【メルボルン奮闘記】朝7時半にインターホンが鳴った日の話。
朝7時半過ぎにドアのインターホンが鳴った。内心驚きつつも7時半という非常識な時間にすでにイライラが始まる。前日は夜中まで仕事をしていたので、そういう日はいつもなら9時過ぎぐらいまで寝ているのに。
他人の家のインターホンを鳴らしていいのって、普通9時から6時までじゃない?(*あくまで個人的な意見)せめて朝は9時以降が暗黙の了解だと思っていた。
ドアを開けると、修理に来たという年配のおじさんに早速、「これって何のメンテナンス?」「スケジュールされてた?」「先週の木曜日に来るって言って誰も来なかったやつ?」と、セキュリティチェックを兼ねて家に上げる前に質問する。
特にひとりの時は強めキャラでいかないと、どの国でもアジア人女性はなめられると思いこんでいるのでワンピースのナミぐらい気が強い感じを醸し出す。実際は多分ナミよりチョッパーが「お前何者だ!」って言っているような時に近いのかもしれない。
「お前何者だ!」とも言いたくなる。だって、朝7時半過ぎですよ。マザーテレサでもイラッとしかねない。家の点検・修理も、仕事も、なんならピラティスも絶対OKしないような時間なのに!その上、そこで数時間かかる作業だとも言われた。ガーン。
どうやら、以前マンションであったボヤでトイレの排気管に影響があったので、それを直さなきゃいけないようだ。
・・・それって先週の木曜日に来るって言ってたのに、誰もこなかったやつじゃないっすか。
おじさんも「そうなの?言われたから来ただけです。」みたいなスタンスなので、おじさんにイラッとしてもしょうがない。彼のせいではない。数時間かかると言われた時に、「え、数時間?!」と私の顔が般若の様に変わって、向こうもドギマギしたに違いない。
そんな波乱万丈なスタートで始まった修理作業。こういう時、お茶か何か出すべきなのかいつも悩む。長時間の作業なら尚更だ。だが、今回は数人がずっとバタバタ出入りしていたので、私はリビングに静かにとどまっていた。お茶は・・・いっか、と開き直る。
こうやってメンテナンスの人がいる時に、困る事が2つある。
ひとつは、土足で上がってくる人が多いことだ。今回のような大まかな作業の時は靴のままでもよしと思えるのだが、ちょっとした点検の時にも靴で入ってくる人が多い。たまに「靴脱ごうか」と言ってくれる人もいるが、80%ぐらいはズカズカ土足でお邪魔しますである。雑巾掛けができるフローリングでよかった。
もうひとつは、私が家にいなきゃいけないということ。世の中の会社勤めの人は、どうやってこの点検や修理に立ち会っているのだろうか。そして、今回の私の難題は「家で起きていなきゃいけない」という事である。本来ならば、まだまだ眠り姫のごとく寝ている時間なのに!
仕方がないので、ソファで数日前に大人買いした「ちびまる子ちゃん」をひたすら読む。まるちゃんや、私も寝てたいよ。
中盤にかかると、別のスタッフが様子を見にきて何やらみんなで話している。大変な作業なのかしら?と、思っているところに、そのスタッフが私の元にやってきて「この作業の後少し置いておかなきゃいけないんだけど、明日の朝も家にいる?僕が明日きて仕上げる形になると思う」と告げた。
おのれ・・・また私の睡眠を邪魔するのか。内心「キェえええ!」と祟りそうになるが、大人なので「あー、はいOK」と伝える。まあ、予定は合わせられるし、早く直してもらうに越したことはない。また明日も人が来るのかと思うと陰キャ魂が大きなため息をつく。はい、自分の家に他人が来るのって疲れますね。
作業開始から2時間半ちょっと経つと、最初にきたおじさんだけになったので、作業しているところに「もうそろそろ終わりですか?」と聞きに行った。
この時点での私はコーヒーを飲んで、まるちゃんで心癒された後なので、先ほどのナミのような気が強い感はなく、普段ののほほんとした感じに戻っている。狼の皮を被った羊とはこの時の私である。
それを機に、おじさんに仕事について聞かれた。こんなゴロゴロしてたら、そりゃ気になるよね。その話の途中で私も、「昨日夜遅くまで仕事してたから、いつもこの時間寝てるの。だから、さっきびっくりしたわ。」と告白したら、おじさんも「え、じゃあ眠いでしょう!?」と驚く。
なんとなくお互いそこで緊張の糸が解けた気がした。
そこから仕事の話、家の話、メルボルンでの生活の話・・・と気がついたら40分近くずっとおしゃべり。このおじさんのコミュ力半端ない。そこで、おじさんは小学生の孫もいるおじいちゃんだと発見する。元気だな、おじいちゃん!まるちゃんのおじいちゃんとは大違いだ。
おじさんの「いや、うっかりお喋りしすぎちゃったよ。私の悪い癖でね。ハハっ。」という言葉と共に作業も終わり、和やかなムードに。
よく考えると、他人の家に入って作業するって結構凄いことだ。接客業よりもアウェイな状況で仕事を常にしているせいか、メルボルンで修理に来る人って感じのいい人が多いなと今回改めて思った。私もおじさんを見習って、コミュ力上げてくぞー!
けど、やっぱり朝9時前の訪問はやめてほしい。