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鎌倉北じま 2025.02
はじめに
鎌倉にある日本料理店「鎌倉北じま」に参りました。
店主の北嶋靖憲さんは和久傳ご出身。
ご地元の鎌倉にお店を構え、その地で頂ける豊かな恵みと「さかな人」長谷川さんから仕入れる食材を使用したお食事を提供されています。
(↓前回の訪問はこちらから)
実際に食べたもの
当店では、昼夜共通でおまかせコース(33,000円、税込サ別)を提供されています。
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白味噌の粕汁に、海老芋、三浦大根、上には素揚げのフキノトウを乗せて。
粕汁は非常に細やかな味わい。米味噌や酒粕の甘みや旨味、そしてほんのりと香り高さを残した柔らかな球体がふんわりと口内を包む。
三浦大根は瑞々しさと加熱による甘みが爽やかさを加え、フキノトウはほんのりと苦味の線を引くように消えていく。
海老芋は柔らかく炊いたものを一晩寝かせ、米粉で打って揚げたものをさらに炭火で焼く。
ねっとりしっとりと舌を纏う口当たりと優しい甘みに、衣の香ばしさと汁を吸ったジューシーな口当たりを楽しめる。
一方、最後に炭火で焼く工程があることで、粕汁や大根、海老芋の味わいが淀むことなく、澄んだ味わいを保つ。
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2月は節分ということで、鬼の苦手な鰯と柊を使ったフライと、豆を使った飯蒸しを。
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鰯のフライは柔らかく炊いてから揚げる。
水分を保持されしっとりしつつも、じっくり火入れされたことによってふんわり。繊維の解れと共に、滑らかに浸透する脂には爽やかな酸と香り高さを持つ一方、臭みや収斂味が全くない。
飯蒸しは淡い鮮やかさを持つ。もっちりとした餅米に、柔らかな甘みの五目、そして大豆の食感と香ばしさのアクセント。
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伊東のマグロは海老を餌としていることもあり、酸や鉄の味わいが控えめであることが特徴。
そして、神経締めを施した魚は、死後硬直の抜けるスピードが緩やかとのことで、さらりと爽やかな甘みと旨味を孕んでいます。
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鮮明な海老の香りよりも、ロ当たりと脂の口溶けに重きを置きたいとのことで、金目鯛はあえて一晩寝かせて。
死後硬直が抜けた、ふんわりと口の温度で解ける肉質。
少しずつ増幅していく甘みと旨味は、ほんのりとろみと色がついた印象を受けました。
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こちらの白子も神経締めを施したもの。
むっちりぷるんと弾力を伴う、活き活きとした口当たり。そして、炭焼による香ばしさが乗っかる。
その甘みはミルキーだけれど透明感があり、瑞々しさを残したかぶれ、柚子による心地良い香りを引き立てあう。
白子は味わいがとにかく濃厚なイメージですが、こちらの品からは、清らかな生命力を感じました。
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数多くの食通を虜にする、通称「異次元のアンコウ」。
目の前で炭焼きするお姿を拝見できました。
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なまこは70度のほうじ茶で1分ほど茹でて、少量の土佐酢を加えた鰹出汁でゆっくり漬け込んだもの。
なまこらしいコリッとした食感はありつつも、その厚切り加減に反して柔らかい。一回で完全に繊維を断ち切れてしまいます。
合わせるイバラカニモドキは、穏やかなミネラルと旨味。品全体に対して彩りと華やかさを加えますが、「蟹味」とならず調和される。
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あん肝 スイカの奈良漬け
衝撃的でした。
鶏の筋膜とはまた異なるムチッとした噛み応えと、ショキショキと力強さとしなやかを持った繊維の解れ。
優しく流れるエキスは、ほんのり甘みと炭の香りが移されて。
内に秘める、生命力があらわになっていく感覚。
あん肝はフォアグラのごとく厚みのある甘み。
しかし、その純度と柔らかな磯の香りと相まって、しつこさがまるでない。
そして、スイカの瑞々しさによって丸みを帯びた酸と食感のアクセントが凛と響く。
あん肝を使用していると思えないほどに、各食材の存在が明瞭で清らか。
