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【後編】第96回アカデミー賞授賞式レポート

 第96回アカデミー賞授賞式のレポート後半です。


"バーベンハイマー"?"オッペンバービー"?

 続いて登場するのはエミリー・ブラント&ライアン・ゴズリング。
 「バーベンハイマー」を代表するふたりはまずエミリーが「賞レースは圧勝だよね」とチクリ。
 それに対して「"オッペンバービー"じゃないよね?」と応戦するライアン・ゴズリング。

 新作で共演するふたりですが、あんま盛り上がってない感じ…。

 紹介するのはスタントマンを称えるクリップ。
 でも来年からキャスティング賞が新設されるのに、兼ね兼ね期待されているベストスタント賞は作らない。

ついにRDJがオスカー俳優に

 作品賞ノミネート作品クリップ『バービー』のあと登場するのは助演男優賞ウィナーたち。

  • キー・ホイ・クァン『エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス』
    →スターリング・K・ブラウン

  • サム・ロックウェル『スリー・ビルボード』
    →ロバート・ダウニー・ジュニア

  • ティム・ロビンス『ミスティック・リバー』
    →ロバート・デ・ニーロ

  • クリストフ・ヴァルツ『イングロリアス・バスターズ』『ジャンゴ 繋がれざる者』
    →ライアン・ゴズリング

  • マハーシャラ・アリ『ムーンライト』『グリーンブック』
    →マーク・ラファロ

 『ラスト・サムライ』の渡辺謙に勝ったのはティム・ロビンスで、当時はキャリアを考えればしょうがないかな、と思ってましたが、その後のキャリアは謙さんのほうが話題作に出演したり、トニー賞ノミネートされたりして、わかんないもんですね。いまなら受賞してそう。

 受賞は…ロバート・ダウニー・ジュニア(オッペンハイマー)

 すぐに立ち上がるスターリング・K・ブラウン!こういうの大事。見てるひとは見てるからね。

 この後のロバート・ダウニー・ジュニアの壇上での振る舞いが騒ぎになるとは思いもせず。
 いま見るとオスカー像受け取るときだけじゃなくて、すべての立ちふるまいが行儀よくないのよね…。

 RDJを紹介したサム・ロックウェルが言ってましたが、『アイアンマン』から『チャップリン』までとマーベルのイメージが最近は強すぎますが、本来は演技派なんですよね。ラリってただけで…。

 拍手するメッシ君。(もちろん拍手は人力)

ついに技術賞を日本が穫る日が来た〜ジョン・バティステのパフォーマンス

 作品賞ノミネート『落下の解剖学』のクリップの後のプレゼンターは、シュワルツネッガーとダニーのツインズコンビ!

 ふたりはバットマンでヴィランをやっていたので、「ひどい目に合わされた」とバットマンを演じていたマイケル・キートンをいじる。

 そして発表される視覚効果賞は…『ゴジラ-1.0』

 山崎貴監督のスピーチはメモを用意しての英語であまりにテンパっていたものだから、帰国後の会見で浜辺美波さんにいじられてました。
 昨年末に亡くなられた『ゴジラ-1.0』の阿部プロデューサーの話をして締め。日本人はスピーチが下手ですね。

 そして連続して発表される編集賞。
 受賞は…『オッペンハイマー』

 なんと受賞者は女性。
 編集賞で女性の単独受賞者を見たのはじめてかも。『ゴジラ-1.0』の渋谷さんと同じく女性の受賞者が増えるのは嬉しいですね。

 畳み掛けて行われる楽曲賞パフォーマンス。ジョン・バティステ "It Never Went Away"
 PGAも受賞した『ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー』がドキュメンタリー映画賞にノミネートされなかったのは少し驚きましたが(実際ノミネート作品を鑑賞すると確かにほかの作品のほうが良い)、楽曲賞ノミネートというのは授賞式的にはよかったのかも。

 パフォーマンス中に流れるクリップが『ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー』とまったく関係ない映画がなのはちょっといただけない。

どのプレゼンターもあまりウケない

 作品賞ノミネート『マエストロ:その音楽と愛と』のクリップを受けて紹介される本日の「マエストロ」リッキー・マイナー、オケピの紹介。
 この指揮者も日本人誰かやって欲しいなぁ〜。

