自分の好きが、伝播する写真を撮っていきたい
「思わず、見てしまうものを撮りましょう。それが“好き”ってことです」
「嫌いなものは、そもそも見ようとすらしないでしょう」
「自分の好きを、くだらないなんて思わないでくださいね」
それらの言葉に、マスクの下、鼻の奥がほんの少しだけツンとした。
2023年2月5日、写真家の幡野広志さんによる『いい写真は誰でも撮れる』ワークショップに参加してきました。
本当はイベント終了後、すぐnoteを書いた方が良かったのかもしれませんが、丁寧に書きたいなあと思っていたら、もう3週間ほど経ってしまいました。
けれど、まだまだ余韻がすごい。「もっと写真を撮りたいなあ」とか「好きなものを撮っていきたい」「たくさんの“ここだけの話”が聞けて、なんて贅沢な時間だったんだろう」と思い返しては反芻しています。
そもそも幡野さんのことを知ったのはいつだったのか。SNSなどで情報を追いかけてどれくらいになったのか。それはもうかなり曖昧。Twitterやnoteに写真が更新されるたびに毎回見とれて、同時に疑問が湧いていました。
「どうしたらこんな色味が出るんだろう?」
「撮るときにどんなことを考えているんだろう?」
「なんでこんなに、見ていると楽しそうだなあってうれしくなるんだろう?」
昨年の秋、自分にとって“運命の出会い“につながるきっかけとなるnoteが更新されます。RICOH のコンパクトデジタルカメラ『GR III』と『GR IIIx』にまつわるnoteです。
単純だけど、「これだ!」と一目惚れ。読んで3日後くらいには、カメラを購入していました。フルに使いこなせているとはお世辞でも言えないけれど、もうすっかり虜。写真はもっぱらスマートフォンばかりで撮影していたのに、今ではほとんどこのカメラで撮っています。
そんな、愛機との出会いのきっかけにもなった幡野さんによる「写真」のワークショップ。
なにがなんでも、絶対に行きたいと思いました。詳細をすぐに知れるように、はじめてTwitterで通知設定を設けたくらい、情報解禁が待ち遠しかったです。
なんとかチケット争奪戦を勝ち抜き、迎えたワークショップ当日。朝、もう落ち着かなくて。いつもギリギリで会場に到着するタイプなのに、30分前には現場にいました。
少し右往左往して、真ん中の8人掛けテーブルの端の席に座る。同じテーブルに座った受講生の方含め、何人かGRを持ってきている人をお見かけしたりもして。
みんな、どんなきっかけでカメラを買ったのかな。聞けた人もいたけれど、叶うなら、あの場にいた全員に聞いてみたかった。けどもう、ワークショップでは座学と実践の波に飲まれて、そういう余裕はあまりなかったのが正直なところです(それでも、生まれたご縁もあるけれど)。
座学の時、目の前に幡野さんがいてワクワクが止まりませんでした。
「思わず、見てしまうものを撮りましょう。それが“好き”ってことです」
「嫌いなものは、そもそも見ようとすらしないでしょう」
「自分の好きを、くだらないなんて思わないでくださいね」
それらの言葉に、マスクの下、鼻の奥がほんの少しだけツンとした。
最近、「好き」って何だろうとよく考えます。自分の好きに自信が無くて、もごもごしてしまっていたから。このワークショップに参加してからは、「思うままでいいんだ」と思えるようになった。
「見たものをそのまま撮る」ことを意識して臨んだ代々木公園での撮影を終えて、いよいよ現像(色合い・明るさの調整など)の時間。
幡野さんが撮った写真の中に、車の中で撮影したツナマヨのおにぎりの写真がありました。「こういうのでいいんだ」と驚いて、同時にわたしはそれがすごく好きだな、と思った。ツナマヨは、おにぎりの具材の中で3番目くらいに好き。一番は鮭といくら。
あのとき、幡野さんの「好き」がわたしに伝わっていたんだな、と今ならわかります。
「ヘタだけど、いい写真」って、撮った人の「好き」が伝わるもの。そういう写真をこれから目指していきたいし、そうすることが、きっとたのしいんだと思いました。
たしか帰り際のことです。ほかの受講生の方とおしゃべりしているときに、幡野さんが「カメラは仕舞っちゃダメですからね」というようなことを念押しするように言っていたのが印象的でした。「仕舞ったら撮らなくなるから」。
息を吸って吐くようにたくさん撮って、自分の好きが伝播するような写真をこれから撮っていきたい。
あの日撮った写真
はじめて行った代々木公園、想像以上の広さに慄きました。
自分の好きな現像も追求していきたいですね。
ほかの参加者の方の感想note、みんな写真を載せてくれていて贅沢!※追記あり
最後に、みなさんのワークショップに関するnoteがどれも素敵だったのでシェアします。
どれを読んでも「もっと撮るぞ」と思わせてくれる……! みなさん写真もたくさん載せているので、眺めるだけでもたのしいです。同じ景色も見ているはずなのに、全然違っていておもしろい。
同日のワークショップを受けた方々のnote。
ワークショップに参加する前は、「イメージコントロール」(カメラアプリでいうフィルターのようなもの)をカスタマイズして、ほぼ現像無しの撮って出し写真で満足していました。
手を加えるとしても、スマートフォンのアプリでトリミングして明るさをちょっと調整するくらいしかしてこなかった。正直「RAW」の重要性も、あまりよくわかっていなくて。
けどもう、そのころの自分には戻れないな~と思います。このnoteを書くにあたって、イベント当日に撮影した写真を現像してみたけど、すごく悩んだし、時間もかかりました。むずかしい! けど、たのしい。どんどん探求してみたい。
自分が思わず見てしまうものを、写真で再現すること。それが自分の「好き」っていうことを忘れずに、たのしく写真を撮っていきたいと思います。というか、これからはもうずっと、たのしんでいける予感しかしません。
幡野さん、参加者の皆さん、そしてあの場を作ってくれたスタッフの皆さん、本当にありがとうございました!