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ことばのこと

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国語学、日本語学について考えています。現代はことばが変化しやすい環境になりました。外国語との比較もしてみます。主に中国語と英語を比較対象にすることになると思います。
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記事一覧

「もっかい」を許容する会

「もっかい」を許容する会

「もっかい」「もう1回」を縮めて言うと「もっかい」になりますよね。聞いたらわかります。文脈にもよるけれども。

縮めることことばって、音声になると、前の音と、後ろの音が重なることがあります。言いやすくするために、発音が変わります。「~というか」が「~てか」になることありますよね。

「もういっかい」「もういっかい」が「もっかい」に変化するとはどういうことかを考えてみます。まず、「もういっかい」の「

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【ことばの歴史】文字言語の獲得について考える

【ことばの歴史】文字言語の獲得について考える

 はるか昔、言語によって意思の疎通がかろうじてできるようになった人類は、勢力を大きくして、より大きな集団で生活するようになっていた。

 何かを伝えるには、声を出せばよかった。規律は冷静に話して伝えた。危険が迫っていれば大声を出して誘導した。愛を囁くときもことばで想いを伝えた。身体を動かして伝えるよりも、はるかに効率の良い伝達ができた。

 何かを伝えるには、声を出さなければならなかった。深い森に

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双声語というネーミング〈中国語〉

双声語というネーミング〈中国語〉

中国語は熟語が多いです。同音異義が多くなってしまうからでしょうね。

中国語の熟語には、作り方によって名前が付けられています。

今回は、熟語の種類の一つ、「双声語(そうせいご)」についてです。

双声語とは中国語の発音は、声母と韻母に分けることができます。違う単語にすると、子音と母音です。中国語の発音は、声母と韻母の組み合わせです。

韻母がそろっている単語を畳韻語(じょういんご)と呼びます。「

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四声の豆知識〈中国語〉

中国語を学ぶ上で難しいと感じるものの一つが声調です。

現代の中国語では、1声から4声の4種類。加えて「軽声」があります。

昔の中国語では、平、上、去、入の4種類がありました。今回は、昔の中国語の四声についてです。

四声の対応現代の中国語では、1声、2声、3声、4声と数字を使って呼びます。昔の中国語では「平声(ひょうしょう)」「上声(じょうしょう)」「去声(きょしょう)」「入声(にっしょう)」

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ことばの変化とどう付き合うか

ことばの変化とどう付き合うか

 「日本語の乱れ」ということばは、どの時代にも言われていそうなものですね。部活敬語、ら抜きことばなどなど、「乱れ」と呼ばれて、若者のことば遣いに警鐘を鳴らすような表現をする人もいることでしょう。「乱れ」ではなく、「変化」と捉え、ゆるやかな変化を目指すべきだということを書いてみます。

 「乱れ」という表現にはマイナスのイメージがあるので、私は「変化」と呼んでいます。ことばは変化するものだということ

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ことばの出現と消失〈保母から保育士へ〉

ことばの出現と消失〈保母から保育士へ〉

 ことばの変化について思っていることを書いていきます。今回は、新しいことばが生まれる「出現」と、古いことばが使われなくなる「消失」について考えます。

「日本語の乱れ」と言われることがあり、それに反論して「日本語の進化」と言う人もいます。どちらも正確な捉え方ではないように思っています。あくまで「ことばの変化」と考えています。

 「出現」はこれまでに存在しなかったことばが生まれることです。これまで

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ことばの意味変化に思うこと〈浮足立つ〉

ことばは変化するものであって、時代によって様々な面で違いがあります。

「手をこまねく」という語句の意味も、世代によって認識が違うことが、文化庁の「令和元年度 国語に関する世論調査」によって明らかにされました。他にも、「敷居が高い」や「浮足立つ」などのことばが取り上げられています。

本来、正しいとされていきた意味として認識している人が減少し、間違っているとされている意味として認識している人が増え

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