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腰痛の原因と秒で解決したワケ

 母親と妹に挟まれてぐっすり眠っていた時、突然腰痛に襲われた。意味が分からないほど痛く、隣で寝ていた母親に泣きながら必死に痛みを訴えた。救急車を呼んでほしかったが、母親にはこの「腰の骨を何度も金槌で打たれているかのような鈍くも重い痛み」は伝わらなかった。結果、車で病院まで送ってもらった。
 医師にレントゲンをとってもらい、説明を受けるとき、重い病気にかかってしまったに違いないと思うほど医師は深刻な表情でレントゲン写真を見つめていた。母親はこのとき自分がとんでもないことを娘の私にさせてしまった事を深く反省したそうだ。この日は走り高跳びの県大会の前日で明日の本番に向けて公園で母親と練習していたのだ。当然、私たちは飛んだ後に着地するためのマットなど持っていなかったため、私はコンクリートの地面に何度も着地していた。「練習の時の着地の衝撃が腰にきたのだ」と確信した母親は私に申し訳なさそうな顔をしていたのを覚えている。
 しかし、医師はレントゲン写真を見てこう言った。「詰まっていますね、うんこが」「溜まったうんこが腰を刺激しています」と。医師は険しい表情を崩さなかった。「うんこ」を面白いワードとして学校で多用していた当時小学生の私でさえ、絶対に笑ってはいけない状況だと判断した。しばらく沈黙が続いた。
 看護師がきて私に浣腸をしてくれた。その瞬間、便意が込み上げてきた。トイレに向かって一心不乱に走り出す私の姿を病院にいる人が振り返って見ているのを背中で感じた。出すものをすべて出したら嘘みたいに痛みが消えた。事の次第が収まったころには夜が明けていた。そんな日の朝だったからか、なぜだろう、朝日がやけに輝いて見えたのを今でもよく覚えている。高跳びの県大会の会場までは病院から向かい、県で5位に入賞した。

#夏の思い出

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