ライター入門、校正入門、ずっと入門。vol.13
「校正・校閲の仕事を専門とするプロフェッショナル集団」聚珍社の中嶋泰と、フリーライターの張江浩司が多種多様なゲストお迎えしつつ、「書くこと、読んでもらうこと」について話していくトークイベントの模様をダイジェストでお届けします。
※はじめに
こちらの「note」、実は、あえて修正しなかった誤字や間違い。
または、あえて入れた誤字や間違いなどを忍ばせています。
詳しくは、vol.18 (10月26日(木)予定)の
『ずっと入門。秋の校正大会スペシャル』で公開いたします。
お楽しみに~
一色萌はラジオ向き?
張江 本日の司会を務めます、ライターの張江浩司です。
中嶋 このイベントの主催で、校正専門会社「聚珍社」の中嶋泰です。
一色 XOXO EXTREMEの一色萌です!
中嶋 ついに一色さんもゲストを迎える側になりましたね。
一色 13回目にしてやっとです(笑)。
張江 いろいろな書くことに関係する方々をお呼びしてお話を聞いてきましたが、今回はテキストからちょっと離れてラジオがテーマです。
一色 私は中学生ぐらいからずっとラジオを聴いてるんで、今日はすごく楽しみです。
張江 早速ゲストのお二人をお呼びしましょう。
(ゲスト登壇)
カネコ 民放のラジオや、Podcastなど、いろいろ作ったりしています、カネコです。よろしくお願いします。
上月 アニソン歌手の上月せれなです。ソロアイドルや、ユニットとしても活動しています。よろしくお願いします!
張江 カネコさんは「伊集院光 深夜の馬鹿力」、「CITY CHILL CLUB」、「中村七之助のラジのすけ」、「伊集院光のおたよりください」のディレクターを担当されていて、「radio DTM」という音楽Podcastも制作されてますよね。
カネコ 2009年に立ち上げて、マイペースにやってます。
張江 14年ですもんね。日本の音楽系Podcastのまさに先駆けで。
カネコ 早すぎて誰にも注目されなかったですけど(笑)。
張江 バリバリ、民放でもラジオ番組を作りまくって、インディーズ的なPodcastも作り続けているという。そんなに音声コンテンツが好きなのかと(笑)。カネコさんは作り手として、上月さんは喋り手としてのお話を伺えればと思ってます。
中嶋 上月さんの番組も、もう長いですよね?
上月 そうですね、FM FUJIで「上月せれなのラジオモンスター」という番組をやらせてもらってるんですけど、2017年の4月スタートなので7年目ですね。
一色 すごい!
上月 高校3年生からです。
張江 高3のときから欠かさず毎週ラジオで喋ってる人はなかなかいないですよ。
カネコ それだけ続く番組も少ないですもんね。
上月 今度、一色さんにもゲストで来ていただきたいです!
一色 え、ほんとですか!?
上月 声も可愛いので、ラジオ向きだと思います。すごく聞き取りやすいですし。
張江 ラジオ向きな声というのは、どういうものなんですかね?
カネコ ケースバイケースですけど、一色さんは向いてると思いますよ。ちょっと専門的なことを言うと、中音域が強いから、マイクに乗りやすくてBGMに負けない音質ですよね。
一色 ラジオを聞いて育ったからラジオ向きの声になったのかもしれない(笑)。
張江 高音や低音に偏ってると聞きづらくなりますか?
カネコ 一人喋りなら大丈夫なんですけど、例えば上月さんと一色さんが二人でラジオをやるなら音域が被らないので、どちらの声なのかわかりやすいですよね。同じ音域になっちゃうと、それに合わせた工夫が必要になるかもしれません。
中嶋 ザ・たっちは双子で同じ声だからラジオできないですね(笑)。
一色 文字起こしのバイトをしたことがあるんですけど、同じような声の人とだとわかりづらくて大変でした。そういえば、中学生のときに聞きたい番組の電波が届かない地域に住んでいる友だちがいて。その子のために30分番組を毎週文字起こしして、送ってあげてました。今思うと耳が鍛えられた気がします。
中嶋 どんな番組だったんですか?