 コールマン・ドミンゴはマイケル・ジャクソンの伝記映画でマイケルの父を演じる予定になっていて、今後も期待作がズラリ。なので今年はアンドリュー・スコットにノミネートを譲ってほしかったなと思わずにいられません。

 そんなコールマン含むセレブリティになぜかお酒が配られている。

 ジミー・キンメルが乾杯の音頭をとるも、ジミーも誰も飲んでねえw(フリだけ)

 続いて発表されるドキュメンタリー部門のプレゼンターはチームバービー、ケイト・マッキノン&アメリカ・フェレーラ。

 「ジュラシック・パークは実物じゃないの?」とボケるケイト・マッキノンはスベリ気味だが、スピルバーグが乗ってくれてなんとかつなぐ。
 今年はプレゼンターが大分滑ってるなぁ…脚本家が良くないのでは?

 まず発表される短編ドキュメンタリー映画賞は…『ラスト・リペア・ショップ』

 今年の短編ドキュメンタリーは観れば明らかで、この作品が頭一つ抜けてました。(『SHOGUN 将軍』も見られるDisney+で是非)めっちゃ泣けます

 以前はもっと存在していた学校に楽器を無料で配布する都市も現在はLAだけ。(なので"ラスト"・リペア・ショップ)それを改めてスピーチで訴えるプロデューサー。
 それがどれだけ美しいことか、この作品をを観ればよくわかります。

 続いて発表されるドキュメンタリー映画賞は…『実録 マリウポリの20日間』

 ウクライナの作品がアカデミー賞を受賞したのははじめてのことですが、「こんな映画は作りたくなかった」と訴える監督。「ウクライナに捧げる」というスピーチにスタンディングオベーション。

ゼンデイヤちゃん登場

 次に流れる作品賞作品は『関心領域』

 なぜか『ひまわり』のテーマで登場するゼンデイヤ。180cmの長身な上、顔が小さいからめちゃくちゃでかく見える。

発表するのは撮影賞。
受賞は『オッペンハイマー』

 若いクリエイターに「フィルムで撮影をしてみて欲しい」と訴える受賞者ですが、いまやフィルム撮影は高くつくのよ…。
 蝶ネクタイつけてるけどスニーカー。前にデニムを履いてるひともないな…と思いましたけど、スニーカーもないですね…。

 続いて登場するのはイッサ・レイ&ラミー・ユセフ。短編映画賞の発表。

 受賞するのは…『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』
 ウェス・アンダーソンは残念ながら欠席。(撮影中だったそう)

 今回のノミネート作品だと'Knight of Fortune'や'Red, White and Blue'もすごくよくて、どちらかに獲ってほしかったけれど、クオリティがレベチなのでしょうがないですね…。

 そして続くベッキー・Gのパフォーマンス。子どもと一緒なのはどういう意図なんだろうか…。

"ケン"の登場に会場のボルテージは最高潮に!

 音響賞を発表するのはジョン・ムレイニー。ようしゃべる!

 受賞するのは…『関心領域』

 サプライズだったのか盛り上がる場内。
 「映画を"聴いてくれた"アカデミー協会に感謝」と洒落たスピーチ。

 そして続くパフォーマンスはケン!
 登場する"ケン"たち、持ち上げられるライアン・ゴズリング
 チームバービーとエマ・ストーンに歌わせるライアン。喉が死んでたのに歌うエマ・ストーンいい子!

ビリー・アイリッシュが若干22歳にして2度めの受賞

 作品賞紹介クリップ。最後を飾るのは『オッペンハイマー』。

 ケンのパンツをもってボケるジミー・キンメルに紹介されるのはシンシア・エリヴォ&アリアナ・グランデの『ウィキッド』コンビ。
 『ウィキッド』、コケないといいなぁ。

 発表するのはもちろん作曲賞&楽曲賞。

 作曲賞の受賞は…『オッペンハイマー』、楽曲賞は…『バービー』

 ビリー・アイリッシュは、"No Time To Die"の受賞に続いて、2度めの受賞。すごい。
 「バービーといっしょに遊んでくれた親友にと」スピーチ。いやぁビリーはほんとうに頭がいいのよね。

追悼コーナーの主役は故人だろうよ

 全員を偲ぶことはできないのでどうしても「○○がいなかった!」と授賞式後に炎上する追悼コーナーですが、今回何がいただけなかったって、舞台全体を写して故人のクリップがちゃんと観れなかったこと!
 今回のワースト・モメント!

