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グラミー賞とアカデミー賞の相関性と歌曲賞(第96回)の予想
第66回グラミー賞が発表され、主要4部門(レコード/アルバム/楽曲/新人)を女性ソロアーティストが独占するという記念すべき回になりました。
驚いたのはテイラー・スウィフトが最優秀アルバムを制して、最多タイだった記録をあっさり更新したこと!
昨年の彼女の勢いは確かにものすごく、ライブツアーを劇場公開した『テイラー・スウィフト: THE ERAS TOUR』も大ヒット。
このヒットを予測した映画会社が一部の作品の公開日を変えるほど。
昨年のゴールデングローブ賞の授賞式も、テイラー・スウィフトが来るかどうかが話題になり、せっかく来てくれた彼女をイジった司会者、ジョー・コイが見事炎上。
エンタメ界全般に絶大な影響力を持っていると言っていいでしょう。
その他、あのマイリー・サイラスが最優秀レコードを制する(今日の主役は彼女かも)など話題に事欠かないグラミー賞ですが、94部門もあり、映画関連の部門ももちろんございます。
グラミー賞における映画関連部門
最優秀サウンドトラック賞(Best Compilation Soundtrack Album for Visual Media)/『バービー』
映画やテレビなどの映像作品のために作られたアルバム(=プロデューサー)に送られる賞。今回は『バービー』のサウンドトラックが受賞。
2000年からの賞なので歴史は浅め。
最優秀映像音楽楽曲賞(Best Song for Visual Media) /ビリー・アイリッシュ・オコンネル&フィネアス・オコンネル(バービー『What Was I Made For?』)
同じく映画やテレビなどの映像作品のために作られた楽曲に送られる賞。主要4部門のひとつの最優秀楽曲と同じでソングライターに送られる。
今回は最優秀楽曲と同じとなり、ビリー・アイリッシュとその兄フィネアス(イケメンですよね)が受賞。
最優秀サウンドトラック作曲賞(Best Score Soundtrack Album for Visual Media)/ルドウィグ・ゴランソン(オッペンハイマー)
最優秀サウンドトラック賞が、アルバムつまりプロデューサーに送られるのに対して、その作曲家に送られるのがこの賞。
こちらは『オッペンハイマー』のルドウィグ・ゴランソンが受賞。
最優秀音楽映画(Best Music Film)/『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』
音楽映画に送られる賞。
映画の51%以上が音楽パフォーマンスで占められていなければいけません。
アカデミー賞への影響
それではアカデミー賞への影響力について見てみましょう。
まずは最優秀楽曲から。
歌曲賞
年|アカデミー賞|グラミー賞
2023|Naatu Naatu(RRR)|We Don't Talk About Bruno(ミラベルと魔法だらけの家)
2022|No Time to Die(007/ノー・タイム・トゥ・ダイ)|All Eyes on Me(Bo Burnham: Inside)
2021|Fight for You(ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償)|No Time to Die(007/ノー・タイム・トゥ・ダイ)
2020|(I'm Gonna) Love Me Again(ロケットマン)|I'll Never Love Again(アリー/スター誕生)
2019|Shallow(アリー スター誕生)|Shallow(アリー スター誕生)
2018|Remember Me(リメンバー・ミー)|How Far I'll Go(モアナと伝説の海)
2017|City of Stars(ラ・ラ・ランド)|Can't Stop the Feeling!(トロールズ)
2016|Writing's on the Wall(007/スペクター)|Glory(グローリー/明日への行進)
2015|Glory(グローリー 明日への行進)|Let It Go(アナと雪の女王)
2014|Let It Go(アナと雪の女王)|Skyfall(007/スカイフォール)
これを見ると驚くほど相関性がないのがよくわかります。
グラミーは映画自体の評価には影響を受けず、単純に(ある程度興行的に成功した)映画の中でよい楽曲に賞を与えようとしているのかな?という感じはします。
作曲賞
年|アカデミー賞|グラミー賞
2023|『西部戦線異状なし』|『ミラベルと魔法だらけの家』
2022|『DUNE/デューン 砂の惑星』|『ソウルフル・ワールド』
2021|『ソウルフル・ワールド』|『ジョーカー』
2020|『ジョーカー』|『チェルノブイリ ーCHERNOBYLー』
2019|『ブラック・パンサー』|『ブラック・パンサー』
2018|『シェイプ・オブ・ウォーター』|『ラ・ラ・ランド』
2017|『ラ・ラ・ランド』|『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
2016|『ヘイトフル・エイト』|『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
2015|『グランド・ブダペスト・ホテル』|『グランド・ブダペスト・ホテル』
2014|『ゼロ・グラビティ』|『007/スカイフォール)』
歌曲賞に比べると、重複して受賞している作品が多いですが、やはり相関性があるかどうかと考えるとほとんどないと考えたほうが良さそうです。
ただもしアカデミー賞とグラミー賞の対象が同じ(リリース時期など)なら一致しそうな気がします。
第96回アカデミー賞の歌曲賞は?
改めて第96回アカデミー賞歌曲賞候補を見てみましょう。
"The Fire Inside"(ダイアン・ウォーレン)『フレーミングホット! チートス物語』
"I'm Just Ken"(マーク・ロンソン&アンドリュー・ウィアット)『バービー』
"It Never Went Away"(ジョン・バティステ&ダン・ウィルソン)『ジョン・バティステ アメリカン・シンフォニー』
"Wahzhazhe (A Song For My People)"(スコット・ジョージ)『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
"What Was I Made for?"(ビリー・アイリッシュ&フィネアス・オコンネル)『バービー』
受賞数トップは"I'm Just Ken"、続いては"What Was I Made for?"。
その他の楽曲は受賞していません。
【チャンスなし】"The Fire Inside"(ダイアン・ウォーレン)『フレーミングホット! チートス物語』
ダイアン・ウォーレンは名誉賞受賞がなければ可能性があったかと思いますが、今回は可能性なし。
【対抗】"I'm Just Ken"(マーク・ロンソン&アンドリュー・ウィアット)『バービー』
受賞数トップを誇る本楽曲。コメディ楽曲が受賞することも少なくなく、サプライズも起こりやすい部門です。チャンスはあるけども…。
もしこれが受賞すればライアン・ゴズリングは自身が歌唱した曲が二回目の受賞となります。
【大穴】"It Never Went Away"(ジョン・バティステ&ダン・ウィルソン)『ジョン・バティステ アメリカン・シンフォニー』
『ジョン・バティステ アメリカン・シンフォニー』はドキュメンタリー映画賞のノミネート数が"24"とかなりの評価を受けていましたが、アカデミー賞は候補落ち。
その票が転がり込む可能性あり。
【チャンスなし】"Wahzhazhe (A Song For My People)"(スコット・ジョージ)『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
"Wahzhazhe (A Song For My People)"は、他の映画賞へのノミネートすらありませんので問題外。
【本命】"What Was I Made for?"(ビリー・アイリッシュ&フィネアス・オコンネル)『バービー』
今回のグラミー賞の結果を考えると"What Was I Made for?"の圧勝と考えるのが妥当でしょう。
「バービーの世界観を曲にするとしたら?」を予想以上のものにした楽曲です。
ビリー・アイリッシュ、女性初の歌曲賞2回受賞は目の前という感じですが、"I'm Just Ken"の票割れの可能性もあり。
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