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夢の残滓

夢のなかでさんざん確率男にやりこめられ、Kは寝覚めの解放感に酔いしれる。瑞々しい朝だ。海岸に出れば、穏やかなさざ波がミニマリズムの旋律を奏で、砂浜を這う蟹の横歩きにさえ微笑が漂う。ふと、ガラスの小瓶を見つける。流されてきたのか、中には折り畳まれた紙切れがある。青紫の矢車草といっしょに。直観的にKは、これは幸福のメッセージだ、と考える。完璧な一日のはじまりにふさわしい。

もう夢中で駆け寄り、Kはガラスの小瓶を拾おうする。だが、突然おぼろげな記憶の棘に刺され、周りを確かめる。

誰かに見られていないか。

他にもガラス瓶は漂着していないか。



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