子どもが『落ち着かない理由』のまとめ
前回の記事『赤ちゃんを抱っこするのが大切な理由』で現在の育児環境は『アタッチメント(愛着)を形成しにくい可能性がある』ことに気付いたツヤ子。
更に愛着について調べると、以下の本に出会いました。
『愛着障害、愛着の問題を抱えるこどもをどう理解し、どう支援するか?』 米澤好文著 2019.8.28. 福村出版
米澤先生は和歌山大学教授です。専門は臨床発達心理学、実践教育心理学。教育現場に足を運び教育を実践し、研究もする実践的研究者とのこと。
そのため、本著は教育現場(保育現場)ですぐに実践できるような内容がたくさん記されていました。
アセスメントシートで明らかになったこと
本著には『愛着障害・愛着の問題を抱えるこどものアセスメントシート』、『愛着障害、愛着の問題を抱えるこども発見のためのチェックポイント』というアセスメントシートが記されています。
このシートの項目に保育園の子ども達がどのくらいあてはまるか、ある幼児クラスにおいて、担任の先生と協力して調べてみました。
殆どの子が当てはまる…。
当てはまる項目や数に個人差はありますが、当てはまらない子の方が圧倒的少数なのです。
特に保育園の子ども達に見られる『愛着障害』の特徴を簡単にまとめてみました。
愛着障害の3大特徴
1.愛情欲求
注目されたい、アピール行動
静寂潰し→先生が話している時に勝手に話始める
愛情試し行動→叱られるか試し、怖い相手にはそれをしない。優しい人には試した行動を続ける
愛情エスカレート現象→自分の思い通りにしようとする、上手くいかないと泣く、騒ぐ、こだわる
などなど…。
2.自己防衛
注意されても、自分は悪くないと自己正当化する。
注意されると大泣きしたり、逆にヘラヘラとしている。
自分も同じことをしているのに、他の子もやっていると言いつける。
などなど…。
3.自己評価の低さ
自己否定→やる前から「どうせ無理」と、あきらめる
自己高揚、優位性の渇望→自分の思い通りに人を支配しようとする。自分を腫れ物に触るような対応をさせる。
などなど…。
他にも『外に表れる行動特徴』という項目がありますが、これについてはまた別の機会に触れたいと思います。
子どもがやばい…。
そんな言葉が頭を過ぎります。
何より養育者(親、保育士など)と愛着形成ができないなんて…。
なんて切ないことか…。
こんな気持ちを抱えたまま、彼らは大人なるのか…?
『発達障害』と『愛着障害』の見分け方
ざっくりいうと
『発達障害』は先天的な脳の特性からくる障害。
『愛着障害』は出生後の生育環境による特定の人物の関係性の問題とのこと。
『発達障害』の可能性があっても、保育園生活に適応できている子どもはたくさんいる
『発達障害』のお子さんは乳児期から特徴的な行動が見られます。これは『愛着障害』のお子さんとは違う点です。
そして、『発達障害』のお子さんは場所や人を選ばず症状が見られます。
脳の先天的な特徴により、人や場所を選んで行動したくても出来ない。そのため『問題行動』(に見える)を起こし、『生活(生き)しにくさ』を感じることが多いです。
ツヤ子が経験した感じだと、『発達障害』傾向(自閉、多動、発達遅滞傾向が見られる)のお子さんは行動にパターンや特徴があります。
それがわかってくると保育園の日常生活程度の難易度だったら、大人が環境を整えさえすれば適応できることが多いです。
『愛着障害』を自覚するのは難しい…。
そして、認めるのは更に難しい…。
仕事と子育てで、日々の生活にいっぱいいっぱいの大人達…。
子どもを抱っこしたくても出来ない育児環境…。
愛着形成がしにくいとは知らずに過ぎていく乳児期…。
スマホに目を奪われ、視線が合うことのない大人と子ども…。
必死に頑張っているのに、上手くいかないとイライラする子育て…。
どのタイミングで、誰が愛着形成が出来てないなんて気付けるのか…?
必死に頑張っている育児。
子どもと愛着形成ができていないと認めることは、今までの自分達の育児を否定することになるのでは…?
『愛着障害』を『うちのコ発達障害かしら?』と考えてしまう過程
乳児期は力が弱く、言葉が未熟です。
『強めのグズグズ』『言葉の理解が未熟』(←子どもの心の声は『抱っこして〜!』です。)
で済ませていた子どもの行動が、
幼児期には力が強くなり、言葉が増えてきます。
『強めのグズグズ』は『癇癪やパニック』(←おそらく子どもの心の声は『もっと私を見て!』です。)に見え、
『言葉の理解の未熟』は『指示が通らない』(←子どもの心の声は『大人の注意を引き、構ってもらいたい!』)になり、
『うちのコ発達障害なのかしら?』になるのでは?
そう考えられる大人は良い方だと思います。
子どもを心配し、向き合う気持ちがあるからです。
問題はそんな行動を『ただのワガママ』と言って子どもを怒り、時には躾といって手をあげたり、厳しい態度をとる大人が一定数存在すること…。
そんな大人から子どもをどう守るか…?
そんな大人に傷つけられた子どもをどうケアするのか…?
保育園の子どもの発達についてのまとめ
ここまで、文献を参考に保育園の子どもの発達、『落ち着きのなさの理由』について調べてきました。それらをまとめると以下のようになります。
定型発達
発達障害(自閉、多動、発達遅滞傾向)
発達障害もどき
赤ちゃん返り(←愛着に問題が起き始めてる?)
愛着障害(回避型、アンビバレント型、混乱型)
こう書き出すと、子どもの『落ち着きのなさの理由』は色々な種類があることがわかってきた感じですね。
ツヤ子も随分、子どもをみる目が養われてきた感じです。
症状は混在している
子ども達が抱えている『落ち着きのなさの理由』はひとり一つというわけでなく、ひとり2つ、3つと重複しているとツヤ子は感じています。
また、抱えている理由によって大人の対応は変える必要があります。
それをどう見分けるか?
どう対応するか?
またの機会に…。
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