一色 アイドル番組だったと思います。私は全然好きじゃなかったんですけど、ラジオに関わることは全部楽しかったので。
張江 すごいラジオ愛……!
ラジオの台本はどこまで書いてる?
一色 ラジオで喋るときはリンゴジュースを飲むといいと聞いたんですけど、本当ですか?喉の粘り気が取れて、リッピ音が入らなくなるって。
カネコ いや、初めて聞きました(笑)。
張江 長時間の生放送だったりすると、みなさん飲み物を持ってブースに入ってるんですよね?
カネコ 出演者の好みの飲み物を用意できるかが、ADの技量にかかってるんですよ。「ブラックコーヒー好きだったはずなのに、最近減ってないな」みたいな、そういうところから察知したりするんです。
一色 すごい洞察力!
カネコ ラジオの裏方の仕事は誤解されがちなんですけど、いかに出演者にベストコンディションで喋ってもらうかだと思っています。たとえばADがその日持ってくるおにぎりの具に左右されることもあるんですよ。「なんで買い出しに行かないといけないんだよ」じゃなくて、そこに情熱を注げる人がスタッフとして伸びていくし、結果的に生き残っていることが多いと感じます。
一色 マネージャーさんのお仕事にも通じますね。
カネコ ラジオの現場にはマネージャーさんが来ないことも多いですからね。その人自身をさらけ出す必要があるから、マネージャーは来てくれるなっていう人もいますし。その分、出演者の自宅かのように話せるようにセッティングしてあげるのが仕事になってくるので。
中嶋 いかに自由に楽しく喋れる環境を作るかということなんですね。
張江 基本的には、長時間喋るのみですもんね。最初につまづいて機嫌悪くなっちゃうと、なかなかリカバリーできないですよね。
カネコ 喋れるような機嫌の悪いエピソードなら、そこで発散できるんですけどね。
張江 ラジオの台本って、どれくらい決まってるんですか?
一色 すごく気になります。せれちゅさんの番組も自然体でお話しされてますけど、きっと台本が存在するんですよね。
カネコ どこまでネタバラシしていいかわからないんですけど……。
張江 確かに、これはリスナーにとってファンタジーの部分でもありますよね。
カネコ 番組にもよりますが、台本原稿はない番組もあります。演者さんの頭の中にだけある。これは特殊なケースかもしれませんが。
中嶋 今日話す内容がすでに頭の中にある、ということですか。
カネコ そうです。おそらく何パターンも用意されていますね。
張江 それは放送前にカネコさんに共有されるんですか?
カネコ サブ作家には話してるかもしれないですけど、僕は知らないです。生放送前にはなるべくコミュニケーションを取らないようにしてますね。この番組に限らず、ディレクターは一番最初のリスナーじゃないといけないと思ってて。出演者が何を喋るかは、リスナーは知らないので。そのファーストリアクションをとってあげるのが大事。
中嶋 確かにラジオを聴いてると、遠くから笑う声が入ったりしますもんね。
カネコ 当たり前ですが、ラジオはリスナーのためにやってるんですけど、リスナーの顔はどうしても見えないので。スタッフのリアクションが頼りになります。
上月 ガラス越しにディレクターさんとマネージャーさんがいますけど、ちらっと見たときに笑ってたら嬉しいですね。
張江 やっぱりそれを目安に喋られる方がほとんどだと思うので、ちゃんと面白いときに笑うように心がけてます。ADに一番最初に言うのは「覚えることがたくさんあって大変だと思うけど、生放送中は楽しんで」と。楽しいことやってるのに、サブを見たらADが浮かない顔してたらコンディションに関わりますからね。リスナーよりも、僕らが一番楽しむことが仕事だって話します。
中嶋 「我ながらいいこと言ったな」っていうときにスマホいじられてたら嫌ですもんね。
カネコ 放送中に何か調べなくちゃいけないときに、笑いながら片手でパソコンで検索したりしてます(笑)。それぐらいリアクションは大事です。
張江 上月さんの番組の台本はどういった感じですか?
