【読書記録】2023年9月
ごきげんよう。ゆきです。
お久しぶりです。お久しぶりすぎます。前回の読書記録から1年が経ちました。最近は家事育児だけで毎日が一瞬で過ぎ去っていきます。
でもなんでしょうね、読書の秋とはよく言ったもので、地獄のような暑さだった夏から若干の秋への移り変わりを感じると無性に本が恋しくなります。久しぶりに手当り次第選んだミステリに浸る時間を自分に作りました。
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安心と信頼の創元推理文庫から、なんとなく後回しにしていた気になる作品をチョイス。中学生時代から森博嗣作品を漁るように読んでいたので、久しぶりの理系ミステリに胸躍らせながら本を開いた。
大好きな綾辻行人著『十角館の殺人』のオマージュ作品。もう最初の3章だけ読んだ段階で、十角館を既読の人なら「ああうんうんうんうんはいはいはいはい」ってなる。構成瓜二つ。ゆえにこれからどうなっていくのかは想像通りに進むし、犯人の予想も立てやすい。フーダニットよりもハウダニット、ホワイダニットを楽しむ作品のようだ。
個人的にミステリの醍醐味はフーダニットの追求である気がしなくもないのでその点はちょっと肩透かしだったが、その分凝ったハウダニットと、なかなか他にはない衝撃のホワイダニットに大満足。久しぶりの読書に頭が鈍っていたのか、トリックを全く見抜けなくて完敗、悔しい、でもその分種明かしが超楽しい。この人を犯人にするのはちょっとズルくない?と思ったりもしたが、最後まで読み切ると「こういう展開もありかな」と心変わりしたので個人的には好きな作品となった。
実写化されそうな匂いがプンプンする内容ではあったけれどやっぱり難しいのかな。舞台が飛行船というだけでとても魅力的な画になりそうだからちょっと検討されていてほしい。いい意味でクセが全然ない登場人物達だから、キャストは誰だってハマる気がする。なんならハリウッド希望(強欲)。
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日本の昔話モチーフの作品が前作にあるのは知りつつも、西洋童話の方が好きなので順序そっちのけで選書。
言い方は悪いが、予想より遥かに面白かった。元々知っている童話がモチーフなのでサクサク読めるが、謎解きはしっかり、ミステリ要素十分。ただ童話なだけあって、魔法はアリのミステリなのでその点容赦出来る人でないと楽しめないかも。それでも連作短編のなかに散りばめられた伏線が綺麗に回収されていく最終章は読んでいて爽快痛快。池井戸作品を彷彿とさせる勧善懲悪感があり、各章読了後はすっきりした気分になる。
「眠り姫」と「マッチ売りの少女」をモチーフとした後半2編がお気に入り。本書全体の締めとなる最終章のラストは、個人的には大好物の雰囲気だった。
こちらは最近Netflixで実写映画化されたらしい。登場人物を見る限り、本書の最初の1編だけっぽい?どうせならドラマ仕立てにして全編作ってほしい。というか全編やらないと本書の面白さを伝えきれないんじゃないかしら。私のイメージでは赤ずきん(探偵)役は伊藤沙莉ちゃんだったなー!でも環奈ちゃんの赤ずきん気になるなー!
本編とはあまり関係のないところで少し物足りなさが残ったのは解説。TikTokで本紹介をして一躍有名になったインフルエンサーが担当しているのだが、共感性羞恥というのだろうか、「こういう文章、高校生あたりで書いてたな……」と思うような解説でむず痒い思いだった。そこまでハッとさせられるような考察があるわけでもなく残念。毎回解説までじっくり読み込むタイプの私としては、現役ミステリ作家やプロの書評家によって解説されるとどのような考察になるのか気になるところである。
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前述の『赤ずきん〜』が予想外の面白さで、「これはきちんと1から読まねば!」と即決。これがまた相当面白くて、むしろ『赤ずきん〜』よりもこちらの方がどタイプだった。順番通り読めばよかった。
連作というほどでもないけれど、最終話でそれまでのストーリーのキーアイテムが登場するので短編ながら読み応え◎。「この昔話モチーフでなければこれは書けなかったな」という話ばかりで、唯一無二のミステリが揃っている。1番好きな話を決めようとしても、全部が全部面白いので選べなかった。強いて挙げるとしたら、物語の仕掛けが好きなのは「つるの倒叙がえし」、後味が大好物なのは「花咲か死者伝言」、他にはないトリックで度肝を抜かれて忘れられない1編となったのは「密室竜宮城」といったところか。ああでも「絶海の鬼ヶ島」のスリルも鳥肌ものだったし、「一寸法師の不在証明」のアリバイ崩しも最高だったし……やはり選べない。
あと2作ほど既刊らしい。これは読むしかない。
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3冊でした。少ない。
頑張ればもっと読めたなと思いつつも、自分の時間を確保できる保証のない毎日なのでこんなもんかなという感じです。楽しい読書ができただけで満点です。
読書とハンドメイドと筋トレを気分で月単位でローテーションしているような人間なので、10月は何に自分が注力するか現時点で分かりませんが、もしまだ読書熱が冷めていなければまた近々お会いしましょう。ゆきでした。
See you next note.