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朱の饗宴・丹生都比売神社
11月半ば、丹生都比売神社(和歌山県かつらぎ町)に参拝しました。
神様の鎮まる天野の里は標高約430m。空気はひやりと冷たく、すでに冬の気配を漂わせていました。
輪橋のまわりの紅葉がことに艶やか。
遠目に見ると、橋を渡ってゆく人影が紅葉の色に染まって、ゆるゆると動くオブジェのよう。
輪橋は豊臣秀吉の側室・淀の方の寄進で造られたと伝えられています。
紅葉の色と相まって、橋の紅色がとても冴えて見えました。
江戸時代に建てられた「光明真言曼陀羅碑」にも紅葉。
この石碑には円形に梵字で、密教の光明真言が彫られています。
光明真言とは、大日如来を中心とした五体の仏様をあらわす真言で、光源から光があふれだすように、人々の心を明るく照らす真言だそうです。
かつてこの碑の近くには、弘法大師をお祀りした「御影堂」が建てられており、女人禁制の高野山にお参りできない女性たちの崇敬を集めていた由。現存していないのが残念です。
ちなみに「御影堂」は北条政子が夫・源頼朝の菩提を弔うために建てたもの。前記事の高野山の「愛染明王」と同じく、政子の神仏への深い信仰を感じます。
11月まで限定の御朱印は、紅葉に白と黒のご神犬が描かれています。
このご神犬は、丹生都比売大神の御子・高野御子大神が連れていたもの。
約1200年前、真言密教の教えを説くための地を探していた弘法大師の前に、狩人の姿となった高野御子大神が二匹の犬を連れて現われ、弘法大師を高野山へ導いたと伝えられています。
以来、丹生都比売神社は高野山の守護神となり、深いつながりは今に至っているそうです。
年に何度も訪ねている丹生都比売神社ですが、やはり秋の華やかな彩りは格別だと思います。
冬枯れる前の、さまざまな朱の色の饗宴。神社さんの名前にもある「丹」がいっそう引き立つ風景でした。
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