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定数

 ふくよかなヘリオトロープの中指が授けた梟とプランク定数のえにしに、名に
し負う風神は放心した
 それから、健気なゼラニウムが月影へ、含羞を記した錆色の付文を白真弓しらまゆみ
で捧げる

 楕円を描く凶兆に対峙する浄火を遠回りに測量する叛徒は、不見識な蜥蜴
に躓く
 愚直な端末上で、移植された氷柱が釈義への返礼を差し延べた
 程経て、滞留していた供物は謙虚な愚問に感づく
 鳶色の塔の屋上では、竜胆りんどうと彗星が懐旧を温めていた

 覆滅した黙約
 自壊する追想
 緩慢な退隠の拠り所は何?

 補遺を増幅する監視者は、侵入の所以を咎められる
 もし重なる邂逅が易しいのであれば、積み重なった惜別はつぶさに亡失するか
も知れない

 比熱が高い蜃気楼の中、滑空するプラスミドが説き明かす旋律は、時折、
他界よりの先触れを告げ知らせる
 飛泉に感電した酸塊すぐりの密告によって、鄙びた百分率が終焉した

 木蓮が白い手で縫い合わせた風切りに、ひたひたと染渡る残照
 騙られた真成は、禁忌を秘匿している


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