上月 基本的な構成だけで、「最近このライブに出ましたよね」とか「今日は〇〇の日らしいですよ」とか、最近のトピックをディレクターさんが調べて書いてくれてます。それを見ながらフリートークしていくんですけど、オープニングトークが長くなりすぎて、ほぼオープニングで終わったりしてます。
中嶋 台本通りに進まないことも?
上月 曲を削ったりして対応してもらってますね。
一色 そのライブ感が楽しいですよね。
カネコ ご自身でもネタを用意してくるんですか?
上月 そうですね。「上月せれなのラジオモンスター」なので、やっぱり自分の話をしようと思って。用意するというか、勝手に出てくるものもあります。
張江 「何も喋ることがない!」ということはないですか?
上月 ないですね!CDリリースしたり、ワンマンの裏側だったり、喋りたいことはいっぱいあるので。
張江 7年間喋りたいことがずっとある、というのはすごいですよ。
上月 大好きなんです。コロナで半年くらいライブが全く出来なかったときも、お話ししたくて仕方なくて。ラジオがあってよかったです。
張江 一人喋りって独特ですよね。独り言とも違いますし。一人喋りをすることなく一生を終える人の方が多いんじゃないですか。しかも、それを7年間毎週やっているという。
カネコ もう異常なことです(笑)。
中嶋 しかも、かなり早口で喋ってますよね。
上月 私の番組は毎週火曜日23:30からなんです。FM FUJIは基本的に山梨県に向けての放送なんですけど、運転中に聴いてる方も多いと思うんですね。時間的に、他の局ではゆっくり喋られる方も多いので、逆に私は楽しくテンション高めで喋ろうかなと思って。
張江 リスナー層を想定してるんですね。
カネコ 「何時に放送されている番組なのか」ということは、ラジオにとって大事だと思います。何時にどこの地域で放送されているかによって、聴く人が見えてくるので。ただ、radikoにタイムフリー機能が出来てから、間違いなく崩れてきてはいるんです。例えば、深夜番組のタイムフリーで一番聴かれている時間帯は朝なんです。
中嶋 データでわかるんですね。
カネコ 現在はあくまでラジオ放送の補完的な機能としてタイムフリーがあるので、本放送を重要視するにあたっては時間帯がすごく大事で。そこはYouTubeとかPodcastとか、いつでも誰でも聴けることを前提としているコンテンツとラジオが根本的に違う部分だと思います。
張江 リスナー像が固まってくると、そこに相応しい言葉、相応しくない言葉も決まってきますよね。
中嶋 校正的には、差別語・不快語とかもありますし。そういった言葉はラジオを始める前に教えてもらうものなんですか?
上月 そうですね、私はご飯の話をするときに「肉」と言ったらダメって言われました。「お肉」だったら大丈夫みたいです。
※「肉」が何故NGかは不明。上月さんのキャラに合わないから?
