福祉の現場で働く人に聞いてみた!
みなさん、こんにちは!
先日お届けした若草会見学note前編は読んでいただけたでしょうか?😸🐤
今回は、実際に若草会の施設で利用されている配食・給食ランチや、新人さんから施設長さんまで多岐にわたるさまざまな職員さんへのインタビューの様子を取り上げたいと思います!
配食&給食ランチのご紹介
まずは、Cook Deliさんが用意してくださっていたお弁当やソフト食をご紹介します。
お弁当
主菜
・鶏肉の西京焼き
・鮭の塩焼き
温副菜
・クックデリのだし巻き卵
・きんぴらごぼう
冷副菜
・ほうれん草の白和え
・きゅうりとわかめの酢の物
どれも印象深かったのですが、一番記憶に鮮やかなのはきゅうりとわかめの酢の物です!
冷凍処理されているのに、きゅうりのシャキシャキ食感とわかめのコリコリ食感が感じられて感動 したのを覚えています。
そのほか、コロッケや鶏ももの唐揚げ、栗赤飯やさつまいもご飯、ナポリタンなどのご飯もの、ラ ムネジュレなども用意してくださっていました。
CookDeliさんの配食は全て冷凍されているため、食べる時は自然解凍か湯煎解凍するそうな のですが、揚げ物の食感がしっかりと残っていて本当に驚きました。
ねこ沢は好きな食べ物ランキング2位が唐揚げなので唐揚げにはこだわりがあるのですが、「茹でたて」の唐揚げとは信じられないくらい本当に美味しかったです!
食事で季節の移り変わりを楽しめるよう、行事や季節によってメニューも変えているそうで、秋の味覚の栗赤飯やさつまいもご飯、お祭りやパーティーにぴったりなラムネジュレなどなど、ランチタイムを楽しませていただきました!
また、食べる力、噛む力、飲み込む力の弱い方向けの食事であるソフト食も試食させていただ きました。
ソフト食
主菜
・デミグラスオムレツ
・ソースコロッケ
副菜
・大根のあっさり煮
・アスパラのバター醤油炒め
・キャベツのナムル
・カボチャの甘煮
こうした主菜副菜にお粥などの主食を合わせて食べるそうです。 飽きにくいよう、おかずの味を再現することにこだわって作られているそうです。 実際に味見させていただくと、プリンのような見た目の柔らかい食べ物なのにしっかりとコロッケと ソースの味が口に広がって、一瞬混乱するくらいの再現ぶりでした。
若草園の調理室で作っている給食もいただきました! 給食:・ごはん
・白身魚のタルタルソース焼き
・なます
・すまし汁(湯葉)
給食メニューはメンバーごとに好きなおかずを選んで食べさせていただきました。
ねこ沢は白身魚のタルタルソース焼きを食べたのですが、こちらもとっても美味しくて、毎日こん な栄養満点のご飯が食べられたらいいなぁ〜としみじみ思いました。
ヒヨラーは実は魚が苦手なのですが、白身魚を食べさせていただきすごくおいしくて驚きまし た!
魚料理のソースにタルタルソースを合わせるのはあまり見たことがなくどんな味なのか気に なっていましたが、とても合っていて魚嫌いな私でもおいしく食べることができました。
見学に伺うまで、福祉施設で食べられているランチってどんなものなんだろう?とあまり想像が つかないでいましたが、実際に食べてみて、こんなにも美味しくて工夫が詰まったものなんだ!と 知ることができました。
解凍していつでも美味しく食べられる配食は、職員さんの調理・食材保存などの負担を減らすこ ともできるそうです。
また、施設で利用しているカトラリーと食器もご紹介いただきました。
熱で手元を曲げて使いやすい形に調整して使えるスプーンや、端がカーブしていて料理を掬い やすくなっているお皿、斜めに傾けても食器が滑りにくく落ちにくいトレーを拝見しました。
実際に斜めにしてみました! 🐤↓
カトラリーや食器、冷凍配食サービスなど、施設でのケアを支え、生活に彩りを添える工夫の凝ら されたプロダクトをたくさん目にしました。
障害のある人々の「自分の手や好きな分量で食べたい」「ストレスなく食事をしたい」「美味しくて 季節を感じられるものを食べたい」という気持ちに応えた、日々の暮らしをちょっと便利にするも のを見て、これからもっと色々な分野に福祉の現場のことを知っている人が増えて、さまざまな形 で多様な人の暮らしが良くなるように動いてくれたらいいなぁと感じました。
私(ねこ沢)は将来ものを作る仕事に携わりたいと思っているのですが、今回の見学会で拝見し たような多様なニーズを反映したインクルーシヴなものを作りたいと強く思いました🐈
私たちにとって当たり前のことが、障害のある方たちにとっても当然に当たり前なことであれる ように、細かな部分もきっちりと工夫をされているということは、実際にこのような体験をさせてい ただかなければ気づくことができなかったなと思いました。(ヒヨラー)
以上、ランチレポートでした!
