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おじゃこと山椒の炊いたん
最近野菜の価格高騰が激しいので(特にキャベツ!)近所の野菜の直売所に足を運んだ。
オープン五分前に着いたのだが駐車場はほぼ満車。
駐車場整理のおじさんが非常に停めにくい場所まで誘導してくれた。
隣の車を擦りそうになりながらすれすれで駐車。
やれやれと思いながらお店の前に行くとすでに長い行列が出来ていた。
うへぇ、みんな考える事は同じだなと思って最後尾に並んだ。
そのうちにオープンを告げる軽快なBGMが流れて店内に一斉に人が吸い込まれていった。
私もその流れに乗るようにカゴを掴んで売り場に向かった。
買い物に来られている年齢層はわりと高めで70代くらいのご婦人が多かった。
目玉のキャベツは一玉250円だったのでみんなが競うように手を伸ばしていた。
私も買おうかと思ったが昭和のバーゲンセールさながらのその勢いと殺気に気圧されて近づくことが出来なかった。
仕方がないのであまり人がいないような所に移動して目についたジャガイモや人参、キュウリなどをかごに入れた。
他にも何か面白いものがないかなと思って人ごみを縫って歩いていると山椒の実が一袋150円で売っていた。
私は山椒の独特なあの痺れる辛さに目がない。
気がついたら二袋ほど購入していた。
レジの長い行列をこなして商品を袋詰めしながら山椒の実と言えばアレを作らない訳にはいかないだろうと思って二軒目のスーパーにハシゴした。
そこではちりめんじゃことみりんを購入。
後はお昼御飯用に乾麺の蕎麦を買った。
帰宅すると妻が掃除をしていたのでその間に洗濯物を畳んだりして家事を協力して片付けた。
ひと段落してから早速山椒の下処理をする。
まずは良く水で洗って汚れやゴミを落とす。
次にたっぷりのお湯を沸騰させて五分ほど茹でる。
茹ですぎると香りも味も落ちるのでここはタイマーをかけてきっかり時間を測る。
タイマーが鳴ったらすぐに流水にとって冷ます。
それからボウルに水を張って一時間漬けてアクを抜く。
この時間次第であの山椒独特のシビビとした痺れ具合が変わってくる。
痺れが強いのが好きな人だと四十五分くらいでもいいかもしれない。
逆にマイルドな方がいいという方は三時間くらい漬けておくといい。
私はちょっと刺激が強めがいいので一時間。
その間にお昼ご飯にお蕎麦を茹でてササッと済ませる。
アク抜きが終わったら綺麗に水分をふき取って下拵えはおしまい。
ここからがいよいよ調理の本番。
まずはお酒をたっぷりフライパンに注ぐ。
みりんも多めに。
火を点けてアルコール分を煮切って飛ばす。
そこにちりめんじゃこをドサリと加える。
味付けは薄口醤油と砂糖のみ。
火加減は弱火でじっくりとちりめんじゃこに味を含ませていく感じ。
時間にして十分くらいしたらそこに山椒の実を大匙三杯加える。
そこからさらに煮詰めていって水分が減ってきたらちりめん山椒の完成。
煮詰め具合で仕上がりの食感が変わるのでここは好みだと思う。
出来上がったらお皿に空けて粗熱を取る。
完全に冷めたら煮沸消毒をした空き瓶に詰めて一丁上がりである。
冷蔵で一週間、冷凍すれば半年は風味が変わらず楽しめる。
早速出来立てを妻に味見してもらったら、うん上出来上出来とお褒めの言葉を頂いた。
ちりめんじゃこ120グラムで二瓶出来たのでひとつは普段からお世話になっている実家にお裾分けに持っていった。
母は不在だったが父がいたので、はいこれどうぞというとおっ今年も作ったのかとちょっと嬉しそうだったので良かったと思った。
父と他愛もない話をして小一時間滞在してからついさっき帰ってきた。
今日の晩御飯はちりめん山椒を炊き立てのご飯に乗っけて食べる事は決まっている。
お酒にももちろん合うのだが、生憎今日も休肝日なのでここはガマンガマン。
下処理済みの山椒の実も冷凍できるのでこれでいつでもちりめん山椒を作ることが出来る。
他にも鶏肉と一緒に炒めたり、麻婆豆腐のアクセントに使ったりと意外と汎用性は高い。
山椒の実の旬は短いので次に見かけたらまたゲットしたい。
お休みの日にこうやってじっくりと好きな料理をしていると何とも言えない幸福感に包まれる。
さぁてそろそろ晩御飯の支度をしようかな。
何はともあれお米を研ごう。
一合…いや二合でしょう。
ちりめん山椒があればご飯はなんぼでもいけますからね。
では台所にこもるとしますか。