ダブり〜3限目〜E

学校が終わり俺はルートへ向かった。
「おー!ユウ、待ってたよ」
とゴウがゲームをしながら言った。

俺は
「で、それからどうなった?」
と聞くとゴウは
「とりあえず今日からモトキタのボディーガードをすることにした」
と言った。

俺は
「なんだ?それ!?そもそもモトキタはボディーガードなんて望まねぇだろ?」

ゴウは
「そうだろうな!だからモトキタの家の周りに
何人か張り込みさせる事にした。そうすれば
怪しそうな奴片っ端から拉致ればいいからな」
「よしっ!もう少しで、クリアだ」
と呑気にゲームをしなが言った。

俺は
「お前なぁ・・モトキタにもプライバシーってのがあるだろ?バレたらそれはそれでマズイんじゃないか?」

そんな話しをしているとゴウはゲームオーバーになった。

「あっ!くそっ!!もうちょっとでっ」
「あぁーっ!もう1回っと」
と言った。

俺は
「聞いてるか?」
とゴウに聞くと

「大丈夫だっ、今日この後にでも偶然を装って
俺がモトキタに会って話すから。とにかくユウはおっさんから情報聞いてくれ」

でも、モトキタもあんな事があって少し不安
だろうからそれはそれでいいとこの時は思って
いた。

すると電話が鳴った。
俺はゴウの肩をたたいて画面を見せた。

「ゴウ、噂をすればマミさんからだ」

俺は
「もしもし」
と通話ボタンを押してからスピーカーにした。

マミさんは 
「おう、今日の事だけどな!お前ら、変なこと
考えてないだろうな?」
「学生は学生らしくナンパでもしてればいいから
余計な事するんじゃないぞ!」

俺は
「は?そんなの今の時代流行らねぇよ」
「で、どうだったんだ?」

マミさんは
「あれは血だ」

俺とゴウは向き合った。

一瞬スピーカーをミュートし俺はゴウに
「そんな事ある?」
と言った。

スマホの向こう側でマミさんは
「おーい、聞こえてるか?」

俺はミュートを解除して
「聞いてるよ、ほんとに血なのか?」
「とは言え誰の血なんだ?まさかストーカー本人って事はねぇよな??」

マミさんは
「残念ながら犯人のではないんだ」
「そうだったらすぐに身元がわかるんだけどな!
あの血はどうやら動物の血のようだ」

「うわっ、キモっ!」
「クソっー」
とゴウが言った。

そしてゲームオーバーになった。
どうやらゲーム台に話していたようだ。

するとマミさんは
「ユウ、隣に誰かいるだろ?さてはオカウエじゃないだろな?」

それを聞いたゴウは
「よっ!おっさん、そこまで分かるってやっぱ
警察なんだな!優秀だ」

マミさんは
「お前、口の聞き方には気をつけろよ」
と言った。

ゴウは
「いいじゃねぇか!別に!ガキの頃はおっちゃん
って言ってた仲じゃねぇか?ばぁちゃんも気にしてたぞ」

するとマミさんは
「ばぁちゃん元気か?」
「お前、ばぁちゃんに心配かけんじゃねぇぞ」
「それとこれは別!お前も、もう大人だろ?
目上の人にはしっかり話す。」

「へいっ」
とゴウが言った。

その返事を聞いたマミさんは
「ったく!わかってるのか?」
と言っていた。

ゴウはそんな事は気にもせず
「ユウ、じゃー俺らちょっと行ってくるわ」
「また連絡するから」
「おっさん、またな」
と言ってルートから出て行った。

俺はスマホをスピーカーから元に戻して
「わるいっスね、わざわざ」
とマミさんに言った。
マミさんは
「でもアイツ元気そうで良かった」
「あっ、お前これから時間あるか?」
と聞いてきた。

俺は
「マミさん、俺この後スタジオ行かないと」
「急ぎの話?」

するとマミさんは
「ムラマツの事をお前に話すか話さないか
悩んだんだ」

俺は
「そうなのか?」

マミさんは
「でも、お前はオカウエの親友だし、話すべき
だと思って」

俺は
「そっか。それはそうとゴウもこの間やられたのがショックでリベンジに燃えてるよ」

マミさんは
「あいつはぁ〜まったく」
「じゃー余計に、お前には話しているほうが良さそうだな」
「今日じゃなくていいから、近々時間作れ!」
俺は
「了解!」
と言って電話を切った。

その時はただムラマツの情報を知るって事だけの
内容だと思っていた。

俺はそのままスタジオへ向かった。


ゴウとは
小学校何年だったかな?

