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ドイツの食を探れ、試食探検隊がいく ~サツマイモ編

A隊員……20代の若手男子。好きなドイツの食べ物はケバブとカリーヴルストとガッツリ系。
B隊長……50代男子。人生の半分近くをドイツで過ごす。こよなくドイツビールを愛している。このごろ食が細くなってきたのを実感する日々。

指令:ドイツのスーパーにあるサツマイモ商品を試せ

A隊員:B隊長、新しい指令が届きましたよ。何でサツマイモなんでしょうね

B隊長:ドイツではサツマイモが流行りの野菜としてもてはやされてるようだ。ほら、統計をみてみろ。2010年の輸入量は2466tだったが2020年はなんと48.000tとなっておる。

A隊員:本当ですね。どこを読んでもサツマイモの説明として「今とってもトレンディ」って書いてありますよ。ドイツ人の味覚も変わってきたもんですね、ちょっと前ならだれも見向きもしなかったでしょうに。

B隊長:そうなんだ。いろんな国から人がやってきて食文化が変わってきたというのもあるし、若いもんを中心にベジタリアンが増えているからなじみのない食材も積極的に試されるようになったということもあるんだろう。

A隊員:じゃあ今回の試食はどうやってサツマイモがドイツで食べられているかを知ることができて楽しみですね。

B隊長:日本ならスーパーに総菜コーナーという便利なものがあって手軽に食体験できるが、ドイツにはないからな。冷凍食品と加工品とちょっと味気ないが、モノは試し。さあ、どんどん持ってきてくれたまえ。

A隊員:じゃあ、こちらから。E社が自社ブランドで出している人気のサツマイモのフライドポテトです。バーガー専門店だと付け合わせのジャガイモの代わりにチョイスできるようになっている所が多いらしいです。

ちょっと真似てハンバーガーの横に2種類のフライドポテトをつけてみました。さあ召し上がれ。

B隊長:なんだ、これは人参じゃないのか?

手前サツマイモ、後方がジャガイモのフライドポテト

A隊員:色は人参っぽいですけど、これが一般的にドイツで売られているサツマイモの色です。きれいでしょ。はい、お塩をパラリ。サツマイモであってもポテトにはお塩ってのはお決まりみたいですよ。

B隊長:甘じょっぱいな。うむ、この甘さが邪魔だという人もいるだろうな。ジャガイモのフライドポテトと交互で食べると味が変わっていい。
(もぐもぐ)
カラッとしている方がうまいな。

 (もぐもぐ)

B 隊長:そういやサツマイモの揚げたのといえばさつま揚げ、じゃなかった、芋けんぴを思い出さんか?

A隊員:あ、細くあげて砂糖衣をかけた高知県の郷土菓子ですね。懐かしいなあ。なるほど、そう考えると小腹が空いた時のおやつとしてサツマイモのフライドポテトってのもありかもしれません。

B隊長:ドイツでも子どもの肥満が問題になっているからな。油が使われているからカロリーはあるが、ビタミンCとかミネラルも含まれていてスナック菓子よりはよっぽどヘルシーだぞ。
サツマイモのフライドポテトはのびしろがあるということで合格点!

A隊員:分かりました。じゃ次はサツマイモのハンバーグです。

B隊長:シールで分かるようにエコテストで非常に良いとお墨付きのある商品だな。

A隊員:エコテストは有害物質が含まれていないかやサステイナブルな観点から商品を評価する商品テストで消費者にとっては買い物する際のいい判断材料ですね。

B隊長:それだけでおいしそうな気がするな。ん、サツマイモが小さい?

A隊員:切れ端がちょびっと見えるくらいですね。ラベルをみるとサツマイモは15%で、あとはコーンスターチ、ジャガイモ、パプリカ、人参、タピオカ粉、そばの実、カボチャ、カボチャの種、タマネギ、ルッコラとあります。この切れ端はもしやカボチャかも?

