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【日記】ログハウスビルダーのオーナーさんとお話してきました
おはようございます。
自立に向けてとにかく手を動かしたいとっとです。
今日は九州に帰省して3日目、田舎の朝はなぜか目覚めが早いです。
昨日はさっそく、事業承継元のオーナーさんを訪ね、3時間ほどお話を聞いてきました。
※この記事は約5,200字あります
向かう車内で履歴書執筆
事前に電話で、午前10時ごろ伺う約束をしていました。
すこし早めに実家を出て、オーナーさんの事務所に向かいます。
行きの道中、名刺もないのでふと思い立ち、車を停めて簡単な履歴書のようなものを書くことにしました。
といっても就職・転職活動での企業面談という感じではありません。
履歴書用紙ももってないので、一応メモをとるかもしれないとおもって持ってきたノートの切れ端に、わたしの名前、簡単な学歴、家族構成、預貯金状態、負債の有無、などを自分なりに丁寧な字でまとめました。
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改めて自己紹介
事務所につくとオーナーさんから名刺を手渡されます。
わたしは持ち合わせていませんので名乗るだけに留め、このあと話の流れがくれば、さきほど書いた自前の履歴書もどきを手渡そうと考えていました。
事前にzoomでの面談や電話でお話していたままの、気さくな優しい雰囲気のおじさんです。
普段お客さんや業者さんとの打ち合わせで使うであろう対面テーブルに着き、ざっくばらんにお話スタートです。
事務所に飾ってある過去に建築したログハウスの完成写真を見ながら、まずはオーナーさんからログハウスビルドの内容について、これまで伺っていた話も含めていろいろと聞かせていただきました。
やはり20年自営されてきた方、優しい雰囲気のなかにも、仕事の話をするとき、特に資金繰りまわりの話をされるときの眼光の鋭さは、わたしがこれまでに仕事上で見てきた方たちとは一線を画します。
その後わたしも、自前の履歴書もどきをお見せしながら一通り自己紹介させていただき、持ってきた人工衛星の開発現場の写真を見せながら、現職の説明をさせていただきました。
完成した人工衛星を日本のロケットで打ち上げる場合、種子島の発射場で打ち上げる作業があり、過去3回ほど現地でそういったことも経験してきました、と説明すると、オーナーさんは趣味でヨットをするそうで、鹿児島の南から屋久島あたりを回ったこともあるという話で盛り上がりました。
その後は、予め印刷しておいたわたしの家族全員が写った写真を見せながら、簡単に家族紹介もしたのでした。
ログハウス建築について
オーナーさんからお客さん向けのパンフレットをいただきました。
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ログハウスの良いところや構法の説明などがまとまっています。
いまわたしが一番興味あるのは、建築の流れ・仕事の内容です。
日々オーナーさんが何を考え、どのように仕事に向き合われてきたのか、その果てに20年間の自営をされてきた今、振り返ってみて楽しいと思えているのか。
面談を受ける立場ではありますが、わたしはそのようなところを掴んで帰りたいとおもっていました。
お客さん向けなので概要にはなりますが、パンフレットにまとまっている流れはこうです。
お問い合わせ
ご相談・打ち合わせ
★現地調査
★ラフプラン作成と概算見積り(無料)
お申し込み
本設計と見積書の作成
ご契約
建築確認申請・基礎工事
★ログ加工・仮組み
検査
コンテナが日本の港に到着
輸入通関
コンテナ現場搬入
★組み立て工事
内・外工事
完成
★アフターフォロー
一番大変・大事なところ
オーナーさん曰く、一番大変なのは下請け業者を決めるところなのでそうです。
もちろん施主さんのご希望を具体化して、予算内で最大限の満足度を得られるように考えるところが役割としては肝だとは思うのですが、それを実現するために欠かせないのが、信頼のおける下請け業者さんを見つけるところで、そこが一番難しいとおっしゃっていました。