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山菜は採れたてをそのまま使用。
甘みととろみのある鍋で頂きます。
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猪は、薄切りの中にもしなやかな弾みを感じる。そして甘みを持ちつつも、さらりと澄んだ脂。
山菜は、ほんのり甘みとほろ苦さを孕みつつも、爽やかで朗らか。そして、驚くことほどにエグミが全くないです。
鍋のとろみとふくよかな甘みが、全体を優しく包みます。
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締めのお食事に関しては選択肢があり、複数選択・量の調整が可能。
この日は①鯖寿司②ブダイの炊き込みご飯③ミンククジラのラーメン④エイヒレカツの卵とじ丼⑤あんこうの雑炊の5種類。
もちろん、全て大盛りでお願いしました(笑)
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写真でも分かる通り、ぷりっと肉厚。口いっぱいに頬張る幸せと、ショキショキと繊維を断ち切る楽しさ。
脂と旨味にはふくよかさを感じながらもも、爽やかで澄んでいる。
仕上げに炭で当てた、炭の香りと皮目の香ばしさが心地よく溶け込む
シャリは塩と酸が凛とした味わいに。鯖の広がりを引き立てながら、輪郭を引き締める。
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もっちりとした炊きあがりのお米に、セリは揚げたことによる香ばしさとほろ苦さの余韻。
生姜のシャキシャキ瑞々しい食感と味わいが顔を覗かせます。
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醤油ベースの、ミンククジラのラーメンスープに、上にはクジラのベーコン。
滋味深く爽やかな旨味と、澄んだ甘みを感じます。
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エイヒレを薄手の衣でカツにして、卵とじ丼に。
エイヒレカツの食感と味わいが忘れられない。
サクッとした衣の後に、コリッとヒレの食感、ぷるんとコラーゲンの食感。一口で色々な顔を楽しめる。
そして、透明感の中にぎゅっと詰まった甘みを感じます。
また、卵はぷるんと半熟を保ちながらも、お米がべちゃとならないようにしっかりコーティングされた、程良い火入れ。
出汁の甘みと卵の旨味、アクセントとしての山椒が綺麗に溶け込んでいます。
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淡さの中にエキスを感じるお出汁に、ホルモンによるぷりっとした弾力とイカのようなミルキーな甘みが良いアクセント。
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繊細なまろやかさを持った杏仁豆腐に、晩白柚の皮とわたの粉末が甘みと爽やかさを加える。
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菜の花の餡で作った小菓子とお抹茶で締め。
総論
ひとつひとつの過程に理由があり、それが生きて皿へと映される。
産地に近いという立地的有利や、さかな人長谷川さんを始めとした生産者との繋がりを活かすだけではなく、食材ごとの特色に目を向かせていらっしゃるのが良く分かる。
例えば金目鯛は、豊かな海老の香りよりも、口当たりと脂の口溶けに重きを置いて、あえて寝かせたり。
ただ、その選択は温かなお人柄も反映されておりそれがこのお店のお食事を、特別なものとしていると感じました。
サービス
店主北嶋さんは勿論、スタッフ皆様が気さくで細やかなお人柄。ますますファンとなるようなおもてなしでした。
以下、印象的だった点をまとめます。
心地良い親しさ
お仕事をテキパキとされながら、ごく自然にお話を振ってくださり、お食事やお飲み物の説明をくださったり。思わず、沢山話しかけてしまいました。また、10月に訪問したことも覚えてくださり、大好きなフレンチやレストランのお話も振って、お付き合いくださいました。
1人1人のゲストに寄り添いながら、全員を巻き込むようなおもてなし
コース中にあった演出に気付いたゲストの一声や、海外からのゲストへ猪鍋の説明をする際の「猪」の直訳など、ゲストとお店の方全体で楽しんだり、笑ったりする場面も。
きめ細かさの中に人情味と申しますか、思わず顔が綻んでしまうような温かさのあるおもてなし。
お値段
コース×2、日本酒半合×2、ノンアルコールドリンク×1で、計76,800円/2名でした。
まとめ
前回あんなに感動したのに、2回目の訪問でも冷めないときめき。
寧ろ、より沢山お話をさせていただき、よりファンになっていきます。
また伺いたい!