カネコ 知らなかった(笑)。地域性もあるのかもしれないですね。方言とか。
張江 ラジオ局によってはブースの中に放送禁止用語一覧が貼ってあるって聞いたことがあります。
カネコ ラジオ局に限らず、放送局にはあると思いますよ。こういう問題の難しいところは、今年OKな発言でも来年アウトになる可能性もあることです。特に最近は変化が激しいので。あと、アナウンサーさんは別ですけど、「こういう表現が正しい」と叩き込まれた喋りがそもそも面白いのか?という問題もありますね。そろそろ、その時代は来ると思いますけど、それはおそらく人間じゃないです。
張江 AIがラジオで話すようになると。
カネコ 失敗しない、クレームも来ない、誰も不快にしない、でも誰の心も惹かない、という可能性がある。現場にいると、そういうものに近づいていってる感覚が個人的にはありますね。
聴いてる人を肯定する番組
中嶋 お便りとかメールとかで、難しい文章を読まないといけないこともありますよね?人名や固有名詞は特に読み方がわからないものもあると思うんです。ルビを振ってないでしょうし。
上月 そうですね、最初に届いてるメールを見せてもらって、読み方をスタッフさんに確認してます。
張江 生放送だと、その瞬間に届いたメールをリアルタイムで読むこともあるじゃないですか。それが誤字脱字だらけだったら大変ですよね。
カネコ そのメールしかなかったらなんとかして読むしかないんですけど、そんなことはないので。そういうメールは読まれにくいかもしれませんね。番組中にかける曲でもそうなんですよ。サンプルの音源が送られてきて、めちゃくちゃいい曲だったとしても、バンド名が一見なんて読むかわからなくて、資料に振り仮名がなかったらかけられないです。誤った情報を流してしまう可能性があるので。しかも、その責任は放送上はパーソナリティーが負うことになりますから。
一色 うわー、キスエクも読みづらいですよね……。
カネコ アーティストの表現なので、いくら読みづらくてもいいんですよ。でも、ラジオで流すとなったら、読めないといけないので。楽曲やアーティストの場合、読めて当たり前だと思っている言葉にもルビを振ってもらえるとありがたいですね。
張江 (配信コメントから)「ラジオにキスエクをリクエストするときは『プログレッシブアイドル XOXO EXTREME(キス・アンド・ハグ・エクストリーム 通称キスエク)』と書いてます」という方がいますね。
カネコ こういうメールだと、制作側のことも考えてくれてるんだなと思いますね。我々も人間なので(笑)。人間と人間の関係性が生まれるじゃないですか。
張江 アイドルだったり芸人だったり、パーソナリティーの特性によって番組作りも変わってくるんですか?
カネコ これは僕の演出上の好みの話で、マニュアル的なものではないんですけど、例えば上月さんの番組のディレクターをやるとしたら、スタッフでが男であることを絶対口外しないようにしてもらいます。テレビと違ってラジオは関わる人数が少ないので、どうしてもリスナーからは近い関係に映ると思うんですよ。上月さんには男性ファンも多いだろうから、そういう配慮も必要かなと思います。
一色 オタクとしてはありがたいですよね。
中嶋 上月さんはラジオを収録していて、「今日は疲れた」と思うこともあるんですか?
上月 全然ないですね。本当に自分の好きなことを喋り続けてるので。それをみんなが聴いてくださってるから一番幸せです。
一色 天職ですね!ラジオをやってみたけど合わなかった、っていう人もやっぱりいますよね?
カネコ いっぱいいると思いますよ。全人工から考えたら、上月さんみたいにマイクの前で喋るのが本当に好きっていう人の方が少ないと思いますし、しかも一人喋りですから相当特殊だと思います。
張江 カネコさんの担当番組に「伊集院光のおたよりください」がありますけど、あの番組はリスナーさんからのメールが主役ですよね。でも、深夜ラジオとかのネタメールとも違うというか。アイドルラジオに送られてくるファンメッセージとも違うし。
カネコ 元々は「はじめてのおつかい」のナレーションをやっていた近石真介さんが50年弱やっていた「はがきでこんにちは」という番組で、その一番最後のディレクターが僕だったんです。それが(六代目)三遊亭円楽師匠にパーソナリティーが変わって「おたよりください」になり、円楽師匠がお亡くなりになって伊集院さんにバトンタッチしました。
一色 へー!
