問答無用日本国破壊マニュアル
この作品はフィクションであり、実在の人物/団体/法人/政治活動と関係を持ちません。念の為。
第1章
元々女優としての知名度があった彼女は、衆院解散の時期を狙い議員として立候補し、選挙活動をする事にした。
LINEやSNSをふんだんに使った選挙活動ではあるが、一応公職選挙法で禁じられているためVPNとTor、もしくはi2pを通す事にした。
年配者はかつての橋下徹氏や、つくる会、在特会に彼女を準えた。彼女の政策は次のようなものである:
都庁職員、地方職員を多数首にし、財務省、宮内庁、法務省、こども家庭庁、厚生労働省など殆どの省庁を解体する。
現在の刑法を無くし、新刑法を作ることにする。これによって不同意性交罪も、わいせつ物頒布等の罪も必然的に廃止される。新刑法に廃止する規定を置くからである。
天皇制を廃止する。皇族でなくなった彼らは民間人と同じ様に扱われる。
所得税と法人税の徴収を止める。止める前に残ったは国民に分け与える。利権行政は即刻止める。
彼女は概ねこのような政策を掲げていたが、成功しなくても問題なかった。闇バイトの例を見ると分かるように、無知な若者、楽して稼ぎたい者は少なからず居る上、彼らを操りマリオネットとして動員するつもりだったのだから。
彼女は過去に社長の愛人になっていた経緯とそれに見合う美貌があったので、何なら自衛隊員を洗脳しミャンマーのように軍事クーデターを起こすことも出来たのだ。
彼女は「無敵の人」だったのだ。
年配者や彼らが牛耳るメディアは執拗に彼女を攻撃した。「在特会の二の次」「ポピュリスト」そんな誹謗中傷を彼女にぶつけた。
それは誹謗中傷と言えるか微妙なものであった。彼女にも自覚はある程度あるからだ。私たちは彼女がどこから来て、どこに住んでいるのか知らない。
彼女は「ドクサイシャ」になり、日本の伝統を破壊した。
それが、彼女の目指す世界だったのか?
20XX年、ドナルド・トランプは再選し、「戦争」は激しくなりつつあった。
トランプに原因が全くないと言えば大嘘になるが、私は支持者にも問題はあったと思う。
私の中学校で使っていた歴史教科書にはそう書いていた。
今は私も49歳。3人の子供を送り出し、その子供たちは成人している。
彼女がどんな人であったかを私は知らないし、知りたくもない。
彼女は独裁者として批判されている。然し若い時に図書館で読んだ書籍によると、彼女を賞賛していたのは寧ろ若者だった。
あの若者は一体どうしたのだろう。戦争が長引き地球に住めなくなってしまったため、私は火星に亡命した。
火星には最低限の物しか持って行かなかった。持って行っても狭い居住スペースには置く所がないからだ。
今は少々の本、子供との思い出、たまに来る子供とのニューラフォン………。
私はこの選択を取った事を後悔していない。
(続きます)
彼女の政策は議論の対象であった。然し大多数の日本人には歓迎されていなかった。彼女は政治経験がなく、グラビアとAVを少しやっていただけである。
AV出演の経歴を元に非難する内部の者は、即時に黙らされた。SNSでの誹謗中傷によって。家に押し掛けてくる謎の手合いによって。
日本に蔓延る女性差別を根絶する妨げになる性差別主義者を粛清するためなら、彼女は喜んで手を汚した。プーチン大統領のようにでもするつもりだった。