キウイフルーツは固まらない

※お立ち寄り時間…3分

机のアイスココアが涼しげな音を立てる。
おやつに食べようと早起きして作っていたフルーツゼリーが上手く固まらず、本日のおやつは、アイスココアとなった。

どうやら、キウイフルーツが原因らしい。
キウイフルーツは、ニュージーランドの果物で、キウイという鳥がモチーフになっている。ちなみに、ニュージーランド人のことを現地では、キウイと呼ぶ。

そんなことをグルグルと考えながら、アイスココアを飲んでいると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。

「外、にわか雨だよ。洗濯物大丈夫？」
「親切にありがとう。取りに行くね。」

隣人が声をかけてくれた。
彼女は、ブラジャーとパンツだけだった。
手を振ってくれた。たわわに揺れていた。
どうやら、外は暑すぎるらしい。

「あれ、タオルがない。」

急いで洗濯物を取りにベランダに向かうと、お気に入りのタオルケットが無くなっていることに気がついた。

先ほどの彼女に、タオルが混じっていなかったか確認したのだが、不明とのこと、行方知らずとなってしまった。盗まれたようだ。

「あれ、こっちは…？」

いつのまにか雨が止んでいた。

気持ちよさそうに、真っ赤なブラジャーとパンツがそよそよ風に揺られている。
申し訳なさ程度の小ぶりなカップがゆらゆら揺れる。

先ほどの彼女は、まだブラジャーとパンツのままだった。動くたびにたわわに揺れる。親切な彼女は、風に飛ばされたのかも、と探してくれていた。

いいなあ。

雨はもう止んだ。
けれども、お気に入りのタオルは、何処かへ消えてしまっていた。
それから、ささやかな私の乙女心も。

どれもこれも、きっとキウイフルーツが固まらない所為だ、と強く思った。

いや、思わせて欲しかった。