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券売機前で戸惑うご老人を見て。

 各企業の人件費削減に加え、コロナ禍で謳われたソーシャルディスタンスの影響もあってか、チェーン店を中心に券売機が置かれている飲食店が増えた。

 注文及びお会計という、本来2度に分けてする行為が券売機の登場によって1度に済ませられるようになり、常に時間ギリギリ生活をしている私個人にとっては、ありがたいものだ。

 しかしながら、誰にとってもそうではなく、先日、某飲食店で食事をしたときのこと、タッチパネル式の券売機の使い方が分からず、入店してきたお年寄りの方が戸惑っていた。ここで、周りにいるのは忙しそうなサラリーマンばかりで、店員さんも厨房から出てくる気配はなく、暇そうなのは私だけだったゆえ、おばあさんと一緒にパネルをタップして注文をした。

 そこで思ったのが、このおばあさんは仮に誰も他に人がいなかった場合、どうやって注文するのだろうか、と。最悪、厨房の受取口まで出向いて店員さんを呼べばよいのだろうが、足つきが拙ったので、少々の距離を動くだけでも気が重いだろうな。

 まあ、コロナ禍が終わったかと思ったら食材費の高騰に人材不足、さらに最低賃金を上げよとの声等々と、飲食店も大変だとは思うし、私自身もこの一件をもって券売機に反対するわけでは全くない。ただ、どのようにしたら、かのおばあさんも自分自身で購入できたのかなあ、と。

 思えば私自身タッチパネル式の券売機の使い方を教わった記憶はない。しかし、初めてそれを見たときから不自由なく使用できていた。ここで、なぜそうできたか考えてみると、普段からタッチパネル式の機器、すなわち、スマホに触れていたからではないか。

 実際、先ほどのおばあさんは支払作業ができずに困っていた。つまり、傍から見ると、単にパネル上の「お会計」をタッチすれば済む話だった。しかし、おばあさんはそうはせずに、そのまま入金口にお札を入れようとしていたのだ。

 想像するに、本来「商品選択⇒支払をタップ⇒支払」という手順を踏むべきところを、そのおばあさんは「商品を選んだからお金を払わないとね」と考えられ、「支払をタップ」するということが意識になかったのではないか。

 私のようなスマホ中毒者なら、支払へと段階を踏む際に何らかのタップが必要になることは容易に想像できるが、そうでない人は「支払ボタン」がよほど大きく表示されているわけでもない限り、そうしようとは思い当たらないのではないか。

 そうだとすれば、商品選択を始めてから一定時間が経過してもお会計というフェーズに進まないお客さんに対しては「お会計ボタン」が点滅したり、音声で案内をしたりすれば改善されるのではないだろうか。

 まあ、深く考えた末に出てきた答えでもないので、傍から見れば検討の余地が山ほどあるだろうが、そこはご愛嬌ということで。


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源 勝芳(法学部生ブログ)
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