基礎、足場、大工、屋根、配管、電気・・など、それぞれ専門の業者にお願いしていくのですが、必ず一人親方で小さく経営していて、現場に社長自ら出向いて手を動かすようなところでないと頼まない、というこだわりがあるそうです。
この考え方、すごくよくわかります。
私もそうですが、結局のところ従業員は言われたことをやります。
与えられた業務の中では、ある程度の裁量も広がってきたり、関連しての新事業提案など、あたかも自律的に仕事している感覚に陥りがちですが、その舞台はすべて会社から与えられたものです。
従業員を雇うのが悪いということではなく、あくまで自社の仕事は、本来社長が一人でこなすものであり、ただ事業規模によっては一人の人間では手がまわらないので、組織化して分担しているにすぎないのです。
だからこそ、社長の思い(企業理念)に共感した従業員と一丸となり、あくまで一人の人間のように振る舞える組織ならいいのですが、実際のところそのような企業はほとんどありません。
ですので、自分事として仕事を請負い、責任もって自分で手を動かすところにお願いしたい。
その作業をした人に直接お金を支払いたい。
やりとりも全てその人とする。
全て直接のステークホルダーでやるからこそ、施主さん、自社、ログ材加工業者、下請け業者さんと一丸となったものづくりができるのだと、聞いていてとても共感しました。
面白そうだと感じたところ
お話を伺っていてわたしなりに特に面白そうだと感じたのは以下です。
現地調査
ラフプラン作成
ログ加工
組立工事
アフターフォロー
土地を探すところからお手伝いすることもあり、車でいろいろと希望の土地をさがしまわるのは、とても楽しそうだとおもいました。
現地でみえる風景を肌で感じながら、そこでの生活をイメージすること自体が、とても健康的に思えるのです。
さらに、その土地でどのような間取りにするのか、ラフプランを描くのもオーナーさんの仕事です。
建築士ではありませんので、本図面の作成は設計士にまわしますが、施主さんの希望を聞きながらゼロからラフプランをお絵描きするなんて、楽しすぎるとしか思えません。
建築士に図面化にしてもらったらフィンランドやカナダのログ材加工業者にメールで送り、必要となるログ材を集計してもらいます。
なぜ北欧やカナダなどの木をつかうのか、事務所に飾ってあった丸太の輪切りサンプルをみせてもらいました。
日本の南九州で育った木と、カナダなどの寒い地域で育った木では、年輪の目の細かさが全く違います。
どちらの目がより細かいと思いますか?
人間と一緒で、暖かく栄養たっぷりで育つと体は大きくなるのですが、寒い地域でより節制して育ったほうが体が締まって長く使えるものに育つそうです。
※決して暖かい地域の人間がつかいものにならないというわけではありません!わたしも九州出身です。
そのため、寒い地域で育った木のほうがかなり年輪が細かく刻まれていました。同じ年輪の数でも、両者の直径は倍以上違います。
そういう背景もあり、木の調達から加工まで、フィンランドやカナダの業者に依頼するのがログハウス業界の主流だそうです。
面白そうだと思った極め付けはアフターフォローです。
オーナーさんが建てた最初のログハウスは、築20年になります。
建具にガタがきたり、ひびが入ったり、配管が劣化したり、天窓が開かなくなったり、それはいろいろです。
そういうところも全て施工業者さんと一緒になって修繕フォローをします。
ログハウスは一般的な在来工法で建てた家よりもメンテナンスが不可欠だそうです。
建物自体のメンテナンスもそうですが、オーナーさん曰く、一棟一棟施主さんや一緒に仕事をした業者さんたちとの物語があります。
建築当時小学生だった子供は成人となり、その子がDIYでちょっとした修理なんかやってしまうこともあるかもしれません。
依頼を受けてからビルドして、住み始めてからもずっと、お付き合いは続くのです。
わたしが今神奈川で住んでいる在来工法の住宅も、築8年になりますが不良箇所がいろいろとあります。
アリがどこからともなく侵入してきたり、電動シャッターが電動で動かなくなり、水道のセンサーが壊れたり。
施工業者に問い合わせするも、設備メーカーに直接問い合わせてください、と言われておしまいでした。
アフターフォローとは、自分が建てた家に対してどういう想いで接していくのか、そういう考え方や姿勢そのものが最もよく現れるフェーズなのだとおもいます。
