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「目に見える病気」と「目に見えない病気」

世間にどれだけ「鬱は甘えでも怠けでもない」と訴えかけたところで、どうにもならない事に気付いてしまってからは、鬱について発信する気力をほぼ失ってしまった。根性論を語る人ってそもそもこういう記事は読まないだろうしね。

かといって、誰も発信しなければ変わるものも変わらないということで、鬱について発信する事にした。

実体験を書いた方が想像しやすいと思うので、今から書くのは、私が鬱になってから始めたバイトでの出来事だ。

当時付き合っていた遠距離の彼氏との同棲を目標にして、社会に慣れる為にもバイトを始めた。
面接の時、店長には「鬱病を患っている」と予め伝えていた。

研修期間中は週3、4時間勤務だったが、研修期間の1ヶ月が終わる頃、鬱が急激に悪化している事に気付いた。このままじゃ治るものも治らない。遠回りが1番の近道と信じて、仕方なく辞める事にした。

辞める1ヶ月前に退職届を出さないといけない決まりだったので、すぐに退職届を出し、残りの1ヶ月は頑張って耐えようと思った。

バイトを辞める事を彼氏に報告した。「今までよく頑張ったね」の一言が欲しかった。しかし「あーあ、同棲する道が遠のいたね」と彼氏。
挙句の果てには「甘えるな!」「俺もニートの時期あったけど社会復帰したんだから」「日雇いバイトにすれば?」と散々言われ「なんでわかってくれないの…」と涙すると「泣くな!」と怒られた。
「鬱病について少しでも調べたの?」と言うと「調べたよ」と言われたが、何もわかっていないようだった。

母親には「しんどい」と嘆く私に向かって「週3だけなのに」「私の方がしんどい」と相手にして貰えなかった。

辞める2週間前には、自律神経が乱れ、偏頭痛が酷く、些細な事でイライラするし、疲れてるのに眠れない、やっと寝付けたと思ったら中途覚醒、バイトしている夢を見る、動悸が止まらない等と生活に支障が出るようになり、何度もバックレようと思ったがそんな勇気はなく「バイト先爆発したらいいのにな〜」なんて思いつつ働いていた。

辞める1週間前には自殺を考えるようになって、カウンセリングを予約し、カウンセラーに話を聞いてもらった。
「バイトに行きたくないので、もう死にたいです」と言うと「そんな事で死ななくていいよww」と笑われた。

もう耐えられないと思い、繁忙期を迎えていたが、ダメ元で店長に「休みを頂けませんか?」と相談した当時のラインが残っている。

まあそうだよなぁ……と重い腰を上げて、いつも通り出勤したら、更衣室の机の上にお菓子と手紙が置かれていて、手紙には「忙しい時期にお休みをもらってすみません。これ良かったら皆さんで食べて下さい」と書かれていた。
憶測だけど、この手紙を書いた人は、体のどこかが悪くて休みを貰ったんだと思う。

私は、身体の病気や障がいは「目に見える病気」、精神の病気や障がいは「目に見えない病気」と例えているのだが、なんで目に見える病気は休みが貰えて、目に見えない病気は休みを貰えないんだよ。

目に見えない病気は「心」の病と言うから気の持ちようでどうにかなると思われる。「心の癌」とまで言ってほしいものだ。
私自身、鬱病と診断されてからも「甘えてるだけではないのか?」と自分を責めていたが、脳のバグと知ってからは「どう付き合っていこうか」という考えに変わった。

身体障がい者に向かって「甘え」「怠け」と言うのは酷い事だと想像できるのに、なぜ精神障がい者には言っていいと思えるのだろうか。

どんな障がいも周囲の認知や理解が必要である。

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