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エッセイ【お立ち寄り時間1分】雨の日には冷えたスプーンを―非常階段でブルースをふかして―


「若くて、愛嬌があると腹が立つのよ」


『心に残る上司の言葉』を見て、何故かこの言葉が不意に頭に浮かんだ。

『若さ』という無限な未来に対する羨望なのか。
『愛嬌』という特性に対する嫉妬なのか。

いずれにしても、言われた側としては、なかなかに衝撃だった。正直、胸くそ悪い。もちろん、感動なんて一ミリもしていない。
百歩譲って、未来のあるダメだしならまだしも、360度どこから見てもシンプルな悪口だ。それはもう、清々しいほどに。

もちろん、救われた『忘れない』言葉も沢山ある。しかし、人間とは不思議なもので、傷ついた言葉のほうが、心に深く重く根を下ろす。

『言葉』の受け取りかたは、自分次第だ。
当時の私は、懇切丁寧に受け取っていた。だから、ひどく傷ついたし、沢山泣いた。

しかし、今となっては、『受け取らない』という選択もできたなと思う。悪意むき出しの人には、同じように悪意を熨斗に包んで贈り返す。いらない『悪意』には、それ相応の態度で接し『相手にしない』スキルを身につけた。

また、出来る限り前向きな言葉を選ぶようにしている。
『言霊』ともいうが、なるべくならポジティブな言葉で自分を飾ってあげたい。もちろん、腹が立ったことや嫌なことも、ちゃんと消化するけれど。


『若くて、愛嬌があると腹が立つのよ』
結果、胸くそ悪かったけれど、自分を前向きな形に変えてくれる言葉となった。マイナスの言葉は、時として、強くて熱い『原動力』に変化する。

例えば、『ジャズ』だ。
『ジャズ』は、奴隷解放された黒人により生まれた音楽だ。音楽を通じて、彼らは蔓延る『差別』と戦った。スウィングジャズからモダンジャズに、歴史はどんどん形を変えていく。白人から、幾度となく自分たちの音楽や歴史、人権を搾取、抑圧されて続けても、新しい文化を奏で続けた。

そんな『ジャズ』のように、新しいカウンターを、絶えず繰り出していきたい。本当に、自分次第で『未来』は創り変えることができる。

今、上司が何をしているのか知らない。
また、いつかどこかで会うことがあったら、パワーアップした私を見て、また大いに腹を立てるかもしれない。

さて、楽しみだ。


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