ABCDEtheory
昨日の「SR理論」で、SとRの間に何かがあると考えた臨床心理学者の
アルバート・エリスが説明しようとしたのが「ABC理論」です。
「SR理論」に代わる新しい人間観を提示したモデルです。
(A):Activating event(出来事)・・・S(刺激)に相当
(B):Belief(信念:受け取り方や感じ方、考え方)・・・心のブラックボックス
(C):Consequence(結果としての感情や行動)・・・R(反応)に相当
①Aが直ちにCを引き起こすことはない
②A⇒B⇒Cの流れで必ずBを経由する
③個々人のBが重要でCへの方向付けを行う
④Bには非合理的な信念(irrational belief)と合理的な信念
(rational belief)があり、悩みを引き起こすのが非合理的な信念
⑤ABCの次にくるのがD・E
(D):Dispute(非合理的なBに対する反論)
(E):Effect(Dによる合理的な効果)
うつ病、パニック障害、脅迫性障害などに効果的なのが「論理療法」で
この非合理な信念を合理的な信念に変えようとカウンセラーがDを
徹底的に駆使するわけです。
「非合理な信念」はいろいろありますが、事実無根、非論理的、否定的、
悲観的などの内容です。
たったひとつの事例や出来事を「いつも」「みんな」のように極端に
拡大解釈するような「過剰な一般化」がその一例です。
何か一つ欠点があるからと言ってすべてが良くないとは言えないのが
普通です。逆に、何か特別な点で非常に優れているからと言って、
すべての面で優れているわけではないはずです。
認知や思考の歪みを正すのは並大抵のことではありません。
「ひとは自分のみたいように解釈しながら事実や物事を捉えて、合理的
とは決して言えない結論に達している」のではないかとつい考えて
しまいますが、実際にはそれも必要な場合もあるのでしょう!