カネコ 今でこそ深夜ラジオやってますけど、最初は大沢悠里さんの「ゆうゆうワイド」のADで、悠里さんがラジオの師匠なんです。悠里さんからラジオの基礎を叩き込まれて。リスナーの年齢層が高い朝の番組だったので、それに近い匂いのする「はがきでこんにちは」を担当することになってすごくありがたかったんですね。届いたハガキを選ぶんですけど、近石さんにどんなものが好みか聞いたんです。そしたら「この番組はなんでもいいんだよ。オチもなくていいし、面白くなくていい。我々の仕事はみんなのなんでもない日常を肯定してあげることだ」とおっしゃってて。
張江 これはめちゃくちゃいい話だ……!
カネコ 金言ですよね。この言葉を深く刻んでいるので、それこそ何でもない内容でも、短い時間で一言二言でもいいからそれを肯定する番組にしようと思ってます。その番組を、いまは伊集院さんがやってくださっているというのも凄いことなので、気が向いたらみなさん聴いてほしいなと思ってます。
張江 ラジオでハガキやメールを読まれると、それだけですごく肯定されているような気持ちになりますもんね。
一色 そうですよね。本当に何気ないやつでもうれしいです。
張江 面白至上主義とは真逆の価値観というか。
カネコ 深夜番組はやっぱり面白いことが大事だと思うんですけど、そこだけじゃないということは、一制作者として忘れたくないなと。面白だけじゃない部分をフォローできている番組に携わる事ができているのは誇りですね。
張江 深夜ラジオ的なものと、そうではないもの、その両輪がないとラジオは回っていかないんですね。
カネコ 校正ということで言うと、「おたよりください」にはいろんな環境や時代に育っている方から手紙やメールが届くんですね。その中には、もしかしたら幼い頃、十分な教育を受けられなかった方もいるかもしれない。そういった方の文章は、いわゆる「正しい日本語」ではないけど、それを全部修正するということはその人を肯定することにはならないと思うんですよね。
中嶋 例えば、学校案内のパンフレットを校正することもありますけど、在校生の声・言葉は必ずしも「正しい日本語」である必要はないんですよ。間違ってても、その人の声だからなるべく生かしますね。そのリアルな声が大事なんです。
なんのためにラジオ放送はあるか
張江 ラジオは長寿番組も多いし、放送時間も長い番組が多いから、リスナーの生活の一部になりやすいですよね。
カネコ 特に朝から昼にかけての番組はタイム感が大事なんですよ。朝のラジオを聴いてる人は、番組が時計がわりになってるんですね。例えば、ゲストトークがあるから10時、帰ったら11時とか。聴覚上だけで分かりますから。お店をやっている方なら、このコーナーがはじまったら仕込みをして、ゲストが帰ったら開店する、という感じで。
張江 それこそ、上月さんのラジオはドライバーさんが聴いてるとおっしゃってたので、「ラジオモンスターはじまったから休憩しよう」とか、時間の目安にしてる人もいるでしょうね。
上月 おお、そうかもしれないですね!
カネコ めちゃくちゃいますよ。だから「radikoのタイムフリー時代だよね」となると、そこに配慮しなくなるような気がして。それはラジオの良さを生かすことなのか殺すことなのか、真剣に考えなくちゃなと思うんですよね。昭和のラジオの考え方なのかもしれないけど。
一色 かなり大事なところですよね。聴いてる人の体内時計の話でもあるので。
カネコ 番組が終わったら聴く局ごとを変えちゃう人がいらっしゃるのは、そういう理由かもしれませんね。その人の生活のタイム感がずれるから、そりゃ嫌悪感もあるだろうなと。
張江 上月さんの番組は7年も続いてるから、完全に生活の一部になっている人もいるでしょうね。
上月 なってますかね?そうだとうれしいです。あんな深夜に食べ物の話が多くて申し訳ない(笑)。
カネコ 「元気なお姉ちゃんが喋ってるな」と思ってるドライバーさんもいると思うんで、このトーンとかやり方も急に変えない方がいいかもしれないですね。
一色 急にしっとりしたらびっくりしますね。
上月 しっとりは難しい(笑)。高校生の頃から比べたら多少大人になってるかもしれないですけど。
一色 そういうグラデーションの変化を定点観測できるのも魅力ですよね。
張江 たまにテコ入れで急に変わる番組がありますけど、グラデーションが大事ですよね。
中嶋 上月さんの番組には恒例のコーナーはあるんですか?
