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ドイツの食を探れ、試作探検隊がいく~ヘーゼルナッツベースのヌテラ(指令2)

A隊員:20代の若手男子。好きなドイツの食べ物はケバブとカリーヴルストとガッツリ系。
 
B隊長:50代男子。人生の半分近くをドイツで過ごす。こよなくドイツビールを愛している。このごろ食が細くなってきたのを実感する日々。

指令1:ドイツのTV番組”セバスチャンがフェレロ社の秘密のレシピを明かす”(ZDF)でヌテラの製法を探れ
 
指令2:今年大豊作だったヘーゼルナッツを使ってヌテラを自作せよ

 


A隊員:おはようございます。彼女が殻をむいてくれたヘーゼルナッツ(100g)、持ってきましたよ。

B隊長:ご苦労さん。ほかのものはちゃんと用意したからな。材料を紹介すると、バター80g、砂糖120g、チョコレート150g、バニラシュガー1袋、牛乳75g、以上だ。
 
A隊員:なんか、昨日の番組の材料と違って、食べ物を作るんだという気がします。チョコレートを使うってのもいいですよね。昨日読んだフェレロ社のHPではヌテラの源流となったのは戦後チョコレートが不足していてその代替品として生まれたヘーゼルナッツを使ったお菓子だって書いてあったでしょ。
 
B隊長:確かにココアでなくってチョコを使うのは本当に贅沢だよな。

ではここで、今回の主役、ヘーゼルナッツについて教えておこうか。
和名はセイヨウハシバミという。木ではなくて株だな。そして雌雄同株、つまり一つの株に雄と雌の花がつくんだ。花の時期はともに2月から4月。雄の花はこのたれ下がった特徴的な形をしているから目立つが、雌の花をきちんと見た人はすくないだろう。


雄花
雌花


A隊員:雌の花はボクもはじめて見ました。かわいらしいですね。クルミの雌花にとってもよく似てます。こんな小さな花から秋にあんな大きな実がなるなんて。
 
B隊長:昆虫をおびきよせるための蜜はなくって、風で受粉するんだ。
 
B隊長:そういえば、今年の大豊作といえば、この間、植物の先生が地球温暖化の植物に対する影響というテーマでこういってらっしゃった。あくまでミュンヘンでの観察しただけのことだが、たとえばヘーゼルナッツとかドングリだな、実が年々大きくなっていると。それと、豊作というかバカ成りする年の間隔がどんどん小さくなっていると。
 
A隊員:へえ、実が大きくってたくさんとれるのはうれしいですけどね。

この写真が、今日使ったヘーゼルナッツが生えていた写真です。品種の関係もあるようですけど、かなりたわわだったようですよ。
 
B隊長:良し悪しはともかくとして植物にとっては実は子孫。それを作るのは大きなエネルギーが必要だからな。短い間隔でたくさん実らせることで寿命が短くなっておらんか注意する必要があるだろう。
 
A隊員:早速作り始めましょう。レシピはドイツのクックパッドならぬChef Kochから拝借しました。


 
まずはむいたヘーゼルナッツをオーブンでローストして、細かくパウダー状にしまょう。ナッツはローストすることで断然風味が違ってきますからね。

へ一ゼルナッツを粗挽き

それにしても13%っていう配合はどこからでてきたんでしょう。少ないような気がするんですけど。

 B隊長:そうだな、ヘーゼルナッツを前面に打ち出している割には少ない気がするが、これについては昨日調達した他のヘーゼルナッツベースのスプレッドと比較してみるからちょっと待て。

 A隊員:そしてバターとチョコを湯煎にかけて砂糖をまぜて、バニラシュガーと牛乳を混ぜる。。。と。で、ヘーゼルナッツをまぜて出来上がり! 意外と簡単でしたね。それじゃ、固まるまで(仕方がない)昨日のお約束、ポール牧を見ましょうか。 

(数時間後、2人で指ぱっちんで登場) 

A隊員:隊長、マイ・ヌテラができました。瓶に白いものが浮いているように見えますけど・・・ 

マイヌテラ

B隊長:バターの脂肪分が固まったもんだ。どれ味はどうだ? A隊員:悪くはないです。ただヘーゼルナッツはもっと細かくしてクリーム状にした方が良かったかもです。舌触りになめらかさがなくって、ぶつぶつが気になっちゃって・・・手作り感満載だけどこれはこれで十分合格点ですよ。 

B隊長:じゃ、ここで味比べといこうか。昨日の買った物も含めて並べてみてくれ。

 A隊員:えっと、まずは本家のヌテラで、これが自作したもの。両方ヘーゼルナッツの含有量は13%です。この猿がヘーゼルナッツを抱えたラベルの付いた”Samba”(サンバ)はビオ(有機無農薬)の製品でヘーゼルナッツ45%。こちらが”Nudossi”(ヌドッシィ)ヘーゼルナッツは36%です。 

B隊長:Nudossiはな、東ドイツ時代にヌテラの対抗馬として1975年に作られた商品なんだ。紆余曲折をへて当時とはレシピも異なっているし、ヤシ油を使わないバージョンもあったりするが、今回はヌテラと比較するため”普通”のを買った。

 B隊長:それでは商品名を隠して、食パンにそれぞれ塗ったものの美味しさを食べ比べてもらおう。本日のテスターは、自分で料理はしないが味にはうるさい、16歳のIくんだ。

 A隊員:Iくん、食べてみておいしい順番にランキングつけてもらえますか?

  A隊員:美味しかった順に上から並べてもらいました。じゃ、講評お願いします。

 Iくん:一番は濃厚さが良かったんだけど、ずっと食べると濃すぎると思う。2番目は慣れ親しんだ味だからおいしいと思った。これは間違いなくヌテラでしょ。3番目は両方同じくらいのおいしさ。味よりも食感の問題かな。Nudossiはトロトロすぎるんだよ。  

A隊員:ありがとうございました。ふうん。絶対ヘーゼルが多い方がいいとは思ったんだけど毎日食べてもらうには濃厚すぎたらしつこくて敬遠されるかもしれないのか。なるほど。ヘーゼルナッツ13%というヌテラの設定は価格を抑えるというのもあるんでしょうけど味覚の微妙なところを押さえてるのかもしれません。ただし結局は油と砂糖を大量に摂取するというわけだから、ほどほどにすべきなんでしょうね。 

B隊長:うまくまとまったところで、Aくん、今回もレポートをよろしく。終わったらシュワインスハクセ(豚のすね肉の丸焼き)のうまいミュンヘンのレストラン”Zum Straubinger”に行って一杯おごってやるぞ! 

A隊員:待ってました、がぜんやる気が出てきました。隊長、なかなか太っ腹じゃあ~りませんか。

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