 "Time To Say Goodbye"を歌うアンドレア・ボチェッリとマッテオ・ボチェッリも主役は故人だからさ…。

 クリップのラストを飾るのはティナ・ターナーでした。

 続いて登場するのは主演男優賞ウィナー。

  • グレンダンフレイザー『ザ・ホエール』
    →ジェフリー・ライト

  • ニコラス・ケイジ『リービング・ラスベガス』
    →ポール・ジアマッティ

  • マシュー・マコノヒー『ダラス・バイヤーズクラブ』
    →ブラッドリー・クーパー

  • ベン・キングズレー『ガンジー』
    →キリアン・マーフィー

  • フォレスト・ウィテカー『ラストキング・オブ・スコットランド』
    →コールマン・ドミンゴ

 受賞は…キリアン・マーフィー(オッペンハイマー)

 脚本読まずに出演を決めたというキリアン。
 こういう賞に興味なさそうな彼だけれど、結構嬉しそう。オッペンハイマーチームで平和について言及したのは彼だけでした。残念なことです。

 『シンドラーのリスト』のBGMで登場するのはスティーブン・スピルバーグ。もちろん発表するのは監督賞。

 受賞するのは…クリストファー・ノーラン(オッペンハイマー)

 まさかデヴィット・フィンチャーよりクリストファー・ノーランが先に受賞するとは思いませんでした。
 近年作品賞のノミネート数が10に増えたのも、彼の『ダークナイト』がノミネートされなかったのがきっかけ。おめでとうございます!

 授賞式のトリを飾るのは主演女優賞。そして登場するウィナーたち。

  • ミッシェル・ヨー『エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス』
    →ザンドラ・ヒュラー

  • サリー・フィールド『ノーマ・レイ』『プレイス・イン・ザ・ハート』
    →エマ・ストーン

  • ジェニファー・ローレンス『世界にひとつのプレイブック』
    →リリー・グラッドストーン

  • シャーリーズ・セロン『モンスター』
    →アネット・ベニング

  • ジェシカ・ラング『ブルースカイ』
    →キャリー・マリガン

 ベストプレゼンターはミッシェル・ヨーですかね。『落下の解剖学』でザンドラがいまも夫を殺したのでは…?と思っていると言う紹介は、何を演じたかがよくわかるとてもいい紹介でした。

 受賞は…エマ・ストーン(哀れなるものたち)

 改めて見てもエマは候補者だけでなく、壇上の俳優たちについてもスピーチで言及している(候補者の名前を挙げるのがマナー)し、リスペクトに欠けた振る舞いにはどうしても見えない。ちゃんと授賞式観て欲しいです。

 封筒はちゃんと捨ててねと釘を刺すジミー・キンメル。
 そう『ラ・ラ・ランド』でエマが1度目の受賞をしたとき、作品賞の発表で前代未聞の封筒取り違え事件が発生したのでした。
 ここにきてようやくイジるのはトランプ元大統領。現在の情勢を見ると、結局トランプが返り咲く気がしています。ハリウッドの影響力が意外とないことをこの数年感じています。

 最後のプレゼンターはアル・パチーノ。
 本当は『スカーフェイス』40周年企画でミッシェル・ファイファーと2人でプレゼンターを務める予定だったそう。(家族の事情で欠席したとのこと)

 ここで "The Oscar goes to…" のいつものセリフがなかったために、『オッペンハイマー』とアル・パチーノが口にしても「???」となる会場。
 他のノミネート作品の紹介がないのもすべて演出だったそう。アル・パチーノかわいそう…。

 正直個人的には飽きてるし面白くないマット・デイモン弄りがないかと思ったら最後にウォーク・オブ・フェームでメッシくんと登場するマット・デイモン。もうええわ。

本日のドレス:ジュスティーヌ・トリエ

 監督賞と脚本賞にノミネートされ、見事脚本賞を受賞したジュスティーヌ・トリエ。

 授賞式ではパンツスタイルを貫いていて、彼女らしくてとてもいい。ブランドはルイ・ヴィトン。

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