お話をきいていると、これまでビルドしてきたログハウスは全て、オーナーさんご自身のもののように想われていて、大切にメンテナンスしてくれない施主さんとはもう縁を切った!なんて話もありました。
引き継ぎ期間は5年間
そんなログハウスビルドの事業ですが、承継するにあたって気になっていたことの一つに、結局わたしは何にどのぐらいの資金を用意しないといけないのか?があります。
おおよそわかったこととしては、3,700万円ほど必要となります。
この内訳は大きく二つです。
・事業そのものを買い取るのに必要な額
・向こう5年間の引継期間にオーナーさんを常勤雇用して支払う給料
ですので、運転資金やわたしたち家族が新たに住むのに必要なお金は、また別となります。
オーナーさんにも話しましたが、目論見としては神奈川の自宅を売って確保するしかありません。
これまでのわたし(とカミさん)の給料は全て住宅ローンの返済を最優先にまわしてきましたので、預金は微々たるものですが、その分すでに住宅ローンは完済済みですし、他に負債もありません。
子供は4人いますが、まぁ無人島に住むわけでもなく、なんとかなるでしょう。
いざとなれば実家を乗っ取ります。
5年という引き継ぎ期間は一見長いようにも思えます。
建築業界は免許の絡みで、ある程度の規模の建物を立てるためには県知事の許可が必要だそうです。
その許可を得るために必要な条件として、
・指定国家資格の取得
・指定年数の実務経験
などの縛りから、ルール上最初の5年間はわたし一人では仕事も請け負えないそうです。
そこで、免許をもっているオーナーさんに在籍いただきつつ、引き継ぎを行うのです。
20年前、オーナーさんが創立されたときも同じで、最初の5年は免許を持っている他の業者に元請をお願いするなど、いろいろと苦労されたようでした。
ログハウスビルド、楽しかったですか?
ある程度お話が落ち着いてくると、
他になにか聞きたいことある?
と言われたので、本当に聞いてみたかったことを二つ、聞いてみました。
20年ログハウスやって来られて、楽しかったですか?
うーん、とすこし考えた後、
大変だったことももちろんあるけど、楽しいことしか思い出せないなぁ
もうひとつ気になっていたことを聞いてみました。
奥さんと仲が良いですか?
うん、それはとても仲がいいよ。
むかしから懐が深いっていうかね、お互いにお互いのことを笑わせるのが大好きだよ。
前に奥さんが家で踊りをおどっていたので、
「それはどこの地域の盆踊りや?」
って聞いたら、どうもそうじゃないらしく、BTSていうわけのわからないグループの踊りを真似して練習しとったわ。
最近は少しうまくなってきたけど、カミさんが踊ると床が軋む軋む。
わたしも若者の歌は疎いのですが、70近いであろう奥さんがBTSのダンスを踊っていたら、盆踊りと勘違いしたオーナーさんに共感したのでした。
仕事は楽しかったか、家族と仲良く過ごせているか。
20年後のわたしがどうなっているか、参考として最も聞いてみたかったことに対するオーナーさんの答えは、ログハウスビルド事業というものがわたしの今後の人生に向けた正しい選択肢の一つであることを示しているように思えたのでした。
まとめ
今回ログハウスビルドの事業承継について興味が惹かれ、仲介サイトを経由して問い合わせ、zoomでの面談、そして昨日直接オーナーさんの事務所にお邪魔してお話を伺うなどしてきたのでシェアさせていただきました。
オーナーさんは数年前から後継のことは考えておられ、いまも企業からM&Aの話や、他にもわたしのような個人からもたくさんの問い合わせがきているようです。
今年の秋には結論を出そうとおもっている、とのことでした。
最後はオーナーさんが決めることですので、わたしもこれに限らず、引き続き自分の今後を模索していきたいとおもいますが、もしご縁があれば、わたしは承継したいと思っています。
今後は必要があればメールで適宜やりとりをしましょうということで、最後オーナーさんと二人で、事務所の前でスマホで写真を撮らせていただき、実家に向けて帰路についたのでした。
長くなりましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
自立に向けた活動の記録をまとめたマガジンです。もしよろしければ、ぜひこちらも覗いてやってください!