5/15 「Cの辺り」イベントレポート|焚き火ブックカフェ vol.5 ルドガー・ブレグマン著『Humankind 希望の歴史』
こんにちは!コワーキングスペースCの辺りの一箱図書館オーナーでもあるイシヅカです。今回は5/15に茅ヶ崎の海辺のコワーキングスペース「Cの辺り」さんで開催したイベントレポートをお届けします。
焚き火ブックカフェとは?
神奈川県茅ヶ崎市のサザンビーチが目の前にひろがるコワーキング & ライブラリー「C の辺り」で月 1 回ほどのペースで開催されているイベント。
「C の辺り」:https://be-inc.life/cnoataritop
もともとはクルミドコーヒーで開催されている「朝モヤ」に着想を受け、休日の午前中から本を題材にして、解の無いことについてみんなでモヤモヤ考えようというイベントです。
イベント自体は「本を読まなくても参加できる読書イベント」となっており、イベントの最初に本の概略の説明があり、要所要所で本を読んだことがある人から内容のシェアをするという進め方になっています。
ちなみにこちらに前回のレポートもありますので、興味がある方はどうぞ!
今回のテーマ「希望の歴史」の内容は?
というわけで、今回は池田一彦さんの本棚から、「Humankind 希望の歴史」をチョイスして朝からモヤモヤしてみました。これを書いた方は「ルドガー・ブレグマン」というジャーナリスト・歴史家で、「ヨーロッパの知性」と呼ばれている超賢いお方。
そしてこの本の内容を一言でいうと、「人間の本質は「悪」だって思われてるけど、実は「善」じゃないの?」ってこと。
上下巻の分厚い本なので、最初は「うわっ、読むの大変そう….」って思うんですが、読んでいくと常識を覆す面白エピソードが多く、病みつきになります。
もう少し詳しく知りたい方は以下の動画と書籍紹介をどうぞ。
・著者ルドガー・ブレグマンからのメッセージ
常識を覆すエピソードをちょっとだけ紹介
この本には、世の中の性悪説に基づいたシステムを覆すようなエピソードが沢山紹介されています。ここでもその一つを紹介させてください。
ノルウェーにある「ハルデン刑務所」は、受刑者に外の世界に近い自由があたられ、設備は豪華なホテル並み。受刑者はこの中で働くことができて、その報酬ももらえます。そしてここを出た受刑者は世界の中でも再犯率が低く、ノルウェー全体でも再犯率16~20%。ちなみにイギリスは再犯率50%、日本は41%だとか。
ノルウェーでは受刑者に必要なのは「懲罰よりも更生と社会復帰」として、刑務所での生活を充実させているそうです。
一般的には「法を犯した人には厳しい罰を与えた方が再犯しにくくなる」と思いがちですが、このエピソードからはそういった性悪説に基づいた仕組みを覆すデータが出ています。
この日のモヤモヤトークの様子は?
まずは本の持ち主である池田一彦さんが、この本を取り上げたきっかけと、本の印象をイベント冒頭でこんな風に語ってくれました。
「コワーキングスペース『Cの辺り』でやりたかったことである『性善説的な仕組み』や『価値の逆転』は、現代的な人間の本質に照らすと、実は現実に合っていないのではと思っていました。でもこの本を読み進めるうちに『そうじゃなかったんだ!』と衝撃を受け、しかも勇気づけられたんです」
ちなみにCの辺りのコンセプトについて詳しく知りたい方はこちらのnoteをどうぞ!
その後、トークを進めるうちに参加者からは沢山のモヤモヤポイントが出ましたが、敢えてまとめずに列挙してみます(まとめない、結論を出さない」のがこのイベントの方針なんです)。
▪️性悪説の方が楽に生きられるのかも(性善説だと「誰もがいい人で当たり前」の前提から始めなければならないので)
▪️悪いニュースほど目につきやすく、拡散されやすい
▪️ニュースは「共感」をポイントにしていて、感情的に共感を煽る記事が読まれ易い
▪️人類は共感する生き物であるが、共感を制御できない生き物
▪️人間の行き過ぎた共感能力を制御するために性悪説があるのではないか?
▪️人間はその弱さのせいで、性悪説に逃げ込んでいる
▪️「人との距離」と「共感の度合い」は相関関係にある
▪️性善説も性悪説もつき詰めると結局一緒になる?
▪️世の中に情報が溢れすぎていて、どう処理したらいいかわからなくなる
▪️どんな情報も主観を含むので、客観的事実を捉えることの難しさを感じる
▪️「共感すること」「空気を読むこと」は、一見よいことのように思えるが、人の判断力を失わせることもあるのでは?
最後に
まるでこの日の曇天模様の空のように、モヤモヤとまとまらないまま、日常会話ではなかなかできない「人の本質ってナニ?」みたいな話を、日曜の朝の海辺で焚き火を囲んであーでもない、こーでもないとトークしたこの日。
正直、なかなかできないレアな経験だと思いました。
今後も、本を読まなくても参加できる読書会「焚き火ブックカフェ」はゆるゆると続きます。今後のイベント開催のお問い合わせは、Cの辺りのFBページまでどうぞ。
この記事が参加している募集
ものをつくるひとを応援するために、いろいろな現場を取材しています。ここで得たサポートは、その取材活動に活用させていただくことにしています。