宵、黎明
徒死した夏日に塞がれた草屋
しどけない鏡面で、未聞の夜歩きが臙脂の遠火を幾筋も差し付ける
不届きな卵塔を濫作しつつ身罷った鈴掛の波及により、憔悴した屏風は観
想を中絶した
入相の紫電に謫れた福音
もう一つの土星と、宵闇に立ち竦むオキシダントの電位差が、なおも蠢動
する火食鳥を手懐ける
醜行を演ずる符号付きくいなはチェロを嗜んだ
荊棘の半減期は、少なくとも取扱説明書には書かれていない
呪いと呪いの径庭を図式化せよ
常夜の国にて図らずも払暁を生起させたのは何者か
書割へと成り果てた密葬から撤退した紫蘭、はたまた、彼は誰時に黙する
和やかな梛?
濃霧に変換されたダリアの潔白が、カッシーニの間隙へ清冽な手蔓を敷設
した
天蓋の剥がれから覗くファルマコン
孔雀石の蝕
東雲に消失した緑風の首飾り
有徴の没薬が惹起した吉報は、「薔薇色の指持つ女神」を準えた梳櫛であ
った