B隊長:15%ごときでサツマイモのハンバーグを名乗るのはどうなんだ。サツマイモ風味、くらいが正しい表示じゃないか。どれどれ、
(もぐもぐ)
なかなかいけるぞ。けどサツマイモの味はほとんどしない。

A隊員:そばの実のプチプチがアクセントになって舌触りはいい具合です。全体的に優しい味でおいしいですけどサツマイモの味は隠れちゃってますね。

B隊員:そうだな。これはベジタリアンな彼女を家に招いたときなどちょちょっとバーガーにして出すとウケそうな一品、とでもいっておこうか。サツマイモ商品というにはちょい弱い。でもこれも合格.

A隊員:了解です!家に常備することにします。

B隊長:おっ。そうか。頑張れよ。

A隊員:次はサツマイモのコロッケ。iglo社が満を持して出すベジタリアンラインの新作です。見て下さい。コロッケがそのままプラスチックの中袋にも入っていない、びしっと12個が紙の箱に入ってますよ。包装もエコですね。

詰め物とかなし。12個きっちり入ってました。

B隊長:igloといえば直方体の形をした魚のフライで有名だ。その昔、内陸部に住むドイツの子供は魚を知らなくって、この四角いフライが海を泳いでいると思っている、みたいな冗談があったな。

それにしてもこのサツマイモのコロッケも直方体とは。日本ならジャガイモのコロッケは俵型(場合によって小判型)、サツマイモのコロッケは小判型と決まっているだろうが。

A隊員:ぼくもこの形には慣れないので違和感を覚えます。弁当箱に入れるならおさまりいいのかもしれませんけど。

B隊長:味は悪くないがサツマイモの水分が多いせいで、べちょっとしているな。。外はカリッと、中はどろっでクリームコロッケのような感じ。

A隊員:味はマイルドです。個人的には衣の上にぱらっとフスマがかかっているのがポイント高いです。あとウスターソースをかけると甘い単調な味に深みがでますよ。

B隊長:好みは分かれそうだが、菜食時代の潮流にのっていこうとするiglo社の心意気を買ってこの商品も合格点!

A隊員:菜食といえば緑の党が毎週木曜日をベジデーにしようとする動きがあったらしいですね。

B隊長:肉は環境への負荷がどうしても高いからなあ。とはいえ政治家に食生活を指導されるのはどうか。肉食社会だったドイツでも社内食堂や学食なんかではベジタリアンメニューは当たり前になってきとるぞ。ベジデーと声高にいう必要はないんじゃないか。

A隊員:肉好きの僕にとってはちょっと辛い世の中です。この間、鶏のモモ焼きを注文したら彼女にえらい剣幕で怒られました。そんなに肉を食べちゃダメ!って。トホホ。。。

B隊長:しょうがない、頑張ってサツマイモで彼女のご機嫌をとってくれたまえ。ということで最後の一品は?

A隊員:サツマイモとカボチャのサモサです。どうもサツマイモは新参者というかオリエンタルな異国感あふれる野菜みたいですね。ドイツのカフェやレストランではサツマイモカレーなんてメニューをよく目にします。

B隊長:そういえば日本語でもサツマイモの別名は唐芋じゃないか。すっかり定着したとはいえ、中南米から中国を経由してやってきた異人さんのような感覚は日本にも残っておる。

(もぐもぐ)

そのままでも美味しいが、チリソースでぴりっと辛味をきかせるのもオツだぞ。甘みとまざっていい塩梅だ。


いやまてよ。酒のつまみにもなるんじゃないか?なんかビールが飲みたくなってきたぞ。よっしゃA隊員、ここいらで打ち上げの乾杯といこうじゃないか。

A隊員:ま、待ってください。レポートをまとめなきゃいけないんですから。これまで試したサツマイモの商品はすべて合格点。もっととんでもない味も想定していましたが、すべてマイルドなお味でしたっと。機会があれば皆様もどうぞお試しください。

ということで、B隊長、カンパーイ。おつまみに
サツマイモのフライドポテトもいきましょうよ。
ソーセージも出しちゃっていいですよね。

エジプトからやってきました!


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