1年?2年?3年?

いや3年だ!
3年の時に同じクラスになってからずっと一緒にいる。
最初から今のように仲が良かったわけではないが

ある事がきっかけで仲良くなった。

俺は幼い頃から好き嫌いが多く、
小学校の給食はとても苦手だった。
自分が嫌いなものは、タイケやナカヒロに食べてもらうといった小学生では御法度な行為をしていた。
そんなある日、給食で昆布の煮付けがでた。

タイケが風邪で休み、ナカヒロは女子からのお供えで山ほど昆布を食べていた。
ナカヒロのバキュームもさすがに昆布に飽き、
俺が昆布を渡すと
「わりぃ、もう食べれない。てか飽きた。いや
吐きそうだ」
と食べ過ぎで体調を悪くした。

俺は食べる事が出来ない昆布の煮付けをただ見つめていた。
教室では1人、2人、また1人と食べ終わり校庭へ
遊びに行った。
教室に残ったのは俺ともう1人。

それがゴウだった。

俺はそんなゴウに話かけた。
「お前、昆布嫌いなのか?」
するとゴウは
「いや嫌いじゃないけど・・」
と言った。
俺は
「嫌いじゃ無いなら食べろよ」
と言うとゴウは
「この味付けが嫌いだ」
と言った。
俺はこのままだと、ゴウと共に5時間目もこのまま昆布とにらめっこになると覚悟した。

その時だった。

「コニシくんさ、昆布きらいなの?」
とゴウが話かけてきた。

俺は迷わず
「うん。嫌いだ」
って答えた。
するとゴウは安心した様子でこう言った。

「じゃー捨てようよ」

この行為は小学生の俺にはとてつもないくらいの
重罪だ。
もしバレてみろ、ものすごい勢いで裁判が開かれ
クラスメイトから、魔女の様に扱われる。

だけど何故か心強かった。

俺は、この後開かれるかもしれない魔女裁判も
ゴウとなら乗り越えられると思ったのだ。

だから俺は
「おう。捨てよ」
と言って、ビニール袋に2人の昆布の煮付けを
入れて口を縛って、教室の窓から学校の外へ
投げ捨てた。

ゴウは
「コニシくん、内緒だよ。2人だけの秘密だから」と言った。
俺は、
「ユウでいいよ!あぁ2人だけの秘密だ」
と言って2人で校庭へ出た。

さも完食したかのように。

これが俺とゴウの出会いだ。
昆布の煮付けが繋いな俺とゴウ。
俺はいまだに昆布は食べれないが、昆布は好きだ
だって昆布がこの世になければ煮付ける事もないし、給食になる事も無かった。
それよりもゴウと親友になる事が無かったから。
だかは俺は昆布に感謝している。
いつか昆布の味がわかる時が来たときには、、

違うっ!

昆布の話ではなくゴウの話だ。

ゴウは、幼い頃に両親が離婚し母1人で育てられていた。
母1人ではなかなか難しい事もあり、よくおばぁちゃんの家へ行ってたようだ。
はやい話が、おばぁちゃん子だ。
でも、小学校を卒業する前に母親は無理が重なって病気でこの世を去った。
それ以来おばぁちゃんの家で暮らしている。
中学になると素行が悪くなり良く警察のお世話に
なった。
そんな時、ゴウの母親と同級生だったのがマミさんだ。
マミさんはゴウの父親とも同級生って話だが
あまりその事は話さなかったようだ。
でも俺から言わせればマミさんが父親なんじゃないか?って思うくらい良く一緒にいた気がする。

はやい話がゴウはよく補導されていたって事だ。

そんな2人の関係があった事で俺もマミさんには
良くしてもらっている。

そんな事もあり現在へ至るってわけだ。
今俺がこうしてるのはすべて昆布が繋げてくれた
んだと思う。

3限目Fにつづく

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