上月 ハロウィンの時期には、毎回ハロウィンのクイズコーナーがありますね。毎年同じ問題が出るのに、まだ全問正解できてません。
張江 全問正解したら最終回になっちゃうんじゃないですか(笑)。
一色 でも、ラジオは「またこの話してる!」っていう喜びもありますよね。ちょっと親戚のおじさんみたいな(笑)。
カネコ あんまり同じ話をしすぎでもよくないですけど、自然にしちゃう分にはいいと思うんですよ。いつ誰がはじめて聴くかわからないので、面白い話・企画は一度きりにしない方がいいかなと思います。「たまたま聴いちゃう」というのもラジオの特性なので。
張江 お二人が今後やっていきたいラジオはどんなものですか?
上月 公開生収録はやったことないので、ファンの方が目の前にいる状態で喋ってみたいですね。本当に早朝の時間にやったり、お酒を飲みながらやったり、いろいろやりたいことはたくさんあるんです。やっぱりお話しすることが好きなので、これからも楽しく、幸せな時間を届けていきたいなと思います。
カネコ 僕は「とことん儲かる番組」をやってみたいですね。これもラジオ全体の課題なので。
中嶋 広告収入を増やすということですか?
カネコ スポンサーでも、イベントでも、グッズでも、とにかくアコギに稼いでいかないとですね。ラジオにできるマネタイズは全部やるっていう。あまりよくは思われないかもしれないですけど、まだできることは実際あるはずなんです。そこを思いっきり振り切る番組は業界としても必要だと思います。あとは、ラジオに触れる人が一人でも増えればいいなと思ってます。
張江 リスナーをいかに増やすかと。
カネコ これは綺麗事ですけど、我々は有事の際に一人でも多くの人を救うためにラジオ放送をやってるんですよ。そのためだけにやっているといっても過言じゃないです。地震や災害が起こったら、テレビは電気が来てないと映らないし、いくらスマホ時代と言っても、wi-fiや携帯の基地局が生きている保証なんてないです。でも、ラジオを日頃聞いてる人は、手元に電池で動くラジオがあるかも知れない。それがラジオの一番の強みなんですよね。電波は必ず飛んでいるので。
一色 私も東日本大震災のときに、ちょうど学校行事で合宿に行っていて。携帯もみんな繋がらなくて不安になったときに、私が持って行った手回しのラジオで情報を得られたんです。すごく救われました。
カネコ まずはradikoからでいいので、気になった人は安くてもいいから電池で動くラジオを持っておいてほしいなと思います。
※「アコギ」は何かの差別語かもしれないと思い、調べてみました。しつこい・あくどい・ずうずうしい、といった言葉で、一説には、東海(三重県)の方言とも。漢字にすると「阿漕」。特に問題はないと判断し、「発言ママ」としました。
※一色萌さんは、この「ラジオの回」のあと、RADIO BERRY FM栃木
『ギュウゾウと一色萌の雷ヘッドライナー』のレギュラー出演が決まりました!
毎週日曜日の24:30~25:00。是非、聴いてみてださ~い!!
次回は10月25日!
次回は校正者の高倉栞さんをゲストに迎え、シーズン2前半の内容を原稿化したものを読みながら、校正ポイントをみんなで探すトレジャーハンティングの回です。
会場チケット
https://t.livepocket.jp/e/20230921
配信
https://twitcasting.tv/loft_heaven/shopcart/261361
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