続いてのトピックは...職員の方へのインタビューです!
ねこ沢・ヒヨラー・みんちゃんの3人でストレートに思ったことを伺ってきました。
〜インタビューに参加してくださった職員さん方〜 ・Aさん(若草園所属)
・Bさん(若草園所属)
・Cさん(地域生活室長)
・Dさん(施設長)
・Eさん(わかば所属)
・Fさん(わかば所属)
・Gさん(採用担当)
①仕事で大変だと思ったことはありますか?また、それはどのように乗り越えましたか?
Bさん:あまり大変だと感じたことはない。しいていえば、利用者さんが社会的に好ましくない行動 をとった時に、先輩職員に相談している。
→いろんな先輩に聞くことで、視野を広げるようにしている。
Fさん:重度の障害のある方と関わっているが、最初はどう関わったら良いかわからなかった。
→周りの職員に聞いてみると、それぞれの利用者の特徴を教えてくれた。先輩の力を借りながら 関わり方を考え、自分の力にしていく。
Aさん:言葉のコミュニケーションをとることができない方の意思を汲み取ることが難しいと感じる。
→経験を積んだ職員さんと相談しながら乗り越えることが多い。
②プライベートと仕事をどんなふうに切り替えていますか?
Cさん:24時間何かしら自分の管轄の連絡が飛んでくるので切り替えができているかというとなん とも言えないが、職場にきたら自動的にスイッチが入る。利用者さんの顔を見ると自然とモチベー ションが上がっている。
Aさん:服装を仕事とプライベートと分けている。家に仕事の思考を持ち越さないように、あえて動 画をみたりして別のことを考えるようにしている。
Bさん:職務中はどうしても利用者さんファーストで退勤後は自分のことは後回しになりがちなため、プライベートでは我慢をしないようにする!仕事明けでもカラオケに行きたかったら行ってみたり...。
Eさん:普段人前が苦手だが、職場ではテンションの高いキャラでいく!休みの日に小さいことで も楽しみを作るようにしている。
Fさん:あんまりスイッチを意識したことないが、利用者さんの顔を見ると自然と昂ってくるものが ある。午前から午後にかけてだんだん仕事モードに入っていく感じ。
③福祉業界に入る前にどんなイメージを持っていたか、また働いた後のイメージ
E:大学の専攻が福祉系だった。自分がおばあちゃん子おじいちゃん子だったから、福祉に元々 関心があった。働く前は大変そうというイメージがあった。
一方で、大学で勉強していたのもあっ て、「人との関わり」がある業界なんだというイメージはあった。 大学の実習で高齢分野か障害分野の実習があり、知的障害の方の施設に行った。言葉がなくて も気落ちは通じ合えるという話を講演会で聞いて、障害の実習を選んだ。
→実習先で、言葉はなくても笑顔などでコミュニケーションを取ることができて、就職先として関心 を持つようになった。
Fさん:大学は福祉系だった。入るまえのイメージは大変そうで不安があった。
→若草会に入ってみて、身体への負荷を軽減させる機械・器具を使いながら仕事ができるため、 意外とそんなに体は駆使しないとわかった。
Aさん:大変そうというイメージはなかった。高校生の時は音楽療法に関心があって、大学では音 楽療法を専攻した。その関係でアルバイトやボランティアをしていた。そこですごくやりがいを感じ た。元々音楽療法士になりたかったが、利用者さんの支援をしたい!と思うようになった。笑顔が 多い。普通に働いていたら、ここまで笑顔になれることはないのではないかと感じる。
Bさん:福祉に関わっている人と、関わっていない人の福祉という言葉への理解のギャップを感じ るようになった。支援員をやっているというと、「介護系」と理解される。介護と介助の違いも知ら れていないと感じる。福祉に関わっていない人は、高齢者の介護中心で、障がい者福祉や児童 福祉の存在をあまり知らない。発信していくことが大事だと思う。
