大器晩成型な夫と竜頭蛇尾型な私
夫と私は似ているところがたくさんある。基本的な思考、会話のスピード、生活のテンポ感など、ずれてたら一緒に生きるのしんどいなと思うところが全くずれていないと私は感じる。よく同じ言葉を同じタイミングで使う。
一方で、全く似ていないところも多々ある。一番違うところは、今日のnoteの題名になっている四文字熟語が綺麗に表している。そんな夫と私のエピソードを今日は書く。
私は3歳から公文を始め、確か6歳くらいの時に幼児優秀児と認定を受けた。勉強もさることながら、背も高く、足も学年でトップクラスに速く、歌も上手かったので、常に学級委員長や学年代表を務め、「神童」やら「文武両道」やら持て囃され無双状態で幼少期を過ごした。
しかし、高校生になったあたりで身長は止まり、勉強は頭打ちし、運動も苦手になり、多才な同級生の中で完全に自信を失い大学受験も失敗した。それでも何とか過去の栄光にすがり、一日12時間ほど泣きながら勉強して、やっとこさ夫の1ランク下の大学に合格した。就活もその勢いで突破し、入社してすぐはキャッチアップも早くそれなりに評価もされていたが、2~3年経つと息が続かなくなった。迷走を重ね、今は細々と働いている。
夫はというと、私とは対照的に幼少期すごく成長がゆっくりさんだったらしい。トイレの自立も時間がかかったり、友達が遊んでいるのをぼんやり見ていたり、居残り給食していたと言う。なんでも効率よくこなし、頭のキレるロジカルモンスターな今の夫から全く想像できない。
その後サッカーや勉強を始め、だんだんと要領を掴んできた夫は県内でトップの公立高校に進学した。一度目の大学受験は失敗し浪人するが、飄々淡々と勉強を続け、結局私がセンターの点数的に受験さえ叶わなかった日本屈指の国立大学に合格。就職活動も一筋縄ではいかず、学部時代は受ける会社全てとにかく落ちまくったらしいが、院進し留学やビジコンや学会発表を経て一流企業に内定した。社会人になってからは着実にスキルを身に着け成果を出し、周囲から尊敬される人間になっている。
夫のエピソードは割といつも挫折から始まるが、彼はそれをあまり挫折とも思っていない。受験やら就活やらで私みたいな人間が焦ったりムキになったりしている間、ただマイペースに彼の人生を生きている。何事も無理をしていないから持続力があり、アウトプットの質も情緒も安定している。
彼を見ていると、大器晩成型の人間は自分を信じる力が圧倒的に高いなと思う。いつも一定壁があることを楽しむ心の余裕がある。最近も序盤でレベル上げがうまくいきチート状態になったゲームのデータが消えたことを、「むしろ面白くないから消えて良かった」とあっけらかんと言っていたのが印象的だった。(私だったらその状態でゴールに持っていく方が楽しいし、データが消えたらショックで泣いちゃう。)
こんな二人の組み合わせの夫婦。夫はどうかわからないが、私は非常に相性がいいと感じている。なぜなら、何かに取り組む時に力を発揮できるタイミングがずれるからだ。例えば家事や猫のお世話。全て最初は私が「ちゃんとやらなきゃ!」と気を張り詰めて頑張っていた。だが、私がだんだん息切れして適当になってきたころに、夫のスキルと行動が急に追いついてくる。
最初は私の頑張りが空回りしたり、のんびり構えている夫にイライラしたりする。でも、夫の追い上げ後はおんぶに抱っこで甘えているので、心の中で「あの時はごめん、ありがとう」と思うことが多い。
竜頭蛇尾だとあまりにも尻すぼみなので、私はもう少しバランスよく生きていきたいものだ。短距離走で夫にバトンパスするのではなく、一緒にマラソンを並走できる人間になりたい。別に竜にならなくていいから、最初から最後まで立派な蛇として邁進し生きていきたい。
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