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映画「レオン」における愛について

「レオン」を観ました。衝撃だった。
私の中での映画ランキングに突然現れたと思いきや、ドカンと1位の座を奪っていきました。これはしばらく変わることがなさそうです。

私がこの映画を気に入った一番の理由は、レオンがマチルダを最後まで恋愛的に見なかったこと。

マチルダがレオンに抱く気持ちの否定はしません。だって彼女はまだ幼いのです。
たとえ良好ではない家庭環境で育ち、子どもらしく振舞うことが許されていなかったとしても、大人と同じ精神を持っているとは言えません。結局のところ、彼女は孤独な12歳の少女でした。そんな状況を考えたら、彼女が自分を救ってくれたレオンを好きになるのは自然なことです。

何よりも、彼女はまだ恋について十分に理解していないはず。家族でも先生でもない、特殊な関係の大人に対しての憧れを恋と錯覚した可能性だってあります。

もしもレオンがマチルダの気持ちを受け入れていたら、私はきっとこの映画を酷評していたでしょう。そんな大人が大嫌いだからです。
レオンが、マチルダの置かれた状況と彼女の心理を利用するような大人でなくてよかった。
残念ながら、現実世界は彼のような人ばかりではありません。子どもから向けられた感情を素直に受け取ってしまう大人もいます。
しかし相手のことを深くまで考え、時にノーと言うことだって、一種の愛と言えるのではないでしょうか?

それに、たとえそれが恋愛感情でなかったとしても、彼がマチルダを愛していたことは明白です。文字通り命懸けで彼女を守り、彼女が社会に復帰できるような手立てだって遺していたのですから。
レオンがマチルダに対して抱いていたのは、人を愛することの原点となる「慈しむ心」だったのではないかと私は思います。

マチルダがレオンの過去― 彼が決してパートナーを作らない理由について聞いた後、彼を自分のベッドに連れ込んで一緒に眠ったのも、これと同じ気持ちによるのでしょう。

とにかく、私は2人が互いの生きる理由となっていたこと、そんな関係が一瞬にして崩される無情さも含め、この映画が大好きになりました。
愛の形が「恋」に限られないことを、改めて学べた気がします。

余談ですが、「レオン」を観たことを大好きな友人に話したとき、友人もこの映画が好きなことが判明してとても嬉しかったです。2人が同じベッドで眠るシーンが一番泣けると話したとき、ついまた涙目になってしまったのですが、共感してもらえて幸せだったなあ~


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