例えば、若草会で行なっている「わかば」の施設見学や一部フロアの一般解放など。子供を中心 とした地域との関わりを持っていくことで、ギャップを埋められるのではないかと思う。 →若草会の法人理念「共に歩む」を具現化できる施設を作っただけじゃなく、広報して、地域の サークルや子供たちの英会話教室などを呼び込んだ。若草祭の開催も行っている。
福祉自体や、若草会自体を知ってほしいという側面と、楽しい・面白いを作っていって(自然に)そ れが福祉につながっていたとか、子供の頃通っていた英会話教室があとから考えてみたら若草 会だったみたいな側面があればいい。そういう二つの側面がある。
Gさん:福祉を全面に出す!というよりは、たまたま手にとった商品、たまたま入った施設が、「若 草だった」ぐらいの、自然に福祉が溶け込んでいる社会になっていければ。
④障害のある人とどんなふうに関わったら良いか教えてください。
ヒヨラー:私が見学中に実際に体験したことなのですが、職員さんの説明を聞いているときに急 に、利用者さんがすごく近くに来られてとても驚いてしまい、体をよけるようにしてしまいました。
今回の経験もですが、これまでも障害のある方と関わる中でどのように関わったらいいのかわか らず、「怖い」と思ってしまうことがありました。
このような時にどうしたらいいのでしょうか?
Dさん:正解がないが、ただ「だめ!」と言うだけじゃなく、伝えたらわかる人たちなのできちんと説 明する。
Aさん:事前にどんな人か知っている(なぜ近づくのか、興味があるだけとか)から、挨拶をして じっと見守っている。人間観察するイメージ。叩いてリアクションしてほしい人もいるので、淡々と 返すように心がけている。
Eさん:ふれあいの好きな成人男性の利用者さんと手を繋いで関わっていた時、利用者さんが施 設の外に出た時に同じように振る舞ったら社会的にどう見えるかを考えることも大切だと先輩か らアドバイスをもらった。
〜インタビューを終えて〜
ヒヨラー 🐤:「知らない」ということを少しでも減らしていきたいなと思いました。
知らないから「怖 い」と思うし、その人がどのような人なのかということを考える余裕がなくなっていたんだなと気づ きました。
インタビューでこのようなお話を伺う機会があったことで、その後の自分の行動や意識 に変化が現れるようになりました。
ねこ沢🐱 :若草会さんを見学させていただく中で、多くの障害のある方々と関わらせていただきました。
発達障害のある私の家族のエネルギッシュさとは異なって、穏やかに静かに活動されて いる方もいらっしゃって、家族や友人、知人に障害のある人がいても、だからといって障害につい てよくわかっているわけではないな、と改めて認識しました。
見学会前半は「無自覚に失礼な言動になっていないかな...」とか、「利用者さんにどんなことを 伺えばいいんだろう」とか思って固まってしまっていました。
というのも、いまだ多様な人々の人権 を尊重する意識の根付いていない(また、1人の人として扱うことができていない)社会で生まれ 育ったため、私はおそらく相手(特にマイノリティに対して)を尊重したコミュニケーションをとる方 法を十分に習得できていないだろうと思っていたからです。
もう少し踏み込んで言うと、「たとえ私 自身が相手に好意的で優しい気持ちをもっていたとしても、振る舞いとして現れるのは無自覚な 差別的言動である」ということがありうるだろう、と思っていたためです。
そうした理由から、どんな ふうに接すれば良いか...と悩んで、体がこわばっていました。
ですが、職員さんの関わり方を見学したことや、利用者さんが私たちのインタビューを楽しみに してくださったり、真摯に自分の言葉で答えてくださったりしたことでだんだん緊張が解れていきま した。
利用者さんに対して「目の前にいるこの人の笑顔をもっと引き出したい」「もっとその話を聞 きたい」次第にそういう気持ちで関われるようになっていったように思います。
障害のある人との関わりに身構えてしまう人の多くは、おそらく今までの私たちのように知識や 経験がない人たちなんだと思います。
