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歌集『きみを嫌いな奴はクズだよ』 (2016)木下龍也 書肆侃侃房
「この歌集は余白ばかりで、言葉が寂しそうだ。それならいっそ俺に下さい。曲を付けて音楽にしてしまいたい。それ程に素晴らしい。(クリープハイプ 尾崎世界観)」(本の帯の紹介文より)
「お墓の代わりに買った中古車は水没してもしばらくは見つからないような深い青 底から引き揚げられた車は 夢見るように海水をこぼしながらクレーンに吊られている あの深い青は失われていて だけどそれがとても似合っていた ここは天国じゃない 天国以外に行くあてはなかったはずなのにな」(作者あとがきより)
山口県出身の若き歌人の第二歌集。故谷川俊太郎と親交が深かった作者のことばは触れた瞬間、詩のように読み手(聴き手)の空間をダンスする。ことばは乾ききった霧のように身体にまとわりつき、グサッと勝手に染みこんでくる。作者の世界へ向けるまなざしはクールでポップでキッチュでカオスみたいな底なしのロンリネスである。
だけど、それがことばとなってリアルに立ち上がり、さびしき読み手(聴き手)がほったらかしにしてあった安物のギターの弦を力強くはじくのである。たったひとりのインディーズロックバンドのごとき歌人が放つ今まで聴いたことがないような歌の弾丸に、読み手(聴き手)は脳天をブチ抜かれることだろう。ライブに行ってみたい歌人である。
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