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小説【お立ち寄り時間1分】雨上がりの空の下、白いスニーカーを履いて

「雨だ…」

君を好きになったのも、こんな雨の日だった。
落ち込んでいた僕の足元に現れた君。雨模様だというのに、白いスニーカーを履いていた。

「汚れちゃうよ?」
「大丈夫だよ」

咄嗟に口走った僕に、君はにっこり微笑み、優しく手を引く。

「濡れちゃうよ」
「溶けないよ、お砂糖じゃないから」

雨がワルツみたいに降ってきて、流れるように君が走り出す。

「雨って、日本語みたいね」

空を見上げて、無邪気に君が笑う。
大きく、強く、眩しく。
白いスニーカーが、楽しげに水たまりを捕まえる。


そう、この人だ、って思ったんだ。
間違いなく、透明に。

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