相手に障害があってもなくても、大切なのは、相手がどん な人か知って自分や相手の気持ちを考えながら接し方を変化させていく...そういう方法で共に生 きていくことなのだろうと思います。
見学会では、利用者さんと職員さんの関わりを実際に目にす る機会があったからこそ、私たちは少し肩の力を抜いて利用者さんと関わり始めることができました。
まとめ
今回の記事では、ランチやインタビューについて取り上げさせていただきました。
ねこ沢個人としては、見学会を通じて、障害のある人、そのご家族、職員さんなどさまざまな人の 生活や幸せ、尊厳を守るために生み出されたプロダクトや、行われている工夫、働く姿をたくさん 目にすることができてとても嬉しかったです。
ひとの幸福を実現するために奮闘する方々を見て、私もこんなふうに働きたい、私の好きなこと や得意なことを生かして誰かの幸福を支えたいとあらためて思いました。
みなさんはこの記事を読んでどんなことを感じましたか?
ヒヨラーさん からの見学会振り返りコメントもご紹介します🐤
見学会に参加し、たくさんのお話を聞かせていただきました。
もともと持っていた施設に対する イメージとは全く違い、とても明るく利用者さんと職員さんが生き生きとされておられたのが印象 に残っています。
振り返りを行う中で、まだまだ障害のある方と距離があることに気づきました。
利用者さんにイ ンタビューをしているときに、無意識にいつもより言葉遣いや言葉選びに慎重になっていました。
職員さんのお話を伺っていると、利用者さんを障がいのある方という認識で見るのではなく、1人 の人として接しておられるように感じました。
職員さんと同じように接するのは経験や知識が足り ないためにすぐにはできませんが、1人の人として接することができるようになっていきたいと思 いました。
ねこ沢 は、先日「こころの通訳者たち」というドキュメンタリー映画を観てきました🐱
※聞こえない人の言葉を見えない人に翻訳する過程を映したドキュメンタリー映画。舞台手話通訳者をテーマ にしたドキュメンタリーに、ユニバーサルシアターや演劇、当事者を含めた関係者が音声ガイドを付けるために 試行錯誤する。
その中で、演劇の監督さんの「難しいって自分には分からない、理解ができていないことを指して 難しいと言うんだと思う。見える人には見えない人の感覚は分からないから、それが関係を難しく してしまっているんじゃないか。」といった内容のお話がずっと心に残っています。
ヒヨラーさんが言うように、相手がどんな人か、どんなふうに関わったら喜んだり悲しんだりする のかが分かっていないと、相手と関係をもつときに妙に肩の力が入ってしまったりするんだと思い ます。
社会全体でそういう知識や認識の違いを少しずつ埋めていって、自分には分からない相手の世 界が「難しい」けど「面白い、もっと知りたい」というふうにどんどん変わっていってほしいです。
そしてそう願うだけじゃなく、実際そんな世界が1秒でも早く来るように、私にできることは何かを考え、行動していきたいと思います。
インタビューでも伺いましたが、日常に福祉が溶け込んでいて、多様な人に接し、知ることので きる機会をたくさん作ることが大事なんだと思います。
若草会さんでは、そのために地域の人々に施設の一部を解放したり、施設内外の人がコミュニ ケーションを取れる機会を作ったりとさまざまな取り組みを行っています。
地域の他の法人さんとも連携し、職員さん同士でアイデアを出し合いながら日々働いて試行錯誤 を重ねているそうです。
やりたい企画はいろいろあるけど手が回らない...ということもあるとか。
私たちは、今回の見学会を通じて学ばせていただいたものをできる限り言葉にしてみましたが、 記事では語りきれなかったものごとがたくさんあります。
今回の記事を読んで若草会さんの活動に関心を持たれた方は、ぜひボランティアや行事などの 機会に現場に足を運んでみてくださいね。
若草会さん、Cook DeliさんHPはこちら
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