE2の第3幕)」を想起させます。
「桜子がついに雄介のパートナーになったこと」を視覚的に伝える名シーンと言えるでしょう!
【ポイント⑨】一条と携帯電話のマナーモード
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一条と言えば……そう、携帯電話のマナーモード!
例えば、「ピクシブ百科事典」には以下の記述があります。
(一条は有能だが、)携帯をマナーモードにすることは苦手。張り込み中に鳴ってしまい、存在が知られてしまったこともある。
あるいは「ニコニコ大百科」にも……
(一条は)基本的に何でもできるが、携帯電話をマナーモードにすることだけは苦手。そのせいで何度か窮地に陥った事がある。
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ここでは、一条の携帯電話にまつわる失敗談を整理しておきましょう。
▶ 失敗談1:EPISODE3(第3幕)
一条は物陰に隠れて、不審な男女(じつはコウモリ怪人とバラ怪人)の様子を伺っている。
すると……一条の携帯電話が「ピーピーピー!」。一条は怪人に見つかり、捕まってしまう。
▶ 失敗談2:本話(第2幕後半)
高性能ライフルでバッタ怪人を狙撃しようとする一条。
狙いをつけ、さぁ撃つぞというところで……一条の携帯電話が「ピーピーピー!」。発砲する前にバッタ怪人に見つかり、一条はボコボコにされてしまう。
<3>
なお、EPISODE5(第1幕)には、一条が携帯電話をマナーモード(ドライブモード)にするシーンがあります。
つまり、彼はマナーモードの存在を知らぬわけではない。
それなら尾行中や戦闘中もマナーモードにしておけばよさそうなものですが……まぁ、それどころではないんでしょうね。
続きはこちら!!
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